鬼怒川のグライダーと大谷磨崖仏
国道293号に入って宇都宮市へ向かいました。当初の計画にはなかったのですが、八方ヶ原に立ち寄れなかったことで時間に余裕ができたため、その代わりに大谷(おおや)を訪れようと思い立ったのです。鬼怒川に架かる氏家大橋を渡って宇都宮市に入る時に同行者が飛行機を見つけました。良く見るとグライダーです。さっそく橋の袂から簡易舗装の細い道に乗り入れるとすでに先客が大きなカメラを構えています。軽飛行機に牽引されてグライダーが空高く舞い上がるのが見えます。河川敷に造られた鬼怒川滑空場でした。長野県諏訪市の車山近くに霧ヶ峰滑空場があったことを思い出します。
飛び立つ場所を見たくなってさらに進むと未舗装のジャリ道になりました。グライダーが数機と軽飛行機が1機、そしてグライダー用トレーラーなどが河川敷の滑走路(ゴルフ場のフェアウェイのような緑地)に並んでいます。
我々だけでなく数組のギャラリーが車を停めて様子を眺めています。しばらく待つと目の前を軽飛行機に牽引されたグライダーが走りぬけて空中へと上昇して行きました。気がつくとすでに30分以上が経っていました。慌てて大谷へと車を走らせます。
東北自動車道と日光宇都宮道路を潜ると大谷石で有名な大谷町ですが、その手前の岩原町で左手に聳える奇岩が目に飛び込んで来ました。それに惹かれて脇道に入ると、石切り場を巡る狭い道に迷い込んでしまい、ここでも時間をロスしてしました。
国道を逸れると大谷の奇岩群「御止山」(おとめやま)が迫力で迫ります。大谷寺を通過して大谷石資料館へ向かうと駐車場はほぼ満車の状態です。車を停めて資料館に向かうと受付の女性が申し訳なさそうに「入館は4時までです」と言う。20分ほど過ぎていました。石切り場跡に残された巨大な地下空間をテレビ番組で見たことがあり、ぜひその場所に立ってみたかったのです。グライダーに夢中になったことが仇になりました。資料館横の建物周辺に正装をした人達を見かけました。結婚式があるようです。自らの無計画さを悔やみながら大谷寺(大谷観音堂、坂東札所第十九番)に向かいました。
日本最古の石仏がある大谷観音堂は午後5時まで参拝できますので滑り込みセーフでした。建物に覆われた岩壁に立体的に彫られた本尊の千手観音は弘法大師自らの作と伝えられるそうです。同じ建物内の左手にはやはり岩壁に彫られた伝薬師三尊と伝釈迦三尊像が並び、その様子は迫力があります。これらは大分県臼杵市の臼杵磨崖仏(うすきまがいぶつ)とならぶ磨崖仏で、いずれも国の重要文化財に指定されています。大谷寺は縄文時代の横穴住居跡に弘法大師が810年に開いたと伝えられる古刹で、その宝物館には縄文人の人骨(1万1000年前と推定)が展示されていました。
大谷寺の反対側にある大谷公園には平和観音像がありました。高さ27mの石像は戦後になって平和を祈念するために造られたそうです。鋸山の日本寺にある大仏(高さ31m)と百尺観音(高さ30m)には僅かに及びませんが階段を上って背後から見るとその大きさを実感できました。地下空間を体験できなかったことは心残りですが、栃木県の矢板市、さくら市、宇都宮市を巡る楽しいドライブ旅になりました。
<同行者のコメント> 石でかこまれた地下空間を見てみたかったです。時間に遅れたのは運転者さんがグライダーに夢中になったからですよ。でもグライダーが飛ぶ姿は優雅で一度乗ってみたくなりました。
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コメント
一度、グライダーが飛ぶ姿をまじかに見たいです。きっと、予想以上の大きさだろうと思っています。白鳥のように美しいのだろうとも思っています。
投稿: 腹減って青い空 | 2018年3月 2日 (金) 21時01分