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2008年11月 1日 (土)

空海の風景@京都: 神護寺(じんごじ)

九条通りを西に向い、西大路通りを上がり、西大路五条を経由、五条天神川で国道162号(天神川通り)に入りました。宇多野(うたの)を過ぎると国道162号は周山街道となって北西へと進路を変えて高雄に向かいます。周山街道は今年3月大原を訪れた時に走った若狭街道や険しい山をほぼ最短で抜ける針畑越え(鞍馬街道)とともに「鯖街道」と呼ばれる若狭へ至る道でした。また周山の名前は中国の古い国「周」に因んで明智光秀が命名した周山城(現在の京北周山町にあった山城)に由来するそうです。

  

2008_10260115 宇多野から4kmほど北西に走り、嵐山・高雄パークウエイの入口とヘアピンカーブを過ぎたところから、清滝川に沿う脇道に入りました。神護寺(じんごじ、元高尾山寺)が愛宕山系の高雄山の中腹にありました。高野山真言宗の別格本山です。

 

有料駐車場に車を停めて朱塗りの高雄橋を渡ると参道の長い石段が続きます。高雄茶屋と硯石亭が参道脇に並んでいました。

 

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参道の石段を約400段上りきると楼門(仁王門)です。源頼朝が再興の援助をしたこともあって鎌倉の寺と同じ雰囲気が漂います。
 
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本坊正面の平唐門(右下の写真)、宝蔵、和気公霊廟と鐘楼、明王堂が続きます。

 

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重要文化財の大師堂は細川忠興が寄進したと伝えられます。五大堂と毘沙門堂(旧金堂)を抜けると金堂へ向かう幅の広い石段が続きます。奥の多宝塔は昭和に入って再建されたもので五大虚空菩薩像が安置されているそうです。ちなみに大半の建物は応仁の乱以降の安土桃山時代から江戸時代初期にかけて再建されたもののようです。
 

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高尾山寺は和気清麻呂(わけのきよまろ)の私寺でしたが、大同元年(806年)に唐留学から戻った空海(弘法大師)が弘仁天皇から賜った高野山の総本山金剛峯寺(こんごうぶじ)に移るまで約14年間この寺の住職として滞在しています。最澄をはじめ多くの僧に灌頂(かんじょう、密教の秘教を伝授すること)を行いました。この経緯は徳島から戻って私が読んだ司馬遼太郎著「空海の風景」に詳しく書かれていいます。

 

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神護寺には高雄曼荼羅(両部曼荼羅)、平安初期の最高傑作とされる薬師如来、五大虚空蔵菩薩など真言密教に関する国宝や重要文化財が多数安置されています。国宝は薬師如来立像(京都国立博物館)、五大虚空菩薩坐像、両部曼荼羅、釈迦如来画像、源頼朝画像、梵鐘など9点があります。寺宝は毎年5月初めに公開されるようです。

 

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一番奥にある地蔵院の庭から錦雲渓(きんうんけい)が一望できます。ここから素焼きの皿を投げる「かわらけ投げ」は厄除けとしてこの寺の名物になっています。

 

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なお高尾山寺が神護寺と名が変わった経緯は河内国にあったとされる同じく和気氏の私寺である真願寺を合併したことに因ります。平安京造営の責任者であった和気清麻呂の墓は霊廟脇の小道を入った高雄山の山頂に近い場所にありました。途中で若い僧侶と擦れ違い挨拶を交わしましたがほかに参る人影もなく寂しい場所でした。

 

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参道の途中にある高雄茶屋まで戻って昼食です。私はいつも通りに鰊(にしん)そばを、同行者は季節に相応しい紅葉うどんを注文しました。厨房では翌日からメニューに加わる紅葉の天婦羅の準備が進んでいました。

 

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<同行者のコメント> 長い石段でした。足を痛めてからはそれをかばうような歩き方がクセになってしまいました。階段の上りはまだいいのですが下りは大変。でもお皿を投げる場所から見た景色がとてもきれいでした。そのあと旦那さまはひとりでお墓を見に行ってしまいました。今にも雨が降ってきそうです。

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