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2008年5月に作成された記事

2008年5月30日 (金)

二度目のドライブ四国遍路:徳島編(その4)

標高800mの焼山寺山頂にあり四国八十八箇所の最大の難所である焼山寺で納経を済ませたことで少し休憩をとることにして国道438号の旧道に入った「神山温泉いやしの湯」に立ち寄りました。宿泊施設の「ホテル四季」に併設された日帰り温泉施設です。慶応4年(1866年)に湯屋として営業を開始した長い歴史があるそうです。明治期と戦時に休業した時期がありましたが、昭和47年に神山町に寄贈され、現在に至っているそうです。入場料は500円と格安です。

 

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泉質はナトリウム塩化物・炭酸水素塩泉(含重曹食塩泉)で「美人の湯」とも言われています。「青石の湯」と「玉石の湯」が週替わりで男湯と女湯になるようです。主浴槽と寝湯が源泉を加熱する循環型で加水はしていないそうです。露天風呂と説明されたエリアはガラス戸で仕切られており、露天風呂の雰囲気はありませんでした。温泉施設としてはやや狭くて鮎喰川支流の上角谷川に面している割にはあまり開放感もありませんが手軽に温泉を楽しむことができる施設です。

県道21に入って鬼籠野谷川と鮎喰川に沿って17kmほど走ると徳島市の13番大日寺です。駐車場は県道沿いの少し手前にあります。道路に面した山門前には金色で「一の宮大日寺」と書かれた石柱があり、山門を入ると正面に極彩色に彩られた「しあわせ観音」が強烈な印象を与えます。

 

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観音像に向い左手にある本堂と右手の大師堂が向かい合って建つのは珍しい配置です。県道と鮎喰川に挟まれているために境内が狭いからでしょう。本尊は十一面観世音菩薩です。本堂と大師堂の透かし彫りが見事です。本堂には真っ赤に塗られた撫で仏がありました。「おびんずる様」と呼ぶのだそうですが、これほど赤く塗られた仏様を拝見するのは初めてです。

 

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県道の反対側には一宮(いちのみや)神社がありました。名前の通り阿波国の一宮で元13番札所でしたが、明治初年に別当寺であった大日寺と分離されました。

 

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本殿は国の重要文化財に指定されています。

 

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大日寺から先はふたたび札所が近接して並んでおり、17番井戸寺までが徳島市内の平坦地にあって楽に回れることから「五寺巡り」として人気があるそうです。

  

一宮橋で鮎喰川を渡ると大日寺から3km余りで14番常楽寺に到着しました。溜池に面した小さな駐車場に車を停めると道標に書かれた「人生是遍路」が目に入りました。山門は無く門柱の先にある石段を上ると急に境内が開けて正面に本堂がありました。岩盤の上に寺が建てられたためにむき出しの岩肌が大変な迫力で迫ってきます。

 

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本堂前の岩畳「流水岩の庭」で参道が埋まったようになっていることと櫟(いちい)の大木が印象的です。本尊は弥勒菩薩で四国札所で唯一のようです。

 

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常楽寺から1km足らずの近さにあるのが15番国分寺です。ユニークな山門を潜った正面には重層入母屋造りの本堂があり、デザインの奇抜さと年代を経た建物の迫力に圧倒されました。本尊は薬師如来です。聖武天皇の勅旨で建立された寺の一つです。山門に菊の御紋があるのがそれを顕しているのでしょう。

 

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左手の鐘楼の手前に創建当時の塔の心礎がありました。神山温泉で長居をしたため5時を5分ほど廻ってしまいマナー違反でしたが納経をお願いしました。まだ日が高いうちにこの日はタイムアップです。(続く)

 

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2008年5月29日 (木)

二度目のドライブ四国遍路:徳島編(その3)

県道12号との交差点を直進して八幡郵便局の先を右折すると吉野川の堤防が見えてきました。鋭角に左折して堤防を越えると細い橋がありました。大野島橋は増水時に水没するように造られている潜水橋ですから欄干がありません。橋の中央を走行するようにと注意書きがありました。もちろん車はすれ違いが出来ませんから交互通行です。

 

