近江・湖西ドライブ 継体天皇縁の地
近江高島駅の200mほど東にある大溝(おおみぞ)城址に立ち寄りました。信長の甥である織田信澄が安土・桃山時代に築城したものです。石垣に囲まれた小高い森が大溝城の天守跡で琵琶湖の内湖である乙女が池に面しています。アプローチが分かり難いので乙女が池の駐車場に車を停めて探しました。
乙女が池の畔にある木道は利用中止と表示されています。隣接する高島総合病院の裏手にある駐車場で仕事をする若い男性に行き方を尋(たず)ねると親切に教えてくれました。フェンスの隙間から草が生茂る場所を抜けるようです。教えられた通りに病院の敷地を回りこむと確かに石垣と大溝城址の表示が見えました。
織田信澄は新荘城下(現新旭町)から商家や寺院などを移して城下町を造ったそうです。その雰囲気が残ることを期待して大溝城下町が残る勝野地区に立ち寄りました。現在の町並みは少し時代が下がった江戸時代に伊勢上野藩から移封されて近江大溝藩の初代藩主となった分部光信(わけべみつのぶ)が建設したものだそうです。
県道300号を北上すると県道558号(西近江路)と変わります。鴨交差点を左折した県道23号で鴨地区にある高島歴史民俗資料館に立ち寄りました。これまでの度重なる失敗に懲(こ)りて休館日でないことを確かめています。次に立ち寄る場所の情報を収集するのが目的です。
近くの鴨稲荷山古墳(かもいなりやまこふん)など高島市の遺跡から出土品(石棺や副飾品など)や継体天皇に縁の立派な展示があり、期待以上に多くの収穫が得られました。
これらの出土品の特徴は朝鮮半島との交流があったことの裏付けとされているようです。
注釈; 福井県三国市の出身とする説もあります
館内に貼られたポスターで継体大王(大王は天皇の古称)の展示会が大阪で開催されていることも知りました。予備知識を得た私は先ず高島歴史民俗資料館から200mほど北にある鴨稲荷山古墳へ向います。
この古墳は湖西地方では平野部に立地する唯一の前方後円墳で、墳丘はほとんど失われています。推定では全長45m・後円部の直径25m・高さ5mほどの周濠をめぐらしたものであったようで、継体天皇を擁立した古墳時代後期の三尾(みお)族長の墓と言われているそうです。
明治35年(1902年)に出土した巨大な家型石棺(全長3.3m、幅1.2m、高さ1.1m)は露天に展示されて劣化進んだことで現在は志呂志神社脇に作られた小さな公園の一段高くなった場所にある建物に収容されていました。Yahooの地図では県道の東側を示していますが資料館の案内図に従って石棺のある場所を撮影しました。
県道23号の左手に継体天皇伝承地[えな塚」の標識を見つけて立ち寄ることにしました。空き地の先に小さな土盛が見えます。立て看板に書かれた説明は「継体天皇は高島の地に誕生され、母・振姫(ふりひめ、振媛とも表記)がお産のあと天皇の「へその緒」を埋めたのがこの胞衣塚だと伝えられる」とあります。
ちなみに胞衣(えな)とは胎盤のことです。この塚は大きさが直径約11.5m・高さ約2.5mの円墳で6世紀の築造と推定されます。塚の上の松は御殿(ごんでん)松、すぐ近くを流れる川は御殿川(ごんでんがわ)と呼ばれることから、昔は近くに大きな屋敷があったようです。高島歴史門族館から来る時に渡った鴨川の橋は天皇橋でした。
県道23号をさらに北上して南市交差点を左折、県道297号を1kmほど西進した田中交差点の直ぐ先を右手に入りました。次いで立ち寄った田中古墳群は田中神社の裏山一帯の泰山寺野台地(たいざんじのだいち)先端部に分布する古墳群で王塚(おおつか)を中心に全部で44基の古墳で構成されていることが調査で明らかとなったそうです。
地元で王塚と呼ばれる彦主人王(ひこうしおう、ひこうしのおおきみ)御陵は直径約58m・高さ10mの規模2段重ねの帆立貝式古墳で、周囲に3基の陪塚(ばいづか)を伴う古墳時代中期のものと考えられています。
被葬者は継体天皇の父である彦主人王の安曇陵墓参考地(りょうぼさんこうち)として宮内庁が管理しているため立ち入ることはできません。
その他にも安曇川町には彦主王御陵のすぐ近くに継体天皇の母振姫の産屋があったとされる三尾神社旧跡と出産の際の「もたれ石」、安曇川駅近くには継体天皇の長子である安閑(あんかん)天皇を祀る安閑神社には神代文字と伝わる文様が描かれた大きな「神代石」があります。
近江国高島郡(あるいは越前国三国)出身の継体天皇は応神天皇五世の孫とされる謎の多い天皇です。関心を持つ私はこれまで当ブログ記事(古墳時代から大和政権へ、一休寺といちご狩り、継体天皇と河内国)でその縁の地を紹介しています。(続く)
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