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2015年8月23日 (日)

株価の先行き

日銀と政府筋(GPIF)の買い支えによって堅調に推移していた日本株(日経平均株価)が8月18日に20,600円台から約66円下げ、翌19日は330円以上急落し、20日も約190円続落、21日にも約600円と大きく値を下げ、19,435.83円と2万円台の大台を大きく割り込みました。今年6月24日の年初来高値(20,952.71円)から約7.2%下げたことになります。

 

この3か月間、アメリカのダウ平均株価の連続した低落傾向(5月19日の$18,312→8月20日の$16、990、約7.2%)と異なる堅調な値動き(年初来高値から約2.5%安程度)を見せていた日経平均株価が、この数日に急落したことで、ダウ平均の動き(値下げ率)へ一気に近づいたようです。注)21日のダウ平均株価は530.94ドル(3.12%)下落して16,459.75ドル、となり、年初来高値から約10%の低落になりました。一方、中国・上海総合指数がピーク時(6月12日の5,166.35から約3割下げたまま一進一退(8月21日は3,552.82%で約31%安、)を繰り返しているのが気になります。

 

株価の先行きについては専門家の間でも見解が分かれているようです。超楽観的な見方は『日経平均株価が年末から年始にかけて3万円に達する』、次いで楽観的な意見は『たとえある程度下げても底堅い(2万円台に戻す)』とし、慎重な意見は『当面18,500円まで低落し、年内にさらに下げる可能性がある』としています。先週後半、株価急落を受けて政府の関係閣僚が『先行きは心配ない』とのコメントを出して市場の動揺を静めようとしました。先の記事「世界経済の動向予測と資産防衛術」にも書きましたように、株価予想は『当たるも八卦(はっけ)、当たらぬも八卦』ですから、これらの意見に捕(と)らわれる必要はないでしょう。 

 

その記事には、『経済の動向を予測することは不可能に近いので、株式投資や外貨取引を行う時には景気のマクロ的な循環に着目することが有用である』と書きました。しかし、それだけではどの企業の株に投資すればよいかを判断できませんから、今回は「投資先を選ぶ尺度」を紹介します。それは株価が決まる基本に立ち返った考え方(株価がどんな要因で決まるか)です。基本的な考えでは、『株価は企業の現在と近い将来における価値である利益を反映する』とされます。つまり、「今期に一株当たりどれだけの利益が上げられたか」、あるいは「来季に上げられると予想されるか」、具体的には利益総額を発行済み株数で割った数値(一株当たりの利益)が基本になります。

 

株価収益率(PER)は時価総額(株価x発行済み株式数)を純利益で割った数値(言い換えると株価÷一株当たりの利益)、つまり株価が一株当たりの利益の何倍であるかを示す数値で、株価が割安であるか、あるいは割高であるかを判断できる指標です。割安と割高の判断は、同一企業の時系列な変化や同業他社との比較で判断されます。PERの数値がいくらであれば良いかではなく、あくまでも相対的に判断する手段といえます。

 

もう一つの良く利用される指標が企業の資産に着目する株価純資産倍率(PBR)です。株価純資産倍率=株価÷一株あたり純資産額で表現されます。PBRが「1」であれば、企業の株式の時価総額(株価x発行済株数)が解散価値と同額であることを示します。ちなみに、解散価値とは、企業が解散(倒産)したとき、資産総額からすべての負債を支払った後に残った資産をいいます。明快で合理的な指標ですが、貸借対照表から解散価値を導き出すことは容易ではないことが多いため、PBRはPERに比べると株価の判断には使いづらいといようです。

 

3番目の指標は株価キャッシュフロー倍率(PCFR)で、株価が1株当たりのキャッシュフロー(資金の増減、自由に使える資金)の何倍に当たるかを見る指標です。しかし、設備投資を積極的に行った場合には多額の減価償却費が計上されますから、キャッシュフローが減少するとともに当期利益を押し下げることになります。つまり、PERの値が大きくなって割高感を示すことになってしまいますが、近い将来にはその設備投資が利益を増大させるはずですから、PERの判断を補(おぎな)う指標として有用です。ただし、設備投資は業種によって状況が異なりますから、PCFRは同業他社と比較するのが一般的です。

