この世の終わりと超天動説体験
東日本大震災が発生して3週間が経ちました。あの時の激しい揺(ゆ)れはいま思いだしてもぞっとします。大袈裟(おおげさ)ではなく「この世の終わり」がついに訪れたのかと思わざるを得なかったのです。こんな恐怖を感じたのは実は生まれて2度目です。最初の経験はちょうど半世紀前の伊勢湾台風(1959年の台風15号)でした。
死者が約4700名も出た超巨大台風が紀伊半島に上陸して東海地方を横断したのです。9月26日の夕方に雨戸の隙間(すきま)から見えた近所の家が一瞬で消えて無くなりました。そして深夜に私の故郷のすぐ近くをこの台風が通過した時は、停電中で真っ暗でしたが、大黒柱が大きく揺れるのが手の感触として分かりました。今にも家が倒壊するのではないかと怖(こわ)くて一晩中寝られなかったことをよく覚えています。
今回の東日本大震災では直後の余震を含めても1時間ほどの恐怖でした。しかしその後も数え切れないほど繰り返して余震が襲ったことで、伊勢湾台風の時とは異なる恐怖が何日も持続したと思います。発生する間隔は長くなりましたが現在も時々余震が起きています。そして同居者が「今揺れていない?」としばしば聞くのです。軽い「地震酔い」の症状が出たようです。そう言われると私自身もそんな気がしてきます。
実は不快な「揺れる想い」を私は昨年からしばしば経験していたのです。それはある朝、目覚めて寝床から起き上がった瞬間に、私の感覚がパニック状態に陥ってしまいました。部屋中が高速で回転しているのです。壁に掴(つか)まろうとしても、床に手を突いても、その高速回転は一向に収(おさ)まらないのです。何分も続いたように思われましたが、恐らく数十秒からせいぜい1分程度のことだったようです。そして不快な違和感はフッと消えていました。この感覚をあえて例えると、遊園地にあるコーヒーカップです。機械仕掛けで大きく回転するカップに付属する円盤型のハンドルを使ってさらに思いっきり急回転させた状態に近いでしょう。私の頭を「超天動説」が支配し始めたのです。
「これは何かの幻覚に違いない」と冷静さを取り戻そうとしましたが、再び起き上がると「強い余震」が発生しました。持続した時間はかなり短くなったものの1回目と同様の現象です。その日は安静にすることにしてほとんど横になっていました。そして翌朝、恐る恐る起き上がるとやはり余震が発生したのです。私の頭の中で何かが壊れてしまったようです。インターネット検索で調べると、私の症状に符合する病気が見つかりました。耳の奥にある前庭器官(ぜんていきかん)の異常で起こる症状のようです。
つまり前庭器官で耳石が元の場所ではなく近くにある三半規官にずれると、回転感覚神経を刺激して「めまい」が発生するそうです。さっそく掛かりつけの病院へ出向きました。もちろん自動車ではなく電車を利用。耳鼻科を受診すると聴力検査と平衡機能の検査が待っていました。いずれも異常はなく、私の素人診断と同じ診断結果を医者から告げられて一安心。目眩(めまい)を抑える薬などを処方してもらいました。
薬の効果があったのか1ヶ月もすると症状はほぼ収まりましたが、違和感はその後も少し残りました。そして薬を服用した期間はリスクを避けるため長距離ドライブが御法度(ごはっと)です。ちなみに医学解説書によるとゴルフやテニス、ウォーキングなどで身体を動かすと平衡運動機能の強化に効果があるそうです。ゴルフは月に1-2回のペースで続けています。そこで今年に入って折りたたみ式の自転車を購入しました。実は旧街道巡りなどのドライブ旅では、駐車できる場所が限られるため車を離れてかなり歩き回ることもしばしばで、前から自転車の機動力を利用しようと考えていたのです。
この1箇月近くは東日本大震災によって引き起こされたガソリン不足のため不要不急の運転を控えていますから、これまで自動車で出掛けていた近場行きもこの自転車が活躍しています。サイクリングと言うほどのことではありませんが自転車に乗ることが楽しくなってきました。そして気のせいかバランスを取る感覚も回復したようです。遠出ドライブができるようになった折りには、愛車にこの折り畳み自転車(おりたたみじてんしゃ)を載せて出掛けることを楽しみにしています。
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