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2012年12月11日 (火)

コリン・パウエル著「リーダーを目指す人の心得」を読む

2012_12090044先週木曜日(12月6日)に米国IT企業セールスフォース・ドットコムが都内で開催したセミナーCloudforce Japan 2012に参加しました。1999年に設立された同社はクラウドコンピューティング・サービスを企業向けに 提供するトップ企業で、グーグルやアップルとともに急成長しています。私の仕事に役立つ情報を収集するため時代の寵児(ちょうじ)である同社CEOマーク・ベニオフ氏(元オラクル社幹部)の講演を聴くことが目的でしたが、私にはもうひとつ関心事がありました。それは米国の元国務長官(日本の外務大臣に相当する首席閣僚)のコリン・パウエル氏が登壇する特別セッションでした。

2012_12090057コリン・パウエル氏はジャマイカからの移民を両親としてニューヨーク市ブロンクス区(マンハッタン島の北東にあ る移民の町)で生まれ、14歳からおもちゃと赤ちゃん用家具の店でアルバイトを始め、18歳からはトラック運転手やペプシの工場で清掃係の仕事を夏休みに続けた苦労人です。公立高校とニューヨーク市立大学シティカレッジの予備役将校訓練隊(U.S.ARMY Junior ROTC、士官学校とは別組織)を卒業して陸軍に入隊、ジョージ・ワシントン大学大学院経営学修士の課程を修了しています。

2012_12090059軍歴では少尉として参加したベトナム戦争からアメリカ軍のトップとして指揮した湾岸戦争(1990-1991年) までの35年間を軍人一筋でキャリアを積み、アメリカ軍(陸海空海兵4軍)のトップである統合参謀本部議長を最後に1993年に陸軍を退役しました。陸軍では大将であったことから今も将軍(General)と呼ばれています。退役後は黒人初の大統領候補(1992年の大統領選)になることを期待する声がありましたが、人種分離の時代であり時機尚早(じきそうしょう)として断念し、ブッシュ政権(2001年から)で4年間国務長官を務めるなど、4つの政権で政府の要職を歴任しました。

私には望外なことでしたが、セミナー参加者にはパウエル氏の著作「リーダーを目指す人の心得」(飛鳥新社刊、2012年10月13日発行)がプレゼントされました。私がアメリカに住んでいた時期とパウエル氏が統合参謀本部議長として活躍した期間がほぼ重なることもあり同氏には当時から関心を持っていたのです。早速読んでみると同氏が人生経験から学んだことが詳しく述べられていました。そのエッセンスをコリン・パウエルのルールにまとめた第一章の自戒13カ条と第2章以降のタイトルを紹介します。

第一章 コリン・パウエルのルール

1. なにごとも思うほどに悪くない。翌朝には状況が改善しているはずだ。

2. まず怒れ。その上で怒りを乗り越えろ。

3. 自分の人格と意見を混同してはならない。さもないと、意見が却下されたとき自分も地に落ちてしまう。

4. やればできる。

5. 選択には細心の注意を払え。思わぬ結果になることもあるので注意すべし。

6. 優れた決断を問題で曇らせてはならない。

7. 他人の道を選ぶことはできない。他人に自分の道を選ばせてもいけない。

8. 小さなことをチェックすべし。

9. 功績は分けあう。

10.冷静であれ。親切であれ。

11.ビジョンを持て。一歩先を要求しろ。

12.恐怖にかられるな。悲観論に耳を傾けるな。

13.楽観的でありつづければ力が倍増する。

第2章 己を知り、自分らしく生きる

第3章 人を動かす

第4章 情報戦を制する

第5条 150%の力を組織から引きだす

第6章 人生をふり返って-伝えたい教訓

おわりに 「すべては人である」

2012_12090031原題はIt worked for me in life and leadership“(私は人生において・リーダーとしてこれでうまくいった)であ り、人生と組織内のリーダーシップについて同氏が経験から得た教訓とエピソードをまとめた本です。ビジネス書として出版された日本語訳はリーダーシップにハイライトを当てているため本書の帯封には『サラリーマンが組織内で昇進するための正攻法』と書かれてあることはやや興醒(きょうざ)めですが、アメリカ社会でリーダーがどのような基準と手順で選ばれるかを知るには最適と思われます。

2012_12090066この本を読んだ私は先週読み終わったばかりの百田尚樹氏の時代小説「影法師」も同様に日本の武家社会に おいてリーダーが選ばれるプロセス(稀有な例だと思われる)としての側面を再認識しました。リーダーに求められる条件である『無私であること』『謙虚であること』『悲観的にならないこと』『ぶれないこと』などが共通しています。私はコリン・パウエル氏13カ条にいずれも首肯(しゅこう)しましたが、中でも第3項「自分の人格と意見を混同してはならない」が印象に残りました。自分への戒(いまし)めだけではなく、他人への評価においても同様であるべきだと思います。

現役を引退した私が本書の教訓を活かすには遅きに失していますが、私に欠けていたことや不足していたことを気づかせてくれた本書に感謝します。

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コメント

こんにちは。

私もIT企業に勤めているのですが、そのセミナー行きたかったですね!
紹介の本、さっそく読んでみたいと思います。

昨今のクラウド市場はどんどん拡大していますね。
ちょっと前まで農業にクラウドが使われるなんて思いませんでした。

私が購読しているサイト記事には、今後クラウド・コンピューティングにおいて、次に成長する分野は何だろうかと説いていました。

http://bit.ly/UwVjwi

もしよかったらご覧になってみてください。

宜しくお願い致します。

投稿: haraharada | 2012年12月14日 (金) 15時18分

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