続・奥の細道疑紀行 赤塚の佐潟から出雲崎へ
佐潟に立ち寄った後は、当初予定していた北国街道(県道2号)ではなく、遅れを取り戻すために海岸沿いの国道402号(日本海夕日ライン)を使って寺泊(てらどまり)へ向うことにしました。このため芭蕉が宿泊した北国街道の弥彦(やひこ)宿は通りません。
防砂林の中を走りました。
越前浜で国道402号は右に折れます。この辺(あた)りの国道402号はこの少し先にある名勝越後七浦の名前をとって「越後七浦シーサイドライン」と呼ばれているようです。
再び防砂林を通過します。新潟県は最北の村上市から西端の糸魚川市まで8つの砂丘が続いていますが、現在通過しているのは西蒲原(にしかんばら)砂丘です。
右手の高台に角田岬灯台が見えました。標高482mの角田山に立つ真っ白な灯台は光達距離が19海里(約35km)とのこと。その下(海側)には「判官舟かくし」があるそうです。判官(ほうがん)と呼ばれていた源義経が兄の頼朝に追われ奥州平泉へ逃げ落ちる途中、舟とともに身を隠したといわれている洞穴(どうけつ)です。
角田山を潜(くぐ)り抜ける 角田トンネルに入ります。
越後七浦シーサイドラインは長岡市寺泊野積(てらどまりのずみ)まで続く13.9kmの海岸道路で、日本海と奇岩が作り出す美しい風景を楽しめます。青森の浅虫温泉で見た裸島や暮坪の立岩に雰囲気が似た立岩は撮影し損(そこ)ねました。
これが「獅子が鼻」のようです。横から見ると獅子(しし)の頭に見えるそうです。獅子はライオンのことですが、狛犬(こまいぬ)のうち角のないものを指すようですから、この場合は後者の方でしょう。
新潟市西蒲区から長岡市へ入り、野積橋北詰交差点を右折して信濃川から分かれた大河津分水路(1922年完成)に架かる野積橋を渡りました。芭蕉は弥彦から峠を越えて、この辺りで海岸に出たのでしょう。
寺泊白岩を通過します。寺泊は伝馬が置かれた北国街道の宿駅であり、古くから漁業が盛んで佐渡へ渡る港町だったそうです。 国分寺が作った無料宿泊所があったことが地名の由来のようです。
佐渡に近い寺泊には現在も佐渡の赤泊(あかどまり)へ行く寺泊フェリーターミナル(佐渡汽船乗り場)があります。ちなみに、佐渡へは距離が少し長くなりますが新潟港から両津(りょうつ)行きと直江津から小木(おぎ)行きのフェリーが出ています。
北限のアオウミガメで知られる寺泊水族博物館もありましたが外観を撮影するだけで通過
白波が立つ日本海を見ながら柏田崎へ向って国道402号(北陸道)を走りました。和島には道の駅「良寛の里わしま」があるようです。あの良寛(りょうかん)さんが晩年の数年間を和島の木村家で過ごし、貞心尼(ていしんに)と出逢(であ)って和歌の師匠になったのもこの和島の地だったそうです。
前方に見えてきたのは良寛さんが生まれた出雲崎(いずもざき)町でしょう。日本海から波が打ち寄せています。
芭蕉が宿泊した出雲崎に入ると「海と夕日の広場」駐車場の案内標識がありましたので車を停めて立ち寄る先を確認しました。この出雲崎は江戸時代に幕府の直轄地(天領)として栄えたそうです。
良寛生誕の地(橘屋跡)である良寛堂(新潟県文化財)です。江戸時代に出雲崎の名主の家で生まれた良寛さんが18歳で出家するまで過ごした場所です。
良寛堂を背にして良寛(りょうかん)の座像がありました。生涯にわたって寺を持たず、40歳頃越後に帰っても質素な生活をしながら庶民に分かり易い言葉で仏法を説いたと言われます。和歌・俳句・漢詩・書などに秀でた良寛さんは72歳で天寿をまっとうされたようです。
交差点から旧北国街道に入って芭蕉園へ足を伸ばしました。芭蕉が宿泊した大崎屋は芭蕉園の真向いにあったと説明されていました。芭蕉は出雲崎で有名な句、『荒海や 佐渡によこたふ 天の河』 を詠(よ)んでいますが、この句とともに佐渡についての芭蕉による記述を彫(ほ)った天河句碑(銀河の序)が後方に見えます。
芭蕉は佐渡には渡っていませんから、自分の知識に想像を交(まじ)えて書いたのでしょう。その代わりではありませんが、半世紀前の学生時代に佐渡へ旅行した時の写真を2枚だけ掲載しましょう。まず佐渡金山に近い相川(あいかわ)の夜祭です。ネット検索すると現在の相川祭りの様子がYouTubeにアップされていました。
もう一枚は「佐渡おけさ」の舞台です。吊(つ)るされた提灯(ちょうちん)には立波会と表示されています。これもネットで検索するとYouTubeで現在の立波会を見つけることが出来ました。そして大正時代に正調佐渡おけさを発表したグループであることも知りました。
芭蕉園のすぐ近くに良寛記念館もありますが、遅れを挽回(ばんかい)する必要があるため、立ち寄りを断念することに。国道402号から国道352号に入り、出雲崎魚港と道の駅「越後出雲崎天領の里」を通過、柏崎(かしわざき)へ向います。(続く)
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