ラジオ、はじめて物語
AMラジオのサイマル放送を紹介した先週の記事がきっかけとなりラジオの歴史を振り返ってみました。ラジオでまず思い浮かぶのは徳永英明さんの「壊れかけのRadio」(1990年)、懐かしい曲はカーペンターズの「Yesterday Once More」(1973年)、映画では三谷幸喜監督の「ラジオの時間」(1997年)という一風変わった作品もありました。ラジオとは英語で無線(Wireless)あるいは放射能(Radioactive)の意味があり、アマチュア無線(Amateur Radio)やラジコン(ラジオコントロール、無線操縦)にも使われる言葉ですが、一般的にはラジオ放送あるいはラジオ受信機の意味に用いられています。
黎明期から全盛期へ
最初のラジオ放送は1920年(大正9年)にアメリカでスタート、5年後の1925年(大正14年)には日本でもNHKの前身である東京放送局が放送を始めています。これらは中波の電波を使うAM放送で、90年後の現在に至るまでそのままの形で続いています。そして世界の何処においても同じラジオ受信機が使えるのも便利です。注)ただし周波数配置は南北アメリカ大陸だけが10kHz間隔ですから、米国で購入したわが家のデジタル同調式チューナーでは、日本が1978年に9kHz間隔へ変更したため、関東地方にある放送局のうちAFN(810kHzの米軍放送)しか正常に受信できません。
中波に続いて電波が遠距離に届きやすい長波や短波を使ったラジオ放送も開始されましたが変調方式はAM(振幅変調)でした。放送局(送信所)に近ければ受信機は鉱石ラジオなど極めて単純なものでも実用になりましたが、再生式ラジオの次には感度の良いスーパーヘテロダイン方式の受信機が使われました。そして1952年(昭和27年)にNHKが東京の第1放送と第2放送の2局を使ったステレオ放送を一部番組で開始。
雑音の影響を受けやすいAM方式に対して、FM(周波数変調)方式は雑音に強いのですが、広い周波数帯域が必要であるため周波数の高いVHF(超短波)帯の電波が使われました。このFM放送もやはりアメリカで1938年(昭和13年)に始まり、日本では1957年(昭和32年)にNHKが実験放送(本放送は1969年)を、1960年(昭和35年)にはFM東海(現在のエフエム東京の前身)が実験放送を開始しました。ステレオ放送が開始されたのは1963年のFM東海とNHK(東京)です。
1992年(平成4年)にはAM放送でもステレオ番組の放送が始まりました。しかしステレオ化した放送局数が限られたため市販された受信機が少なく(受信機の回路図を放送局が配布するほど)て敷居が高く、後には専用の受信機が増えましたが、この方式が雑音に弱かったことで普及するには至りませんでした。それに加えて景気低迷が続いたこともあってステレオ化された局のほとんどがモノラル放送に戻っています。
デジタル化
21世紀に入るとラジオもデジタル化とインターネット化が始まりました。地上デジタルラジオ放送、衛星ラジオ放送、インターネットラジオなどです。地上デジタルラジオ放送は2003年(平成15年)に東京と大阪で試験放送を開始しましたが、現状の地上アナログラジオ放送(AMおよびFM)との差別化が難しいために試験放送は今年で終了(本放送への移行は中止)と決まりました。これは地上波テレビのようにデジタルへ移行する国の政策がないことも背景にあります。
衛星ラジオ放送には衛星テレビ放送に付属する音声サービス(BSデジタル音声放送)と通信衛星(JCSAT-2A)を使う専用放送「MUSIC BIRD」の2種類があります。前者は2000年(平成12年)に放送が始まりました。通常の衛星テレビ放送を受信する設備でそのまま利用することができて便利でしたが採算が取れないことから2007年に中止。わが家の衛星放送が受信できるテレビのリモコンには衛星放送のモード選択に「テレビ」「ラジオ」「独立データ」の3つのボタンがあります。しかし現在は「ラジオ」のボタンを押してもまったく反応がありません。
後者のサービスはPCM衛星デジタルラジオとも呼ばれて、現在「MUSIC BIRD」がサービスを行っています。CDよりも高音質(Bモードはサンプリング周波数48kHz、16ビット符号化、再生上限周波数24kHz)、しかもチャンネル数が156もありますから選択に困るほど。利用するには専用のアンテナ(衛星テレビ放送用とほぼ同じ大きさ)と受信機を準備して加入申し込み(有料サービス)を行うことが必要です。
インターネットラジオは配信方式に「ダウンロード」や「ストリーミング」など様々な種類があります。「ダウンロード」方式(ポッドキャストなど)はダウンロードに時間がかかるため聴くまでかなりの時間を待たなければならないことが欠点、「ストリーミング」方式はダウンロードしながら聴けるため待ち時間が少なくて済みますが、インターネット回線が遅い場合には音が途切れることもあります。
私が現在注目しているのは先の記事で紹介した「ラジコ」と1年前にサービスを開始したコミュニティFM(ミニFM)局の「サイマルラジオ」です。「ラジコ」は地域限定のサービスですが、「サイマルラジオ」は全国のコミュニティFM局を自由に聴くことができます。沖縄・石垣島の「FMいしがき」や札幌の「三角山放送局」など数十局が「サイマルラジオ」に参加しています。そのリーダー格の「湘南ビーチFM」はFM局並の高品質の音声(128Kbps)をインターネット経由で楽しむことができます。外国語の得意な方は、海外にインターネットラジオが多数ありますから、世界ラジオ巡り(米国、英国BBC、独バイエルン放送協会など)が簡単に出来ます。昔、雑音に埋もれた海外の短波放送局を探したことが嘘のようです。ラジオ放送の新しい楽しみ方を満喫したいと思います。
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