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吉野川の広い河川敷に延びる道を進むと、さらに長い川島橋(右下の写真)がありました。大野島橋と同じ潜水橋です。なお潜水橋は地元徳島での呼び名で一般には沈下橋と呼称されます。

 

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堤防を越えると吉野川市に入り国道192号に出ました。左手に川島城祉に建てられた模擬天守が見えます。JR徳島線の陸橋を越えた交差点を右折して案内標識に従って小川沿いの小道で山間に分け入り、行当たった場所にある土産物屋さんの有料駐車場に車を停めました。 

 

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小川に沿って歩くと11番藤井寺です。右手の石段を上った場所に本堂がありました。本尊は薬師如来です。左手には不動堂と白龍弁財天が並んでいました。

 

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次の12番焼山寺(しょうさんじ)は山の中にあります。歩き遍路の場合はほぼ直線に進む遍路道(約12km)となりますが、車では梨の木峠を越えて鮎喰川を回るルートあるいは国道192号・193号・438号で西へ大きく迂回するルートもあります。しかし今回は川島町から入る山越えの道を選びました。県道43号(神山川島線、愛称はチェリーライン)と林道焼山寺名ヶ平線です。県道の見晴台から吉野川流域が一望できました。中央に見えるのは少し上流の阿波麻植(おえ)大橋ともうひとつの潜水橋の学島橋です。

 

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県道で掘割峠を越えた所にあるヘルスランド美郷(温泉施設)脇を抜けた交差点を過ぎると本格的な山道になりました。吉野川市と隣の神山町の境界にあるを越えて10kmほど山岳ドライブを楽しむと焼山寺とその次の13番大日寺の分岐点に差し掛かりました。通る車はほとんどなく快適なドライブが楽しめました。

 

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右手の急坂を下りて林道に入りました。小川を渡った先の分岐点を左に進むと急な坂道が一気に焼山寺山を登って行きます。標高938mの焼山寺山山頂近くとは思えない広い駐車場がありました。

 

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信者から寄進されたばかりの真新しい石仏が並ぶ参道を上ると12番焼山寺です。

 

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麓から徒歩で登って来た団体遍路と一緒になりました。山門を潜ると石段の先に本堂が見えてきます。本尊は虚空蔵菩薩です。本堂脇に珍しい色のツツジを見つけました。

 

座って休息する方が多いのは「遍路ころがし」と呼ばれる険しい山上に寺があるからでしょう。徳島県には20番鶴林寺と21番太龍寺を加えて3箇所の苦行の場があります。

 

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2008_05210094_2 先ほどの分起点まで戻り町道焼山寺線と県道43号で20km以上(国道438号を経由する車向けルートでは約28km)も離れた13番大日寺へ向かいます。このルートも擦れ違う車はほとんどありません。

 

国道438号に出る少し手前にある焼山寺バス停が徒歩で登る巡礼の出発地になっていました。(続く)

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2008年5月27日 (火)

二度目のドライブ四国遍路:徳島編(その2)

その次は阿波市に入って7番十楽寺です。県道から旧道と思われる脇道に一旦それました。山門は安楽寺のそれと似ていますがさらにユニークです。本堂、楼門、大師堂などが新しくなっています。本尊は阿弥陀如来です。
 
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さらに大きくカーブする遍路道で徳島自動車道の下を潜って土成IC脇を抜けると8番熊谷寺(くまだにじ)です。なだらかな坂道を上ると山門がありました。中門を抜けて石段を上ると本堂です。左手の石段を上った大師堂が続きます。本尊は千手観音です。

 

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熊谷寺の仁王門を抜けて案内表示に従って吉野川支流の大谷川を渡り、曲がりくねった農道を進むと田植えが終わったばかりの田圃の向うに9番法輪寺が見えて来ました。

 

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本堂とその右手にある大師堂にお参りしました。本尊は釈迦如来です。

 

山門前のあわじ庵の方が道を訊ねる人に親切に道案内していました。車のルートが二手に分かれるからかも知れません。同行者はと見ると、駐車場に開かれた露店で何やら買い求めながら店の人と話し込んでいます。

 

