足柄街道を走る(最終回) 御殿場市温泉会館
直進すると県道365号(金太郎富士見ライン)に入りますが、足柄街道(県道78号)にしたがって左折しました。道幅の狭い山道をドライブするのは私の楽しみのひとつです。途中、2台ほどの対向車と出会いました。少しでも幅の広い場所を選ばないとすれ違うことができないのです。
赤坂古道は足柄峠に至る古道のひとつですが足柄古道の一部かもしれません。ちなみに赤坂の名は昔このあたりから須恵器(茶碗や壷)を造るのに使う赤土が取れたことで名づけられたそうです。石畳を敷き詰めてきれいに整備されています。
足柄街道の脇に建つ「唯念上人の大名号塔」の説明文には、『天保元年(1830年)に小山町上の奥野さわの唯念寺(ゆいねんじ)を開いた唯念上人(ゆいねんしょうにん)の筆による日本一の大きな石佛(高さ3.8m、幅1.5m)である。飢饉(ききん)と疫病の流行で苦しむ農民の心を救おうと念仏を唱え祈願を行った。地元の人たちも力を合わせて大きな石に上人の書いた南無阿弥陀仏の名号を彫り、栗の木沢のこの地に建てて上人とともに悪疫退散(あくえきたいさん)と極楽往生を祈った。天保10年(1839年)のことである』とあります。力強い文字に圧倒されました。
JR御殿場線の足柄駅を過ぎて御殿場市内に入ると雲が切れて富士山の中腹が見え始めました。私の念力がやっと通じたようです。
足柄街道(県道78号)で市役所北交差点まで下りたあと、左折して国道138号(御殿場バイパス)を箱根山の乙女(おとめ)峠方面へ進む計画でしたが、市街地を走っても面白くありませんから近道をすることにしました。東名高速道路の下を潜(くぐ)った直後に左の脇道へ入り、東名の足柄SAを回り込む形で東名をもう一度潜(くぐ)って東山湖(ひがしやまこ)の脇に出ました。
国道138号(箱根裏街道、乙女道路)の坂を上って、Lala GOTENBAホテル&リゾートの少し手前を左の脇道に入ると最終目的地の「御殿場市温泉会館」に到着しました。富士カントリークラブに隣接する場所です。施設に接する第1駐車場が満車でしたので、手前の第2駐車場に戻って駐車しました。「温泉会館」へ歩く途中に富士山が見えるスポットを見つけました。偶然でしたが、トンボ(蜻蛉)が富士山の上(?)を飛んでいる様子が写っています。
午後4時過ぎに平凡な平屋の施設に入りました。(この写真は帰る時に撮影)
市営の温泉なので料金は500円(3時間、割引券で50円引き)とリーズナブル。午後10時まで営業(毎週月曜休み)しているようです。
館内の構造は一般的な日帰り温泉です。受付の左手は売店になっており、その先に浴室、和室(8畳x4室)、大広間(78畳)などが並んでいました。
通路の左手前にある浴室の脱衣場は広くありませんが清潔感がありました。高台にあるこの施設の風呂は内風呂のみです。御殿場乙女温泉(乙女1号・2号・3号)の湯は透明でわずかにヌルヌル感のあるナトリウム泉-塩化物・硫酸塩泉・アルカリ性単純温泉で、泉温41.6度)。加水無し、加温有り、濾過循環(ろかじゅんかん)と消毒有りと表示されていました。
大きな浴槽の西方向は全面ガラス張りで、浴槽からでも富士山と御殿場市街が正面に見えますから、夕日が沈む様子を見ながら夜景になるのを待つのが最大の贅沢(ぜいたく)でした。
風呂から上がって大広間(休憩室)に向かいました。南西側には先程通過した風車のある御殿場美華ガーデンがゴルフ場越しに見えます。
余談です。私が最初に購入した車で箱根エリアをよくドライブした昭和40年代の後半に「まわるスカイレストラン ムーラン乙女」(昭和48年開業)として注目を浴びましたが、20年以上前に閉店して廃墟(はいきょ)になっていた記憶があります。ちなみにムーランはフランス語で風車を意味します。そしてムーラン・ルージュ(赤い風車)と言えばパリにある有名なレビュー劇場です。調べるとそのムーラン乙女は5年前に改装され御殿場美華ガーデンとして営業を再開したようです。富士山を見ながら気軽に食事を楽しむのに適したドライブイン(ショップ&レストラン)でしょう。
閑話休題(かんわきゅうだい)。右手に視線を戻すと御殿場の市街地が一望できます。
富士山にふたたび雲が掛かり始めました。
煌(きら)びやかな御殿場の夜景が広がりました。
休憩室(大広間)から見る富士山はカメラを望遠にしないと電線が視界の邪魔(じゃま)になることが残念です。富士山が暗闇(くらやみ)に包まれてしまう前にもう一度温泉に入ることにしました。
数年前に温泉会館が閉鎖されるとの噂が流れましたが、現在は民間業者に委託されて営業しており、客の入りも良いことからその心配は当分なさそうです。食事処(レストラン)はありませんが、売店では土産物から弁当などを売っており、隣の調理場がそば・うどん・ゆで卵(50円)・丼物(どんぶりもの)などを提供していますから、大広間(78畳の休憩室)と和室(8畳4室)を利用して軽い食事をすることができます。地元御殿場の「みくりやそば」(500円)と「みくりやうどん」(500円)がお勧めのメニューのようです。ちなみに、みくりや(御厨)とは神の台所を意味しますが、ここでは御殿場地方の古い地名(明治22年の合併で誕生した御厨町、現在の御殿場市)を指すようです。
富士山の景色と温泉を2度も楽しんだあとはゆっくり休憩すろことにしました。そして、都合2時間あまり滞在したあと、走りなれた東名高速道路を利用して帰路へ。久しぶりに足柄街道のドライブを楽しむとともに、私の予知眼(よちがん)が健在であることを確かめることができた楽しい1日になりました。
<同行者のコメント> 以前行ったことがある場所へまた出かけるという旦那様にはあきれました。でも今回は雪の中でなかったことが良かったと思います。はじめて訪れた日帰り温泉はお湯がなめらかで、しかも浴槽から富士山が真正面に見えたこともうれしいことでした。そういえば、これまで富士山を見に出かけた時に曇っていると、雲間から顔を出してほしいと祈祷師(きとうし)さんみたいに祈っていましたね。
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