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2011年2月 9日 (水)

晩翠草堂を尋ねる

仙台駅から青葉通りを晩翠草堂交差点まで歩いた目的は交差点に近くにある晩翠草堂(ばんすいそうどう)を見学するためでした。名前から分かるように土井晩翠(どいばんすい)氏が晩年を過ごした旧住居(現在は市が管理)です。同氏は「荒城の月」の作詞家として知られる仙台市出身の英文学者。晩翠草堂は青葉通り沿いに立ち並ぶビルに挟(はさ)まれてひっそりと建っていました。

 
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雪が残る塀の前には大きな石碑に「天地有情」と書かれています。1899年に発行された同氏の代表詩集の題名です。ニ高同窓会が建てた碑のようです。
 
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門を潜ると左手に庭と晩翠草堂の建物が見えます。右手前に井戸と流しが見えます。
 
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玄関は終戦後の建物らしい風情です。郵便受けは何時のものでしょうか。
 
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立て付けが気になる戸を開けて入ると管理人さんが奥へ案内してくれました。最初の部屋には「晩翠賞の五十年」など同氏に関連した出版物が展示されています。許可を得て内部の写真を撮影させていただきました。
 
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左手にある仏壇に手を合わせました。大きな写真が飾られています。手前の小さめの写真は説明がありませんが土井晩翠氏のお父さんかもしれません。
 
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奥の間(座敷)には金属製のベッドが置かれています。実際に使用されたものであると説明を受けました。
 
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その手前には幅の広い下駄が置かれています。これも使用されたものとのこと。下駄の幅が広いのは当時のお洒落!?
 
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2つの部屋の間の鴨居には「詩聖逝く」の額が掛けられています。詩人の白鳥真吾氏が晩翠氏の死を悼(いた)んで詠んだ追悼の詩でした。
 
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二高(第二高等中学校)から東京帝国大学英文科に入学、旧制中学の英語教師となり、30歳で母校の第ニ高等学校教授に就任した翌年から3年間英国留学、東北帝国大学の講師を兼任、1934年にニ高を定年退職して名誉教授となったことが略年譜から読み取れます。

管理人の方がラジカセで土井晩翠氏を紹介紹介する音声ガイドを聞かせてくれました。そして晩翠氏と晩翠草堂についても詳しい解説を管理人さんから聞きました。裕福な地主の長男として生まれたこと、戦時中の空襲で3万冊もあった蔵書を土蔵に避難するも焼夷弾(しょういだん)の直撃を受けてそのほとんどを失ったこと、戦後の農地解放で財産をほとんど失ったこと、教え子や地元民などが協力して晩翠草堂を敷地内に建てて贈ったこと、青葉通りが拡幅される前の敷地は現在の倍ほどあったことなど。

土井晩翠氏の本名は土井林吉(つちいりんきち)で晩翠は東京帝国大学時代からの雅号(がごう、平たく言えばペンネーム)です。東京帝国大学の先輩で同じく英国に留学した夏目漱石氏とよく似た経歴があります。ちなみに荒城の月のモデルとなった城は会津若松城(鶴ケ城)が有力のようです。瀧廉太郎氏がこの曲の構想を練ったと言われる大分県竹田市の竹田城(岡城)址や地元仙台の青葉城(仙台城)にも句碑などがあります。実際はこれら複数の城址の印象が折り込まれているのかもしれません。

勝常寺(しょうじょうじ)は福島県にある真言宗豊山派の寺院で会津中央薬師堂とも呼ばれています。平安時代初期(9世紀)に造立された国宝の木造薬師如来と12体の仏像を晩翠氏は十三像と呼んだのでしょう。
 
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土井晩翠氏の著作がガラスケースに収納されています。
 
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戦災で焼失する前の自宅における土井晩翠氏と八枝夫人の写真です。木造3階建てのモダンで趣のある建物だったと説明されています。ちなみの八枝夫人は高知県出身で、東京音楽学校(現在の東京芸術大学)在学中に兄の先輩であった土井晩翠氏に出会って結婚しています。夫が留学中は津田英語塾(現在の津田塾大学)で英文学を学び、後に随筆家になられたそうです。
 
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展示された品々を一通り見学し終えた私は庭の長い置き石が気になりました。管理人さんに質問すると左手の円弧を描く飛び石(3番目の写真)は戦前のものだが右側の長い石などは戦後のものだと答えてくれました。
 
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まだ雪が残る通路を歩いて晩翠草堂を後にしました。
 
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次は一番町へ向かいます。(続く)

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