富士山登山 ご来光とダイナミックな雲海に感動
久須志神社周辺の「富士山銀座」は深夜とは思えない混雑振りです。ラーメンなどを美味しそうに食べる人、土産物屋をのぞく人、あるいはご来光を待ちながら休憩する人がいます。私も椅子に腰掛けたいところですが渋谷のスクランブル交差点を横断するように人波をかき分けて歩きました。大日岳(朝日岳、標高3750m)へ向うためです。
ご来光を撮影するベストスポットを確保しなければなりません。ちなみに大日岳の名前は仏教に係わるものとして朝日岳に改名されましたが一般的には大日岳の名のままで呼ばれています。剣ヶ峰を除く7つの峰も同様に2つの名称があります。
強い風が山頂を吹き抜けて、それまで感じなかった寒さが身に沁みはじめましたのでウンドブレーカーを重ね着しました。大日岳の滑りやすい砂礫の急坂を登るとすでに先客が思いおもいの場所に陣取っているのが見えます。テラスのような場所の奥にちょうど良いスペースを見つけました。ここなら強風を避けることができるとともに他の人が身近を通過する心配もありません。
午前4時2分にデジカメの点検を兼ねて薄明るくなった地平線を撮影してみました。長く伸びた薄明るい光の帯びの真ん中あたりにご来光が見られるだろうと大雑把な予測をして三脚を設置します。ご来光までまだ1時間近くあるために腰を下ろしていると段々冷たさが体に伝わってきます。使い捨てカイロを腰に貼ったり、襟首にタオルを巻きつけ、口と鼻のタオルで覆いました。もちろん軍手ははめたままです。
カメラの方向を微調整するために試し撮りをすると、湿度が高いためにレンズが曇って、写真がぼやけたことが分かります。レンズ用クロスを取り出して拭くためには軍手を脱がなければなりません。写真は鮮明になりましたが指先がかじかんでしまい、手をポケットに入れて暖めることの繰り返しです。午前4時半を過ぎると水平線がかなり明るくなり、青い空が少しずつ広がります。
不気味な形をした黒雲が日の出を妨げているようです。薄い雲は強風に吹き流されますが巨大な黒雲は少し形を変えるだけで要塞(ようさい)のように動きません。4時50分を過ぎると太陽の気配が黒雲の端に感じられます。本格的に撮影を開始しました。白い雲海が台風の襲来を示す海原のようにダイナミックにうねるのを見るのははじめての経験です。
ここからは撮影時間だけを付記した写真を紹介します。
私の撮影場所はお鉢巡りの順路に沿った崖の上で下を通る人の気配は感じられませんが、吉田口下山道(須走口下山道と共用)を下山する人たちが良く見える場所です。
火口には万年雪が見られます。昨年や一昨年よりもずっと広い範囲が白く見えます。
吉田口山頂(富士山銀座)付近はご来光見物で今年も大変な混雑です。
富士山銀座方面へ戻って山小屋で貰った弁当を食べたあとに重ね着を抜いて下山の身支度をします。午前7時に下山を開始。体調は悪くありませんが、これまでの失敗を繰り返さないように、狭い歩幅でゆっくり歩きます。
吉田口と須走口の分岐点は相変わらず間違える登山者が多いためか毎年標識が改善されて、今年はプラカードのようなものを示す管理人さんも居ました。ここまでに2-3箇所分岐点がありましたから始めて富士山に登った人にはこのように徹底した案内が必要でしょう。
吉田口下山道に入っても無理をせずゆっくり歩きます。八合目辺りに差し掛かると霧雨が降り始めて、やがて大粒の雨が降り始めました。前日に登った時と同じです。相変わらず混雑する七合目の公衆トイレを過ぎるとジグザグの下山道は直線的になりますが相変わらずの急勾配が続きます。シェルターを2つ通過する頃には昨年と同様に膝(ひざ)が痛くなり始めました。こんなはずではありません。
膝を上げ下ろししたり屈伸したりすると少し楽になりますが、少し歩くとまた痛みを感じます。少しでも急勾配を軽減するためにジグザグ歩きに切り換えました。そして何とか六合目に到着すれば下りはもう直ぐ終わりだと自らに言い聞かせます。泉ヶ滝から先はなだらかな登りになりましたからもう大丈夫です。
午前10時50分に五合目ゲートへ到着した頃には小降りになっていました。五合目の広場には下山した人とこれから登山する人でごった返しています。下山名簿をチェックすれば富士登山は終了です。下山道の風景は昨年のブログ記事を参照してください。
今回大量に撮影したご来光の写真から選んだ38枚をスライドショー形式でご覧いただけるようにしました。「サイドバー」の一番下に追加したブログパーツ(PIXIE)の画面をクリックすると大きな画面でスライドショーが始まります。(全画面表示がお薦め)
登山後の日帰り温泉は昨年と同じ「野天風呂天水」でしたから説明は省略します。□
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