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右手に進んで少し広い自動車道に出ました。交差点にある案内標識に従って左折します。行き当たった県道12号に入り、2km余り先の交差点を右折しました。徳島自動車道を抜けると急な参道に入り、10番切幡寺の駐車場に車を停めました。仁王門から先は333段の石段が続きます。

 

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女やくよけ坂に差し掛かる頃には同行者の足取りが重くなってきました。333段の石段を上り切ると本堂があります。本尊は千手観音です。

 

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2008_05210061左手の石段をさらに上ると不動堂と重要文化財の大塔(多宝塔)がありました。

 

1番霊山寺からここ10番切幡寺までは吉野川の北側に延びる県道12号(鳴門池田線)に沿ってほぼ一直線(1kmから6kmの間隔)に並んでいますが、次の11番藤井寺以降は吉野川対岸の山間地にあり、その間隔も20kmから30kmと長くなります。(続く)

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2008年5月26日 (月)

二度目のドライブ四国遍路:徳島編(その1)

今年の1月に続いて2度目の四国遍路に出掛けました。前回は空路でしたが今回は自宅から徳島県までの往復と徳島県内のすべての遍路コースを車で走る「ドラ旅」です。このため事前の準備もこれまで以上に入念に行いました。1週間ほど前から気になっていた電動ドアロックの不具合を修理して貰うことはもちろん、ガソリンが高騰した対策としていつもはトランクに積みっぱなしのゴルフバッグやタイヤチェーンなどの重量物をトランクから出して車をできるだけ軽くしました。

例によって自宅を七つ立ち。エコ運転のため東名高速道路を出来るだけ一定の速度で走ります。また集中工事のため車線規制が行われる名神高速道路を極力避けて、伊勢湾自動車道と新名神高速道路を経て吹田JCTで中国自動車道に入りました。事前準備が万端であった為かすべて順調です。神戸JCTで山陽自動車道に入り、三木JCTからその支線に反れました。三木JCTから先は通行する車両がほとんどありません。神戸西ICで神戸淡路鳴門自動車道に入り舞子トンネルを抜けると明石海峡大橋です。

明石海峡大橋を渡ったサービスエリアで瀬戸内海の景色を満喫したあとに軽食エリアで「くぎ煮めしセット」と言う瀬戸内海の郷土料理を頼みました。いかなご(玉筋魚)の佃煮が釘のように見えるから名付けられたのでしょう。うどんとのセットになっています。「いかなご」の名前は「どんな種類の魚の子か」と聞いたのが誤って伝えられたとの説があるそうです。オーストラリアのカンガルーの由来と似ているのが面白いです。

 

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淡路島の丘陵地帯を縦断して大鳴門橋(右上の写真)を渡ると四国に入ります。橋の主塔の向うに鳴門公園が見えてきました。前回の遍路では公園から徒歩で大鳴門橋の途中にある展望所まで歩きました。

鳴門ICを出ると前回のドライブ遍路で出発地に選んだ鳴門市ですが今回は少し先の徳島市内で宿泊です。ホテルにチェックインしたあと市街地に大きく迫る眉山(びざん)を眉山パークウエイで登ると夕闇が迫る徳島の市街地が一望できました。山頂には眉山公園・パゴダ(ビルマ戦線での戦没者慰霊碑)・剣山神社、電波塔などがあります。

 

オフシーズンのため午後6時にはロープウエイが休止していました。山頂からの夜景を見たかったのですが辺りに人影はありませんので諦めて下山することにしました。

 

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満タン法で計算した初日の車の燃費は14.4kmでした。この日はほとんど高速道路の走行でしたが2リッター車としてはまずまずです。四日市から亀山までの渋滞によるノロノロ運転がなければもう少し伸びたかもしれません。

2日目は前回と同様に国道11号から県道12号(撫養街道、むやかいどう)に反れて、1番札所の霊山寺、2番の極楽寺、3番の金泉寺を通り過ぎで、今回は4番の大日寺から順打ち(時計回りのコース)をすることにしました。

県道12号をさらに阿波市方面へ向かいました。板野町羅漢の交差点を右折してなだらかな坂道を上り、徳島自動車道の高架を潜ると1kmほどで4番大日寺に到着です。小川にかかる石橋を渡りました。朱に彩られた山門が鮮やかです。本尊は大日如来です。三方を山に囲まれた山深く感じられる寺でした。

