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2011年7月21日 (木)

学ぶということ

何事にも見境(みさかい)なく興味を持つ性癖(せいへき)がある私は本を読むことが大好きです。そして、気になることがあれば、ネット検索やさらなる読書によってその好奇心を満たしています。しかし、これと言ったテーマや分野に限定しませんから、手当たり次第に雑学を仕入れているとの表現が相応(ふさわ)しいと思います。つまり、知識の深さよりも間口の広さ(引き出しの多さ)を楽しんでいるのです。そんな私ですが最近は学ぶことへの考えが変化し始めたように感じています。

2011_06280003来(き)し方を振り返ると、半世紀前の高校生であった頃は部活(演劇部)と洋画のロードショーを観ることに夢中で、気がつけば成績が入学時より大幅に落ち込んでいました。このままでは志望大学の入学試験にはとても合格出来そうになく、3年生の夏休みから部活と映画をしばらくお預けにして、猛烈に受験勉強を始めました。

しかし受験までに残された6カ月間で挽回するのは容易ではありません。そこで受験戦略を綿密に立案して効率的な受験勉強に徹したうえ、毎日のようにランニング(今風に言えばジョギング)をすることで体力の増強にも努めたことが奏功して、最初に受けた(一発勝負の)志望大学に合格できました。

受験戦略の基本は、試験対象の5教科(英数理国社が各200点、英語だけは1科目で計9科目)を万遍無(まんべんな)く勉強するのではなく、高得点を狙う5科目と平均的な点を安定して取れる4科目選び、5科目の勉強に専念しました。前者は英語・数学・物理などの必須科目、後者は選択科目の漢文・地学・世界史などでした。

2011_06280030そんな努力をして何とか入学できた大学でしたが、自動車部の活動・国内旅行・映画鑑賞・アルバイトにうつつを抜かして、講義には欠かさず出席しましたが、一番後ろの席でお客様同然でした。ですが単位だけは要領良く(超低空飛行で)全て取得して問題なく4年間で卒業しました。つまり、単位を落とさないテクニックだけを学んだのです。今風の言葉で表現すれば「リア充」(現実の生活が充実している人間)だったと言えるかもしれません。

「高望み癖(へき)」のある私が是非にと望んで(運良く)入社した会社では、目的のはっきりした受験勉強と同様に、与えられた開発テーマへ全力で取り組みました。つまり「仕事オタク」になったのです。

電子回路を設計するためのCAD(コンピュータを利用した設計手法)に習熟、鑽孔(さんこう、穴をあけること)したパンチカードでコンピュータに設計パラメータ(変数)を読み込ませれば、TSS(時分割利用)で少し待たされますが、計算結果の数値とともに特性を示す簡単なグラフがテレタイプ端末に打ち出されました。注釈;テレタイプ端末(印刷電信機とも呼ばれた)はかっては文字通信の主役であったテレックスに使われた電動機械式タイプライター

2011_06280032そのスピードは50ボー(1秒間に数文字)と遅く、タイプ出力される文字を目で追うことができるほどノンビリしていました。もし計算結果が思わしくなければパラメータを変えて(パンチカードを作成し直して)再入力すれば良いのです。複雑な計算の場合は大型コンピュータのバッチ(一括)処理を利用しました。主にFORTRAN言語でプログラムを作成、パンチカードあるいは紙テープで入力すれば、計算結果はラインプリンターが連続した大型用紙にザクザクと高速で出力してくれる様子は壮観でした。

システム設計に必要な知識は技術文献や学会資料を会社の資料室で読み漁(あさ)ることで手に入れまし た。その当時(約40年前)、最先端の半導体素子であったCMOS論理素子については社内研究所の専門家を飛び込みで訪ねてあれこれ質問、文献が少なかった暗号化技術についても社内で数えるほどしか居ない人を紹介してもらって教えを乞いました。先輩たちは新入社員の私へ時間を割いて親切に教えてくれました。

2011_07180003生来、人見知りであった私もいつの間にか厚かましい(生意気な)社員に成長(?)していました。そのお陰かも知れませんが、先行する他社たちとの競争(コンペ)に勝ち抜くことが出来たのです。そして、この行動パターンは退職するまで続きました。海外顧客へのシステム売り込み・技術交渉・トラブル解決などで役立ったと思います。

このように学生時代から退職するまでを振り返ると、目的を達成するためだけに勉強をしていたように思います。しかし最近になって、もっと別な勉強方法があった(私には欠落していた)のではないかと思うようになりました。退職後は気ままな「勉強オタク」として好きな歴史やその登場人物について詳しく知る、歴史上の出来事があった場所を訪ねる、歴史以外にも基礎的な学問を学び直す、など出来るだけ関連を持たせながら勉強の範囲を広げています。

2011_07180008つい最近読んだ本を紹介しましょう。ノーベル物理学賞を受賞した米国カリフォルニア工科大学の教授であったファインマン博士の名著である「ファインマン物理学5 量子力学」(砂川重信訳、1979年岩波書房刊)という教科書とその読み方を解説する「ファインマン物理学を読む -量子力学と相対性理論を中心として-」(竹内薫著、2004年講談社刊)の2冊です。前者は大学での講義録をまとめたアメリカの教科書サイズで分厚い(ページ数が多くて重い)本、後者はその読み方を解説するガイドブックです。

大学時代にはただ単位を取得するためだけに私が勉強した「量子力学」を博士独自の方法で解説するとともに、学ぶ時に最も大切な姿勢も説いていることが印象的です。

第1章の冒頭、「量子力学は物質と光の性質を詳細に記述し、特に原子的なスケールにおける現象を記述するものです。(中略)日常生活で直接経験するどのようなものにも全く似ていない。(中略)その不可思議な性質の基本的な要素を、そのもっとも奇妙な点をとらえて、真正面から直接、攻めることにする。古典的な方法で説明することの不可能な、絶対に不可能な現象をえらんで、それを調べようというのである。そうすることにより、ズバリ量子力学の核心に触れようというわけである」と博士は原子の力学である量子力学のポイントを述べています。

2011_07210014図解はあるものの難解な内容は脱水症気味である私の頭脳にはなかなか理解できませんが、博士の言葉通りに「学ぶこと自体が楽しい」ことを教えてくれる良質な教科書です。そして40年前には無味乾燥に感じられた量子力学が魅力的なものであったことを知りました。今となってはタイムマシンで大学時代に戻って勉強し直すことは叶(かな)いませんが、学ぶと言う楽しさを遅まきながら少し発見したのです。現代物理学とも呼ばれる量子力学から始めましたが、これからも同博士の著作「ファインマン物理学」(全5冊、原書は3冊構成)の助けを借りて古典物理学の基本である力学まで逆上(さかのぼ)って見たくなりました。

写真はわが家でグリーンカーテンとして栽培しているゴーヤ(黄色い花)と風船かずら(白い花)の過去1カ月間の成長記録です。実は上記した「勉強オタク」に加えて最近は節電と植物栽培が好きな「グリーンオタク」でもあるのです。

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