アイフォーン雑感
先ずは旧聞から始めます。昨年12月1日の日経ビジネス誌にアップル社のアイフォーンとアイパッドがNTTドコモからも発売されるとの推測記事が掲載されました。アイフォーンはソフトバンクとau(KDDI)の2社から発売されていますが、今年にはそれが3社へと拡大するかもしれないと言うのです。大手携帯電話会社がすべて同じ製品で競争することは隠れアップル・ファンとして嬉(うれ)しいことです。NTTドコモは合意した事実はないと直ちにその報道内容を否定しましたが、情報管理が徹底するアップル社のこれまでの対応をみると、NTTドコモのコメントを額面通りに受け取ることは出来ません。
もし同じ端末を3社が提供するようになると、これまでの携帯電話市場とは異なる景色が見えてくるのではないかと思います。従来の携帯電話(フィーチャーフォン)では端末よりも各社が提供するプラットフォームサービスが競争の主な差別化要因(主戦場)でした。しかしスマートフォンでは携帯電話会社以外が提供するサービスが増えますから、携帯電話会社が提供するサービスによる利用者の囲い込みは難しくなるでしょう。
そして主な競争要因は料金体系(安さ)と回線の使いやすさに移ると思われます。料金は分かり易い差別化要因ですが、都会における回線の利用しやすさ(つながりやすさ・データ速度・安定性)は携帯電話会社が喧伝(けんでん)するほどの差を実感することはありません。その違いがはっきりするのは都市部や主要道路から離れて山間部に入った時です。携帯電話会社によってはまったく通信出来ないことがしばしばあります。
山道ドライブや山奥の温泉を訪ねることが好きな私にとっては決定的な違いですから、現在はソフトバンクのアイフォーンとNTTドコモのフィーチャーフォンを併用しているのです。もしNTTドコモでアイフォーンを利用できるようになれば、今のように2台使いする理由はなくなります。
また最大通信速度も通信方式の違いで3社に違いがあります。アイフォーン(iPhone 4S)ではソフトバンク(HSDPA方式)が下り最大14.4Mbps、au(CDMA EV-DO Rev. A方式)は同3.1Mbpsと理論値に大差があります。細かいことですがKDDIのアイフォーンを利用すると通話とデータサービスが同時に利用できないという制約があります。
新しい通信方式による高速化も進展しています。NTTドコモは昨年12月から下りの最大速度が37.5MbpsのLTE(Xiサービス、近い将来100Mbps)を都市部から順次展開して、他の2社も追従する計画があるようです。そしてauはWiMAX(下り最大40Mbps)を、ソフトバンクも2つの電波を受信するDC-HSDPA方式を採用したULTRA SPEED(同42Mbps)も登場させています。当分は高速化競争が続きそうですし、実環境での速度(スループット)は最大速度(理論値)を大きく下回ることが多いので、数字だけを鵜呑(うの)みにするのは危険です。
アイフォーンとNTTに関連する話題をもう一件紹介します。NTT東西(FLETS光)とソフトバンク(アイフォーン)の提携話が幻に終わったことです。伸び悩むFLETS光サービス(スポットサービスを含む)をアイフォーン人気で回線需要が増大するソフトバンクが利用(補完関係を活用)して新規顧客を獲得しようとする販売促進計画でしたが、ソフトバンクがNTT東西を光回線の貸出方法を巡って訴えたことで、頓挫(とんざ)した模様であると報じられました。上記の両サービスを利用する私には束(つか)の間の朗報(ろうほう)に終わったようです。
☆
さて本題です。アイフォーンの勢いは衰(おとる)えるどころか、昨年秋にアイフォーン4Sが発売されたことで、米国では多勢であるはずのアンドロイドOSに迫っているようです。米国の市場調査会社Nielsenが1月18日に発表した米国スマートフォン市場の調査結果によると、2011年10月にはアンドロイドが61.6%、アイフォーンが25.1%、ブラックベリーが7.7%でしたが、アイフォーン4Sが発売された11月からシェアが大きく変動し始めて、12月には各々が46.9%、44.5%、4.5%となり、アイフォーン(iOS)がアンドロイドに肉薄(にくはく)したのです。