 

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同じ道を引き返す途中に見つけた五百羅漢に立ち寄りました。羅漢堂を中心に阿弥陀堂から大師堂までの回廊に色鮮やかに彩色された五百羅漢が祀られています。ここは地蔵寺の奥の院です。

 

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石段を下りたところが5番地蔵寺です。見事な大銀杏が迎えてくれました。本尊は名前の通り勝軍(しょうぐん)地蔵菩薩です。

 

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上板町の狭い遍路道を道標に従って入ったところにあるのが6番安楽寺、本尊は薬師如来です。

 

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山門の形が中国の影響なのか特徴があります。本堂で修復工事が行われていました。左手の多宝塔が美しい。ちなみに温泉山安楽寺の寺号は近くに温泉が湧き病に効用があったことで弘法大師が留まり薬師如来を刻んで名付けられたそうです。(続く)

 

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2008年5月17日 (土)

上野の国宝薬師寺展と森鴎外の温泉「鴎外荘」(後編)

上野公園内を散策しながら東照宮に立ち寄りました。日光と芝増上寺に続いて3箇所目の東照宮です。
 
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多数の燈籠が並んでいて壮観です。参道から左手に入ったところでお化け燈籠を見つけました。京都南禅寺と名古屋熱田神宮にある燈籠とともに日本三大燈籠に数えられているそうです。

 

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その左手に寛永寺の上野大仏がありました。顔だけの大仏様が上野にあることは訊いていましたが、実際に見ると不思議な感じがします。当日は入口が閉鎖されているため近くに立ち入ることができませんでした。

 

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石段を下りた不忍池の弁天堂にもお参りしました。

 

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眼鏡、ふぐ、スッポン、暦、包丁などの供養塔が多数並んでいます。

 

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上野公園を散策したあとは定番の日帰り温泉です。今回は上野公園と不忍(しのばず)通りに挟まれた池之端3丁目の水月ホテル鴎外荘です。

 

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森鴎外の屋敷跡に建てられたホテルが日帰りの入浴サービスも提供しているのです。利用料金は1150円と高めですが、東京都内第1号に認定された天然温泉であり、タオルやシャンプーなどの備え付けがありますから評価は分かれるかもしれません。

 

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男湯は「檜の湯」の名が付けられていました。女湯の「福の湯」とは日替わりなのだそうです。浴室は黒っぽい石板がタイルのように張られて清潔感があります。浴槽はそれほど大きくはなく通常のホテルの浴槽です。カランも6箇所と少ない。泉質は重炭酸ソーダで、泉温は19.8度です。

 

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黒湯の色はかなり薄くて微黄褐色ですが黒湯特有のぬめりは少しだけ感じられます。湯温は42度程度に加温されていて私にはちょうど良い熱さでした。

<同行者のコメント> 3月に出掛けた薬師寺の仏像をまた見に行くとは変ですね。でも目の前で見た仏像は黒光りする肌がきれいでした。そして吉祥天像のすばらしさには驚きました。温泉は先客が出た後は私だけの貸切りみたいでよかったです。でも色がほとんどなくて黒湯らしくないのはちょっとがっかりでした。

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2008年5月16日 (金)

上野の国宝薬師寺展と森鴎外の温泉「鴎外荘」(前編)

上野に出掛けました。目的地はJR上野駅公園口を出て公園内を300mほど北へ歩いた東京国立博物館です。

 

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現在、同博物館内の平成館で平城遷都1300年記念「国宝 薬師寺展」が開催されています。日光・月光(がっこう)両菩薩立像(りゅうぞう)、聖観音菩薩立像、八幡三神坐像、慈恩大師像、吉祥天像など国宝に指定された仏像、草創期の薬師寺の姿をたどる考古遺物など薬師寺の貴重な文化財を一堂に展示する貴重な機会です。特に日光・月光の両菩薩像が揃って薬師寺を出ることは今回が初めてなのだそうです。国宝薬師寺展の入館料(当日券)は1500円です。

 

