湧水探訪(後編)- 天然温泉むさし野「湯らく」
国分寺駅から4つ目の三鷹駅で下車。三鷹は、太宰治、森鴎外、大仏次郎、武者小路実篤、三木露風など文人に縁(ゆかり)の地です。
「風の散歩道」を歩きました。その横を流れる玉川上水は羽村の多摩川から取り入れた水を四谷の大木戸まで導くために350年ほど前に造られた用水路です。水は江戸市中の南半分の地域へ供給されたそうです。
1965年に東村山浄水場が造られ、新宿の淀橋浄水場が閉鎖されると、小平より下流は空掘りになりましたが、1986年に清流復活事業として処理済の下水を使用して水流が復活しました。
余談ですが、淀橋はあの「ヨドバシカメラ」が創業した場所です。淀橋浄水場の跡地(西新宿)は高層ビルが林立する新宿副都心に生まれ変わりました。
現在の玉川上水は、水量がわずかですから、太宰治が入水した終戦直後の面影はもうありません。むらさき橋と山本有三記念館(右上の写真、門前に路傍の石が置かれている)を過ぎ、万助橋を渡ると、ほどなく井の頭恩賜公園の入り口です。ここはボート遊びと桜の名所としてよく知られます。園内にある井の頭池は神田川の源流になっています。「井の頭」とは川の水源を意味するそうです。
池の西北端にお目当ての「お茶ノ水」と呼ばれる湧水を見つけました。これが神田川の真の源流です。徳川家康が狩で立寄った折に、この湧き水を気に入り、お茶をたてたことが名前の由来であると説明されていました。
湧水の近くにある弁財天に参拝しました。弁財天(正しくは弁才天)は、元々インドの水の女神(サラスヴァティ、漢訳は薩羅薩伐底)で、その多くが水に縁のある場所に祀られています。
水が流れる滑らかな様から連想して、音楽や言葉、つまり芸能の神様としても信仰されています。近世以降は「才」に替えて「財」の字を当てたことから、金運の神様とするところもあります。鎌倉の銭洗い弁天(宇賀福神社)や江ノ島弁天(江島神社)が有名です。仏教の神様が神社にも祀られているのは、いかにも日本的なおおらかさで面白いです。
野口雨情の碑に立寄ったあと、三鷹駅まで戻る。北口では武者小路実篤の書で刻まれた「国木田独歩の碑」を見つけました。交番と仮設ごみ置き場に隠れた場所は寂しげでした。
もう一つの目的である立寄り湯へ行くことにしました。北口から送迎バスに乗って天然海水温泉むさし野「湯らく」へ。4階建ビルの2階に浴室がありました。あつ湯、ぬる湯、瞑想浴、ジェットバス、サウナ、水風呂、そして露天風呂を楽めました。なかでも瞑想浴がユニークです。手品に使うような黒い箱状の空間と、月と星の形をした天井の穴から洩れる明かりが、瞑想するのに好都合なのか一番混んでいました!!
全体がシンプルにレイアウトされており、落ち着いた印象を与えます。
泉質はナトリウム-塩化物強塩温泉(高張性・弱アルカリ性)で、肌がつるつるになるとの効能書きがありました。いわゆる黒湯です。
目玉である岩盤浴は人気があり、施設も立派でした。入館料(館内着とタオルセット付き)は1560円と高めですが、岩盤浴(1050円)も利用して、ゆっくり入浴を楽しむ人にはお勧めできます。岩盤浴を挟み、2回も温泉を楽しむ、温泉三昧の午後になりました。
<同行者のコメント> 今日もずいぶん歩きました。国分寺を歩くだけだと思っていましたが、玉川上水から井の頭公園へも!
そんなに欲張らないで下さいね。温泉で昼食に食べたサラダうどんが美味しかったです。岩盤浴では湧き水のように汗が出て驚きました。これで少しやせたかしら?
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 郡上八幡と長良川(1): 八幡城(2008.09.26)
- 湧水探訪(後編)- 天然温泉むさし野「湯らく」(2006.10.15)
- 足柄街道を走る(最終回) 御殿場市温泉会館(2013.10.18)
- 足柄街道を走る 足柄関所跡と足柄城址(後編)(2013.10.17)
- 足柄街道を走る 足柄関所跡と足柄城址(前編)(2013.10.16)
「温泉」カテゴリの記事
- 湧水探訪(後編)- 天然温泉むさし野「湯らく」(2006.10.15)
- 足柄街道を走る(最終回) 御殿場市温泉会館(2013.10.18)
- 権現堂堤の桜と百観音温泉(2006.04.09)
- 続・奥の細道疑紀行(最終回) 割烹温泉「上越の湯」(2013.07.03)
- 続・奥の細道疑紀行 柏崎市から上越市へ(2013.06.22)
コメント