外出先で公衆電話を探すのが大変だと零(こぼ)すメカに弱い同居人が唯一興味を示した電子機器がアイフォーン(iPhone)です。息子たちからアイポッド・タッチ(iPod touch)を見せられた上に、彼らが相次いで携帯電話をアイフォーン(ソフトバンクモバイルの名称はアイフォーン3G)に乗り換えたことも影響したのかも知れません。
アイフォーンを購入
そして、わが家にもアイフォーンが登場しました。アイポッド・タッチと同じデザインですが、アイポッド・タッチがデビューした時の鮮烈な印象に比べると、見慣れたせいか斬新さを感じなくなりました。加えてわが家のアイフォーンは一世を風靡したプロレスラーのデストロイヤーが被(かぶ)っていたマスクにも似た黒いソフトケースに入れられたため、「闇夜にカラス」の状態になってしまいました。そこで販売店で貰った白い犬のストラップを付けたことでやっとその所在が分かるようになりました。例のテレビCMに登場するお父さん役の犬と同様にこの犬のフィギュアは肩を両側から押すといろんな「台詞」 (せりふ)を喋るところが面白いです。「台詞」をクリックするとその音声が聞けます。
使ってみました
早速、アイフォーンの電源を入れることにしました。電源スイッチらしきものは見当たりません。それではと画面の下のヘコミを適当に押すとディスプレイが点灯して地球の画像とデジタル時計の待ち受け画面が現れました。オープニング・デモかとしばらく待っても変化がありません。そこで気付いてタッチパネルのロック解除と表示された部分を指で右方向へスライドさせるとトップ・メニュー画面(ホーム画面)に切り替わりました。常時電源が入っていますから誤動作防止のためのロック機能があったのです。
(注釈)初期のスリープモードから脱するには本体上部にある小さなスイッチ(Sleep-Wakeボタン)を押すのが本来のやり方で、画面下のスイッチはホーム画面に戻るホームボタンでした。
このメニュー画面が出ればマックファンOBの私は、説明書が無くても(事実付属していない)、迷わず操作ができました。左下の電話アイコンに触れると電話の画面が出ますし、計算機・時計・カメラも同様です。ヤフー・YouTube(ビデオ共有サイト)・Safari(ブラウザ)・マップ・天気のアイコンにタッチすればそれぞれのインターネット・サイトにアクセスできました。何てことはありません! マックPCと同じテイストの操作です。
そして設定アイコンにタッチして同居人のPC用メール・アカウントを(ついでに私のメール・アカウントも)設定して基本機能はほぼ完全に使える状態になりました。アイフォーン・ユーザー専用のメール・アドレスは今のところ不要なので設定しません。
アイフォーン利用者の息子からは電源消費を抑えるためにメール機能とWi-Fi(無線LAN)機能を使わない時にオフにして置く(不要な電波を出して本体を暖めない)ことをアドバイスされました。なるほど!!
不便なこと
でも不便なことがひとつありました。通常の携帯電話のように電話番号のコピーを販売店でやってくれませんので自分で対応するしかないのです。専用のソフトウエアをダウンロードする方法を販売店で教えられましたが、同居人が電話連絡する相手はまだ限られますから、手入力で簡単に済ませられました。
もうひとつ面倒なことは基本機能以外を利用するためにPC用ソフトウエア「アイチューンズ」(iTunes)が必要なことです。幸いにもそのソフトはポッド・キャスティングを聴くため既にパソコンに入れてありましたから専用のUSBコードで接続すればOKです。
PCファイルのダウンロード
例えばPC内の写真ファイルや音楽ファイルをアイフォーンにダウンロードするにはアイチューンズを使うファイル同期化の手順が必要です。アイポッド・タッチとアイフォーンの先輩利用者であるもうひとりの息子にその手順の教えを乞うことで上手く行きました。
写真と音楽のファイルだけを同期化するつもりでしたが、メールのアドレス帳とWebのブックマークも同時に同期化されたため、かなりの件数のアドレスとブックマークを一気に入力することができました。同居人に不要なアドレスを削除すれば全ての作業が終了です。しかし同期化機能をここでオフにしなかったため、アイフォーンをパソコンに接続する度に自動的に同期化が行われ、PCのアドレス帳やブックマークが逆に影響を受ける(削除される)失敗を仕出かしてしました。
付属機能に弱点も・・?
唯一、気になったことはカメラの解像度が200万画素と低くて感度もあまり良くない(他の携帯電話に見劣りする)ことです。つまり薄暗い室内での撮影やマクロ撮影(接写)が苦手! これはあくまでもカメラ機能を重視する日本製携帯電話との比較においてであって本質論ではありません。むしろ動画撮影ができないこと(専用のシェアウェアがあるようです)が弱点かもしれません。そしておサイフ携帯機能もありません。市販のケースにはSUICAを入れるポケットを付けたものが売られているのはご愛嬌です。
超小型ネットワーク・パソコン!
以上の設定作業をしてみて分かりました。アイフォーンは携帯電話と言うよりも超小型のネットワーク・パソコンなのです。電話機能はその付属メニューのひとつに過ぎません。電話を掛けるには、先ず待ち受け画面を表示させて、ロックを解除、電話メニューを選択する、の3ステップが予備動作として毎回必要です。アイフォーンが携帯電話として不完全だと指摘する人が居るのはこれが理由なのでしょう。
アイフォーンはブラックベリーに代表されるスマートフォンとして分類されることもありますが、私はブラックベリーとは製品のコンセプトが異なるように思います。何と言ってもGUI(操作画面のグラフィック表示)が違います。パソコンで言えばマックとウインドウズの違いで、画面の小さな携帯端末では使い勝手に大きな差が出ます。そして大容量のハードディスクの存在です。アイフォーンなら記憶容量を気にしないで、写真・音楽ファイルはもちろん、携帯電話回線あるいはWi-Fiを経由してアプリ・ソフト(有償・無償)をダウンロードすれば実に多彩な娯楽・ユーティリティ機能が楽しめます。
アプリケーションを気ままにダウンロード
アプリ・ソフトにはゲームに加えて辞書・電車の乗り換え案内・高速道路料金の検索など実用的なものが多いのですが、私のお気に入りは「アイビール(iBeer)」と「水準器(dual Level)」です。前者は魔法のビヤマグで、アイフォーンを傾ければいろんな銘柄のビールを「グビッ!」と味わう気分が楽しめます。そして水準器は2方向の傾きを正確に知ることができる優れものです。これらの発想はいずれも私の好きなアナログ感覚であることが素晴らしいと思います。もちろん同居人の好きな「数独」もあります。
一ヶ月ほど前の3月31日には”Skype for iPhone”がリリースされてスカイプ(無料電話)がアイフォーンで利用できるようになり、今年の夏にはソフトウェアをさらに強化したアイフォーン3が提供(既存ユーザーは無料)されるそうですから楽しみです。
アップルらしい魅力に溢れた製品でした!!
このアイフォーンさえあれば、長距離ドライブ旅に出掛ける時に、これまでのようにノート・パソコンを携行する必要はもうありません。ここでついに気付きました。アイフォーンの機能をいろいろ調べているとつい夢中になってしまい、いつの間にか自分のアイフォーンのような気分になっていたのです。それではこの辺で持ち主に返却することにしましょう。いやはや、アップル病、恐るべし!!
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