今年3月に奈良の薬師寺を参拝していますが、その時は古墳が旅の主テーマでしたから、ゆっくり拝観する時間がありませんでした。

 

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東京国立博物館の左手奥にある平成館の2階に上がって第一会場に入りました。

 

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2008_05130039_3 プロローグの八幡三神坐像にはじまり、板絵神像、東塔伏鉢、仏足石が続き、聖観音菩薩立像の存在感に圧倒されます。そしてスロープを上ると今回の展示会のハイライトである日光菩薩立像(りゅうぞう)と月光(がっこう)菩薩立像が徐々に迫ってきました。スロープの上から見る仏像の迫力にしばし見入ってしまいました。2つの仏像がほぼ対称であることと腰をやや捻っていること(トリバンガ、三曲法)に気が付きました。

黄金色に輝く光背(こうはい)がないためにその姿の細部までよく鑑賞することができるのです。月光菩薩の右腕に疵のようなものが見えました。フロアに下りると3m以上の高さがある両仏像の大きさを手が届く距離で実感できます。像の周りを360度ぐるりと歩きながら見られることも今回の展示会の特徴です。薬師寺では中央に安置される薬師如来立像はこの上野では残念ながら見ることができません。その代わりに薬師如来立像を中央に両菩薩増がならんだ大きな写真パネルが展示されています。

第二会場には藤原京から平城京に移った薬師寺の歴史と数々の出土品が展示されています。圧巻は玄奘三蔵坐像と慈恩大師像、そしてフィナーレは吉祥天(きちじょうてん)像でした。小さな麻布に画かれた吉祥天像はこれまで写真では見たことがありましたが、実物は1000年以上を経たものとは信じられない鮮やかなタッチがあります。

薬師寺の国宝をこれほど間近で鑑賞することが出来たことは貴重な体験でした。68日まで開催されていますので興味のある方は東京国立博物館に足を運ばれることをお勧めします。510日までに40万人の入場者があったと薬師寺のhpに書かれていました。

平成館1階左手奥の大講堂で午後1時から開催された展示会ガイダンスにも参加しました。薬師寺執事の生駒基達さんが僧侶らしい魅力的な声と巧みな話術で薬師寺とその仏像について解りやすく20分余り解説してくださいました。最後に話された「心の健康」の大切さが印象に残りました。

 

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平成館1階の平常展「日本の考古遺物」のエリアも見て回りました。(続く)
 
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2008年5月12日 (月)

多摩ニュータウンの里山と日帰り温泉「季乃彩」(後編)

何か変だと気がついたのは水道施設の前でした。小田良通りと学園通りが交わる場所に出るつもりが、その先に出て東京読売カントリークラブの方向に歩いていたのです。

 

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合流点まで300mほど引き返して「光仙(こうせん)婆さんの祠」に立ち寄り、日大総合グランドに沿って続く学園通りの長い坂を下って「ふれあいの森」に入りました。

 

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小山の頂上部に造られたキャンプ場は大変な混雑で駐車場が一杯になり車の入場が制限されていました。期待した見晴は残念ながら良くありません。  

  

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京王線の高架橋脇の階段を上下して線路脇を歩くと若葉台駅が見えてきました。駅前広場のベンチに面白いオブジェを見つけました。隣に仲良く座る趣向のようです。同行者は逸早くそれを実行しています。

 

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若葉台駅から上谷戸と坂浜を巡って出発地に戻る起伏に富んだコースは2時間半余りの里山散策でした。今回のコースは稲城市の里山体感コース「坂浜地区」を参考にしました。 

里山散策のあとの日帰り温泉は「季乃彩(ときのいろどり)」です。尾根幹線道路の稲城五中入口交差点を左折してJR南武線南多摩駅に向う途中にあります。昨年1126日に稲城市向陽台にオープンしてまだ半年の施設は広めの和風造りで落ち着いた雰囲気です。2階建ての1階に受け付け・食事処・整体エリアがあり、2階に浴室と休憩所が配置されています。料金は900円(平日は700円)と妥当な金額です。

   