 

そして、最近重視されている指標は株主資本利益率(ROE)で、株主資本(自己資本)が企業の利益にどれだけつながったのかを示す指標です。ROE=1株当たりの利益÷1株あたりの株主資本で表されます。ちなみに、1株あたりの株主資本は株主資本を発行済み株式数で割った値です。ROEが高いほど株主資本を効率よく使い、利益を上げている、つまり能力の高い経営がなされていることを示します。 ちなみに、PER・PBR・ROEの間にはPBR=ROExPERの関係がありますから、PBRが低いからといって、ROEも低い(非効率な経営である)かもしれませんから、PERが小さき(株価が割安)だとは即断できません。

 

上記の他にも株価を判断する指標が存在しますが、ここでは説明を省略します。いくつもの指標をチェックするのは面倒だと考えた方には無理強(むりじ)いをしませんが、上記した4つの指標の都合の良いものだけに注目したり、配当率の高さ・株主優待の魅力だけに捕らわれたりしないことをお勧めします。ちなみに、失敗する考え方(ケース)については先の記事に書きましたから、そちらを参照してください。

 

以上、株式投資の教科書のようなことを書きましたが、株価はあくまでも利益が最重要の指標であることをあらためて強調したいと思います。もちろん、株価は利益以外にも金利や通貨(為替)の動向も大きく影響します。円安になったり金利が低下したりすると株価は上昇する傾向があり、その逆も一般的に成り立ちます。つまり、金利が上がると株価の上昇要因であった会社の業績に陰りが出てくることと、投資家においても株式から預貯金など安定な投資先へ切り替えるからです。ちなみに、為替の変動による影響は輸出関連の企業には円安が、輸入あるいは国内サービス関連企業には円高が有利に働きます。

 

それでは、日本の株式市場と海外の株式市場における株価の関係はどうでしょうか。それぞれの国(上場企業)で決まっているように思われますが、実は主要株式市場は経済活動を通じて相互に影響しあっているのです。経済活動がグローバル化(貿易だけではなく海外での投資とビジネス展開も)したためです。

 

企業の経済活動と同様に株価投資もグローバル化しています。機関投資家の資金はより大きなリターンが得られる株式市場、あるいはより安全な株式市場を求めて投資資金を移動します。アベノミクスの可能性に惹(ひ)かれて海外からの株式投資が増えたことと、株価を下支えするために日銀と政府系(GPIFの資金が株式市場に投入されたことで、実態経済の回復ペースを大きく上回るペースで株価を押し上げました。

 

政府は株価上昇をアベノミクスの成果だと喧伝(けんでん)していますが、本来の目的であるデフレ経済からの脱却と安定した経済成長へ向けての進捗(しんちょく)は、マクロ的な経済指標を見る限り、一進一退を続けています。株価急落を受けて日銀とGPIFがこの数日も株式を買い支えを続けましたが、株価の急落を止めることができませんでした。したがって、この状態を脱するカンフル剤として日銀によるさらなる金融緩和と政府による大型の財政出動がまた行われることになりそうです。

 

先の記事で書きましたように、株価の先行きを占うことは不可能に近いことですから、上記した指標を使って企業の利益率と経営効率に着目して投資先と当時時期を判断されることをお勧めします。その場合でも、株式投資は目先の市場評価や株価の短期的な動きに捕(とら)われてはいけません。ましてや株価の後追い(上昇基調を確認してからあわてて投資すること)は危険です。株価の動きが大きい企業ではなく、積極的な技術革新と堅実なビジネス展開している企業に中長期投資することが成功するために有用だと考えます。ただし、特定の企業に絞(しぼ)って集中投資することでリターンの最大化を狙(ねら)うか、あるいは複数の企業に分散投資してリスクを減らすか、それはあなたが選択することです。

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