直江津の宿を出立(しゅったつ)した芭蕉は高田に2泊したあと直江津に戻って五智国分寺と居多(こた)神社に参拝し、そして日本海沿いに歩いて名立(なだち)を経て富山県境に近い糸魚川(いといがわ)へ向いました。一方、私たちの「奥の細道」を辿(たど)る今回のドライブ旅は上越市が終着点です。上信越自動車道の上越高田ICに入って約300km走れば自宅に帰着できますが、長旅の疲れを癒(いや)すため芭蕉のルートに倣(なら)って直江津方面に戻ることにしました。
国道18号(上新バイパス)に入って北陸自動車道の上越ICにほど近い割烹(かっぽう)温泉「上越の湯」に到着しました。バイパス道路が開通した田園地帯に平成6年(1994年)11月にオープンした大規模複合施設「上越ウイング・マーケットセンター」(45,000坪の土地面積と11000坪の売り場面積)の一角にありました。
2011年2月に経営が変わって再オープンした日帰り温泉「上越の湯」は24時間・年中無休営業で、平日料金の大人600円(3時間利用は300円)には岩盤浴の利用も含まれています。なお、館内着・タオルセットは別料金(500円)や宿泊パック(朝食付き)は平日料金が3500円のようです。
脱衣場には大型のロッカーが並んでいて使いやすい。
浴室に入ると薄暗い照明に大浴場・ジャグジー・寝風呂・露天風呂・座り湯など多彩な浴槽が並んでいて、温泉を楽しむためには良いのですが、インテリアデザインがいまひとつで楽しさは中位(ちゅうくらい)です。東屋(あずまや)がある露天風呂は壁際にあるため窮屈(きゅうくつ)に感じました。しかし、高温サウナ・低温備長炭(びんちょうたん)サウナ・ブラックシリカ岩盤浴の3種類がありサウナ好きに向いています。
淡黄緑色(透明)である温泉の泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素温泉(低拡張アルカリ性低温水)で、25.3度の源泉が約42度に加温されています。弱アルカリ性ですから肌に柔らかい湯でした。
窓がないため全体的に薄暗く、広いロビーにはリラクゼーション、韓国式あかすりエステ、韓流ほぐし処など各種のボディケアのサービスに加えて、食事処が3か所もあることで「割烹温泉」と珍しい呼び方をしているのでしょう。私にはスーパー銭湯というよりも昔のヘルスセンターの趣(おもむき)が感じられました。
なかでも珍しいと思ったのは個室レンタルルーム(料金は800円/時間)が50室ほど並んでいたことです。テレビや寝具なども備えられていて休憩だけでなく宿泊にも利用できるようです。
フロント脇の広い休憩コーナーで30分ほど身体のほてりを冷ましました。フードコーナーもあってのんびりできる場所です。休憩だけであればリクライニングシートがあるリラックス室、またはごろ寝コーナーが良いでしょう。
「上越の湯」の建物を出た同行者は車に戻る途中に犬を見つけて駆(か)け寄りました。
「湯~太郎」という名の犬でした。
金網で囲まれた犬小屋は細長くて、「湯~太郎」は人影を見ると短距離ダッシュのように犬小屋内を往復しています。よくみるとパットゴルフ場であった施設を犬小屋に流用しているようです。
雨はほぼ止(や)んだようですから出発することにします。上越ICから北陸自動車道に入りました。約4km先にある上越JCTで上信越自動車道にそれました。直進すると芭蕉が向かった名立・富山方面です。
山間(やまあい)に入った上信越自動車は上越高田ICを通過し、妙高(みょうこう)高原を越えると、信州中野IC(147km付近)に差し掛かりました。3年半前に北信濃のドライブ旅をした時に利用したICです。先ほどまでの曇天はすっかり青空に変わっていました。
須坂長野東ICを過ぎた長い下り坂を走りながら信州の景色を楽しみました。
「131.1kmポスト」の電光表示板には都内で10kmの渋滞が発生したことを表示されています。
長野ICを通過します。北信濃のドライブ旅で帰路に着いた時を思い出しました。
更埴(こうしょく)JCTで上信越自動車道は左にカーブします。夕日がまぶしく逆光写真になってしまいました。
坂城(さかき)ICに差し掛かると日がかなり傾いてきたことが分かります。
上田菅平ICも順調に通過。3年前に日本ロマンチック街道をドライブした時にこの近くを通過しています。
東部湯の丸ICを過ぎた場所からみる雲は赤く染まっています。
佐久小諸JCTに差し掛かりました。ここは直進します。ちなみに、中部横断自動車道はまだ一部区間しか開通していませんが、将来は新東名高速道路の新清水JCTまで伸びるそうです。
八風山トンネルで長野県と群馬県の県境を越えると日がとっぷり暮れていましたので、写真撮影は止めて、運転に専念することにしました。急な下り坂を一気に走って松井田妙義IC・下仁田IC・富岡IC・吉井ICを通過すると上信越自動車道の東端に位置する藤岡PAに到着。このPAには藤岡ICとハイウェイオアシスららん藤岡(道の駅ふじおか)が併設されていて、関越自動車道に入る藤岡JCTは目と鼻の先ですから、ここで休憩を兼ねた夕食にすることにしました。長い導入路は伊勢湾岸道路の刈谷ハイウェイオアシスと似ています。
到着したのが午後7時を少し回ったところで、ほとんどの店が閉まっていました。やっと見つけた派手な外装の「東京とんこつラーメン翔(しょう)」に恐(おそ)る恐る入りました。トンコツ・味噌・醤油の3種あるなかから同行者の意見をいれて味噌ねぎらーめん(780円)と焼きギョーザ(330円)を注文しました。
味噌ねぎらーめんは中太縮れ麺に、チャーシュー、メンマ、ネギ、海苔(のり)がトッピングされています。スープはしつこさのない豚骨ベースで、チャーシューは柔らかく美味しいのは良いのですが、麺が柔らかくてスープの味も店構えの割には平凡でした。店名に「東京」とあるのは江戸味噌を使っているからなのでしょう。
焼きギョーザは小振りですが、その味はまずまずでした。つまり、飛び込みで入ったラーメン店としてはいずれのメニューも及第点(きゅうだいてん)だったと思います。
藤岡JCTから走りなれた関越自動車道に入ると、所々で車の輻輳(ふくそう)はありましたが、終点の練馬ICまでほぼ順調に走行できました。しかし、環状8号は夜半になっても混んでいて・・。それはさておき、山形県・秋田県(南端)・新潟県を巡(めぐ)る今回のドライブ旅は、下調べを十分行ったことで、予定したスポットをほぼ計画通りに回ることができました。ちなみに、総走行距離は約1380km、平均燃費は23.0km/リットルでした。
<同行者のコメント> 高田を訪れるとは知りませんでした。昼食を食べた藤作のご主人に高田の見どころを説明していただいたことで、高田バテンレースの店に寄ることができたのはとてもうれしかったです。でも、旦那様に誘われるまま春日山城の本丸跡と天守閣跡まで登ったところ、思いのほか大変な山登りですごく疲れましたが、最後に温泉へゆっくり入ったことで生き返りました。
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