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浴室はそれほど広くなく「温泉主浴」のみが温泉(循環型)、泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉、泉温は41.4度です。「美肌の湯」を謳っています。その他にも井水を使った炭酸泉・寝湯・ジェット湯・ドライサウナ・草蒸風呂(5月末まで塩サウナのサービスがある)・水風呂が並んでいます。人口炭酸泉の菖蒲湯は53日~5日の限定サービスでした。20席程度の洗い場は手狭感がありますが高い天井に救われています。

   

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露天エリアの風呂はいずれも温泉で、入口近くに「檜風呂」と「寝ころび湯」、奥には「くつろぎ湯」「岩風呂」「石釜風呂」が並んでいます。このうち「岩風呂」だけが源泉掛け流しで、その他は循環式と表示されていました。源泉掛け流しの湯はやや濃い目の褐色で、循環式の湯はかなり薄い色で黄色に近いものです。「石釜風呂」(いわゆる壺湯)は源泉に加水した湯ですから壺湯の雰囲気を楽しむ趣向です。

多彩な風呂を配した施設は今風ですが、浴槽がいずれも小さめで湯も一般的な汲み上げ温泉ですから全体に平凡な印象でした。あまり温泉にこだわらず四季の岩盤浴・整体・アカスリや食事を気軽に楽しむ娯楽施設としては魅力があります。さらに滞在時間に制限がないことと、休憩室も畳が敷かれた寝ころびの間、リクライニングチェアがある展望の間とくつろぎの間が用意されているのも嬉しいことです。

<同行者のコメント> 多摩ニュータウンを歩くのははじめてです。小谷戸大橋の下で大きなカメラを三脚に載せて何かを待つ人を数名見かけました。そのお一人に声を掛けて聞くとカワセミが来るのを待っているのだそうです。大塚牧場ではイノシシと話ができました。泥んこですが結構可愛い顔をしています。温泉では旦那さまの影響で源泉掛け流しの岩風呂にずっと入っていました。一緒になった常連客の方のお話では休日はもっと混んでいてモヤシの頭が並ぶようだとおっしゃいました。芋の子を洗うよりももっと混むという意味かしら。

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2008年5月11日 (日)

多摩ニュータウンの里山と日帰り温泉「季乃彩」(中編)

流れに掛かる小橋を渡って鬱蒼と茂る林の小道に分け入りました。人通りがほとんど無い入り組んだ細い道が続きます。ところどころで民家を見かけました。

 

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鶴川街道(都道19号)に出て100mほど先の信号で街道を左手方向へ横切りました。

 

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三沢川上流の橋を渡り、コンクリートブロックを製造する会社の広い敷地を抜け、小田良(こだら)通りの急勾配の長い坂を上ると京王線のガードを潜ります。大きなコンクリートブロックを積み上げている工事現場を眺めていると、ちょうど通りかかった方が崖崩れのあったことを教えてくれました。

 

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さらに進むと大塚牧場でした。猪、山羊、牛、兎、そして露地飼の鶏とアヒルなどを見ることができました。同行者は猪が気に入ったようでしきりに話しかけています。

 

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直ぐ先の狭い小道を左手に入ると里山の景色が開けて来ました。

 

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あちこちで竹林が雑木林を侵食していることに気づきました。里山の小道は複雑に分岐・合流しますが気の向くまま歩いていると小さな馬頭観音を見つけました。坂を上ったところに自動車が走る道路が見えます。小田良通りに出たようです。迷わず左手に進みました。道路の反対側には小さな神社が祀られていました。(続く)

 

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2008年5月10日 (土)

多摩ニュータウンの里山と日帰り温泉「季乃彩」(前編)

大型連休の日曜日に稲城市の若葉台へ出掛けました。連休中は遠出を避けて近場でのんびり過ごすことを選び里山散策をすることにしたのです。東京近郊では東京都・埼玉県・神奈川県にかけての武蔵野台地に今でも里山が多数残っています。武蔵村山市(狭山丘陵の野山北・六道山公園)、多摩市稲城市(多摩丘陵)や横浜市緑区の新治市民の森四季の森公園などが代表的な里山でしょう。少し足を伸ばせば丹沢山麓(厚木市・伊勢原市・秦野市)やその北側の相模原市や山梨県道志村にも里山があります。