これはアイフォーン4Sの人気が高いことを示しています。とは言っても、2011年末時点における全スマートフォンにおけるiOSのシェアは30%、対するアンドロイドのシェアは46.3%とまだ大きな差があり、2012年のシェア争いが注目されます。そしてご多分に漏れずわが家のアイフォーンもこれまでの3GSから今月中旬に4Sへ変わりました。
ラーメンが大好きな私は「白戸軒ラーメン」や「おとうさんラーメン箸」がもらえるというCMに惹(ひ)かれたのです。3年前アイフォーン3Gを購入した時には「しゃべるお父さん犬」のストラップをもらいました。これまで黒色の筐体(3GSは裏側が白色)でしたから、今回は白色の筐体(きょうたい)を選びました。
アイフォーン3Gを購入した家電量販店に出向くと幸運にも在庫がありました。店員が取り出して見せてくれたアイフォーン4Sの白バージョンは期待以上の質感があります。それを眺(なが)めながら、店員から細かい説明を上の空で聞いているうちに、ラーメンと箸(はし)のことはすっかり失念してしまいました。今回の機種変更のポイントはFONのWiFiモデムが無償で付いてくることでした。以前からFONのサービスに興味を持っていましたが、無償である理由は携帯電話事業者(この場合はソフトバンク)のインターネットトラフィック急増対策の一環です。
具体的にはWiFiホットスポットやフェムトセル(宅内小型基地局)を経由してスマートフォンのトラフィックを固定回線に迂回させることで携帯電話網を流れるのトラフィック量を抑制しようとするものです。それを承知の上でFONを利用することにしたのは、3G回線契約が無くなったアイフォーン3GSをWiFi経由でインターネットに接続するためです。
WiFiに加えて、これまで使用することを控(ひか)えていたスカイプ(Skype)のアプリを2台のアイフォーンに設定したことで相互に通話できるようになりました。しかし使い勝手は余り良くないようです。使い方に慣れていないためかもしれませんが・・。追追(おいおい)使い方を確認したいと思います。
これも私の拘(こだわ)りですが、ディスプレイ部用保護フィルムにはELECOM製の指紋防止フィルム(ノングレア、防眩機能付き)を選びました。手触りも滑(なめ)らかです。これまでの3Gと3GSには光沢のある保護フィルムを貼り付けたため、指紋が付きやすいことと、グレア(光の反射による眩しさ)や映り込みが生じる欠点がありました。
後日談ですが、黒色のアイフォーン4を使うチビスケ君とチビエちゃんのお母さんはアイフォーン4S(白色)の最上部にもうひとつ穴があることを発見しました。調べてみると、これは近接センサー用の穴(アイフォーン4にもある)で、白色の筐体では黒く塗られているために目立ったのです。アイフォーン4では白モデルの発売が遅れたのは塗装の質感を改善するためだとも言われました。何ら根拠は有りませんが、この穴の存在も少しは関係していたのかも知れません。
そしてちょっと気になったことは、アイフォーン4Sで環境光センサーが近接センサーと分離されて左部(近接センサーの中心から4.99mm)に移されたことです。しかし白モデルでも近接センサーのようにその存在を確認できません。アップルがケースメーカー向けに提供した「ケースデザインと開発のためのリソース」カバーは最低2mm離すことが推奨されています。今回貼り付けた半透明の保護フィルム(アイフォーン4/4S用)でもこの環境光センサー部に掛かると何か悪影響があるのでしょうか。
下図はその情報に添付された「iPhone 4S」の近接センサー(PROXIMITY SENSOR)と環境光センサー(ALS SENSOR)付近の寸法図です。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 新規ブログ開始しました(2013.11.14)
- 突然ですが、ブログ記事の新規投稿を休止します(2013.10.19)
- 製品の寿命を考える(三題)(2013.09.23)
- スマホがあなたの頭脳を破壊する?(2013.08.16)
- 会田雄次著「敗者の条件」を読む(後編)(2013.07.11)
コメント