続・奥の細道疑紀行 村山市と大石田町へ
東根(ひがしね)市の山形空港脇を通り抜け、国道13号を北上して村山市に入ります。最上川の西側を北上する国道347号でも良いのですが、やはり芭蕉が「奥の細道」で通った羽州(うしゅう)街道に近いルートを選んだのです。
田植えの準備が始まろうとする田園風景の先には雲が晴れて全景を表した葉山(標高1462m)が眩(まぶ)しいほど光っています。葉山は山岳信仰の山として江戸時代初期までは羽黒山や月山とともに出羽三山(でわさんざん)の一つに数えられていたそうです。
道の駅「むらやま」で休憩することにしました。村山市は最上川が中央を北へ流れており、観光案内図によれば最上川三難所と呼ばれる碁点(ごてん)・三ケ瀬(みかのせ)・隼(はやぶさ)を舟下りすることが出来るようです。
米沢牛の文字を見つけた同行者は移動販売車へ突進しました。『衣を着たステーキと絶賛されるメンチカツ』のキャッチコピーには私も目が眩(くら)みそうです。
写真を撮る前に米沢牛のメンチカツを勧められて一口食べてみました。同行者は「売店のおじさんがわざわざ揚(あ)げたてをくれたのよ」、そして「女優さんみたいだね」とも言ってくれたと大はしゃぎ。おじさんは御世辞(おせじ)を大奮発(だいふんぱつ)してくれましたが、熱々のメンチカツはキャッチコピー通りの絶品でした。
国道を走るだけでは詰(つ)まりませんから、右手に反(そ)れる県道120号(羽州街道)に入ることにしました。
等間隔で穴が空いた黄色い中央分離帯は融雪(ゆうせつ)施設が埋(う)められているのかもしれません。
袖崎小学校前に巨大な古木が並んでいました。
国道13号を横切って入った県道189号で最上川河畔(かはん)に出ました。
最上川「さみだれの瀬」の大きな立て看板があります。
大石田河岸(おおいしだかし)に下りてみると物資輸送用と思われる船が2艘(そう)陸に上げられていました。大石田は鉄道が開通するまで最上川舟運の中継河岸があったことと、酒田船あるいは最上船とも呼ばれる大石田船の艜舟(ひらたぶね、底が平たく喫水の浅い船)が使われたことが説明されています。
ちなみに、船荷は大石田船が紅花(べにばな)、青苧(あおそ、麻の原料)、真綿(まわた)、蝋(ろう)、漆(うるし)、大豆(だいず)、小豆(あずき)などの雑穀(ざっこく)であり、酒田船の積荷は塩、茶、砂糖、海産物、木綿などだったそうです。
前回の旅でも立ち寄った大石田大橋の周辺に続く白壁の塀蔵(へいぐら)が印象的です。
今回は芭蕉が宿泊した高野一栄宅を大橋の下流で探しましたが見つかりません。
念のため案内看板も確認しても表示されていないので諦(あきら)めることにしました。帰宅後に確認すると、大橋の袂(たもと)で見掛けた案内標識に従い下流方向へ少し辿(たど)ってみた「芭蕉翁真蹟歌仙碑」の近くに高野一栄宅跡の標柱があったようです。
大石田駅前で県道305号(大石田・名木沢線)に入りました。最上川の支流である丹生川(にうがわ)を渡る手前にあった雪捨て場です。ここまでは前回の旅と重複するルートですから、いよいよ次回から本編が始まります。(続く)
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