今回は多摩ニュータウン(稲城市)の里山を歩きます。京王相模原線若葉台駅近くの駐車場に車を停めて駅前を北に向って出発しました。

 

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最初のビューポイントは若葉台公園です。駅前からほぼ真っ直ぐ伸びる遊歩道を周囲に聳える新しいマンション群を眺めながら1kmほど歩いて到着しました。展望台から谷戸の雰囲気が残る田園風景が眺められます。

 

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急な階段を下りきったところが上谷戸(かさやと)親水公園です。あめんぼ(水澄まし)が泳いでいます。日光が水面で反射するのと素早く移動するため撮影に苦労しました。小さな流れに沿って歩きました。散策路ぞいの民家で大きな鯉幟(こいのぼり)が風に乗って泳いでいました。男の子が多いお宅でしょうか?

 

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畑で農作業をする人を見かけましたので不躾でしたが声を掛けました。ジャガイモの苗が育つ右隣の畝(うね)に藁(わら)を敷いてスイカの栽培環境を整えているところでした。次にビニールで覆うとのこと。土を褒めると田圃(たんぼ)であった場所に黒土を入れて畑にしたのだそうです。瓜も植えますかと訊くとスイカの近くに丸みを帯びた黄色い瓜(甘味が多い)を植えるつもりだとの答えが返ってきました。休日だけに農作業をしているそうです。雑談で作業の手をしばらく止めてしまいましたので、お礼を述べて立ち去ることにしました。

   

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植木畑を抜けると上方にアーチ型の橋が見えます。上谷戸大橋です。 

 

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橋げたから伸びたロープに鯉のぼりがたくさん下がっています。水車小屋や上谷戸緑地体験学習館を見て回りました。(続く)

 

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2008年5月 6日 (火)

豪徳寺から祖師谷へ(後編) 「ウルトラマンとそしがや温泉21」

世田谷線の反対側にある勝光院は世田谷吉良氏の菩提寺です。

 

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木立で鬱蒼とした境内の左手にある墓地に世田谷吉良氏歴代の墓が並んでいました。

 

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2008_04290077 山門右手には世田谷名所百選の見事な竹林があります。嵯峨野ほどの規模ではありませんが美しい竹林でした。

 

ちなみに三河吉良氏である義央の墓は愛知県幡豆(はず)郡吉良町の華蔵寺(けぞうじ)にあるようです。

烏山川緑道に戻ってさらに西へと歩きました。民家に美しい花が咲き乱れていましたので思わず撮影させていただきました。

 

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鴎友学園脇の万葉の小径を抜けました。100mほどの短い区間です。

 

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2008_04290087 烏山川緑道をさらに進むと経堂大橋交差点の手前にある小さな公園で藤棚を見つけました。小便小僧ではありませんが子供の裸像がアクセントになっています。

 

経堂大橋交差点を右折した経堂農大通り商店街を経堂駅に向って歩きました。駅の手前の交差点に庚申塔が祀られています。「南 二子道」の文字が読み取れました。

 

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左手奥に経堂の地名の由来となったと伝えられる経堂山福昌寺があります。

 

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経堂駅から小田急に乗って次の目的地に向います。ホームで普通電車を待つ間にロマンスカーが通過しました。幸運なことに新型の60000型電車(愛称MSE:Multi Super Express)とこれまでの50000型(VSE:Vault Super Express)の両方を見ることができました。予期せぬことにいずれもシャッターチャンスを逃して後姿になっています。左の白色が50000型、右の青色が60000型です。いずれもシンボルカラーのバーミリオン・オレンジのラインが入っています。

 

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経堂駅から2つ目の祖師ヶ谷大蔵駅で降りました。駅北側の広場にあるウルトラマン像からウルトラマン商店街(近くに円谷プロダクション本社があったことで付けられた愛称)を北へ歩きました。

 

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300mほど先を左手に入ったところに「そしがや温泉21」がありました。マンションのような建物です。年中無休で午後2時から営業しています。入浴料は銭湯ですから430円です。明るい浴室内には小振りですが白湯槽、シルキーバス(電気風呂)、ジャグジー、温泉槽が整然と並んでいます。黒湯の温泉槽は3つに仕切られて気泡風呂・電気風呂・高温風呂となっています。泉質はナトリウム-炭酸水素塩冷鉱泉です。黒湯の色は普通の濃さですがぬめりがあって上質です。

 

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他にはミストサウナと珍しい冷凍サウナ(-10度)が並んでいます。交互に入ってみました。また別料金ですが、浴室からドアを開けた中庭のようなスペースには、高温サウナとプールがあるようです。これだけ多彩な設備はスーパー銭湯と言えます。スタンプを10回集めると1回無料となるサービスもあって人気銭湯であることが納得できました。

余談です。祖師谷(そしがや)という地名の起こりは、村の谷(現在の釣鐘池と言われる)の近くにあった地福寺というお寺の境内に日蓮上人を祀った祖師堂があったためとする説があります。また祖師ヶ谷大蔵駅の名称は、昭和初期に千歳村下祖師ヶ谷と砧村大蔵に挟まれた場所に駅が造られことによりますが、現在の住居表示では大蔵が駅から離れた砧公園に接する狭い地域になり、駅南側の地名は砧ですから少し不思議な駅名になりました。加えてこの駅名には古い地名表記の「ヶ」も残っています。

<同行者のコメント> 新緑がいっぱいの散策でした。坂のない緑道を歩くのは楽しいですね。経堂と祖師谷の商店街が賑やかなことと自転車が多いことに驚きました。1ヶ月ぶりの温泉は黒湯が良くて少しのぼせてしまいました。歩き疲れたためかもしれません。急に雨が降り始めましたので温泉の売店で雨笠を買うことになってしまいました。

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2008年5月 5日 (月)

豪徳寺から祖師谷へ(前編) 「招き猫と世田谷城址」

東急世田谷線の宮の坂駅で下車しました。城山通りの裏にある烏山川緑道を東南方向に歩くと清涼橋です。暗渠化されていますから橋の面影はありませんが鉄フレームの車止めに豪徳寺橋との表記もありました。

 

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清涼橋から参道に入って豪徳寺へ向います。八重桜が散り始めて地上は桜田麩(さくらでんぶ)のようになっていました。

 

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総門の碧雲関を抜けて木立に伸びる参道を進むと正面に仏堂が見えてきました。

 

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仏堂に向って右手に臥竜桜があり、左手には新しい三重寶塔が建っています。

 

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仏堂の奥が本堂です。
 
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前庭では豪華なボタンの花が咲き競っていました。
 
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大渓山豪徳寺は世田谷に所領を有していた近江彦根藩井伊家が檀徒でした。招き猫(招福猫児、まねぎねこ)の発祥の地とされます。殿様を寺に招き入れた猫のお陰で井伊家の菩提寺となったことが由来と説明されていました。本殿の右手前の案内所で招き猫が売られています。「ヒコニャン」も置かれているのは彦根城との縁があるからでしょう。仏堂の左手から墓地に向う途中に猫観音を祀る招猫殿がありました。

 

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日米修好通商条約の締結や安政の大獄に反発する水戸藩士らによって江戸城桜田門外で暗殺された大老井伊直弼の墓(都指定史跡)があります。仏堂に貼られた説明には彦根市の清涼寺と近江市の永源寺とともに国指定史跡に指定される予定と書かれていました。安政の大獄については生麦事件の記事で触れています。

 

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世田谷城址公園にも立ち寄りました。赤穂浪士に討たれた吉良上野介義央(よしひさ、三河吉良氏)の先祖である足利義氏(よしうじ)から別れた世田谷吉良氏が世田谷領を与えられて、南北朝時代中期にその子孫の吉良成高が築城したと伝えられます。城址と言っても豊臣秀吉の小田原攻めの後に廃城となり石垣は江戸城の築城に使われたために現在は小山のある小さな公園にすぎません。南側に一部残っているようですが現在公園内で見られる石垣は公園整備のために造られたものだそうです。ちなみに吉良氏は清和源氏足利氏の流れを汲む名門であり、徳川氏にも厚遇されて殿中の儀礼を司る高家(こうけ)に登用されています。(続く)
 

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