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2015年8月 3日 (月)

世界経済の動向予測と資産防衛術

グローバル化した世界経済は予想外の動きを見せ始めています。主要国の経済(景気)動向は従来通り重要な要因ですが、それ以外にも地政学的あるいは外交上の駆け引きによって複雑化しており、遠い将来はもちろんのこと、近い将来を予測することもこれまでより困難になっているのです。

 

このため、経済状況の主要指標である株価と為替、および原油価格などのボラティリティー(変動性)が大きくなっています。つまり、入手できる最新情報の質と量が金融投資の成否を大きく左右する状況となっているため、情報弱者である個人投資家には高いリスクが存在することを意味します。

 

直近の事例として、中国・上海市場の株価は政府がなり振り構わず梃子(てこ)入れをしたにも拘(かかわ)らず下げ止まらないことを受け、世界の主要株式市場の株価が急落しています。また、数字に表れ始めた中国の景気後退傾向は、株価の急落だけではなく、中国の外貨準備高を急速に減少させているようです。この減少はこれまで公表された外貨準備高が水増しされていたのではないか、あるいは公表がはばかられる目的に使われたのかもしれないとの憶測もありますが、恐らくはそれまで大量に流入していた外国の投資資金が一気に流出したものと考えられます。このように景気の冷え込みが顕著になった中国だけでなく、これまで世界経済を牽引してきたアメリカ経済にも陰(かげ)りが見え始めました。

 

国際的な原油価格が低水準を維持していることは、産油国以外には良い環境と言えますが、アメリカにとっては痛し痒(かゆ)しなのです。というのは、シェールガスを積極的に開発しているアメリカは原油を輸入しなくても良いエネルギー大国になりましたが、原油価格の低落でシェールガス産業が打撃を受けていることがアメリカ経済にはマイナス要因となっています。加えて、原油安は、インフレの恐れを後退させるため追加緩和思惑で日欧などドル以外の通貨が下落する(つまりドル高になる)ことが背景となって生じる「原油価格とドルの逆相関関係」があることもアメリカ経済にはマイナスに作用することが多いのです。

 

この動きに先行する形でミニバブル化したのが不動産市場です。中国ではノンバンクの資金を使った大規模な住宅開発が国内各地で行われ、その案件の多くが行き詰まったと言われています。一部では不動産バブルが弾け始めたとの声も出始めました。日本でも東京オリンピックを5年後に控えた東京都心の土地とマンションの市場価格が高騰し続けています。楽観的な専門家は東京オリンピックが終わるまでは現状のミニバブルが続くとしていますが、2004年のアテネ・オリンピック後に不動産バブルが弾けたギリシャを他山の石とすべきでしょう。

 

話を中国に戻します。不動産に向かっていた大量の資金がより安全と見られた株式市場へ流れ込んだことで、前述の株価高騰を招いたことも理解しておく必要があります。これから容易に想像できることは、中国のバブル経済か近い将来崩壊すると、中国人を含む外国人投資家の資金が日本市場から一斉に引き上げられ、東京における不動産ミニバブルの崩壊が意外と早い時期になるかもしれません。国内の状況だけをみていてはいけないのです。老婆心ながら、不動産投資に興味を持っている方はこの外的要因による危うさに十分留意されることをお勧めします。

 

さて、それではこれから世界経済はどのような状況になって行くのでしょうか。残念ながら、それを予測することは不可能に近いのです。といっては身も蓋(ふた)もないのですが、経済の先行きを予測することは過去の経験(いわゆる経済アナリストの予測は当たらないこと)から見てほとんど不可能と言えるでしょう。占いと同じで「当たるも八卦(はっけ)、当たらぬも八卦」と考えるべきです。しかし、ヒントがひとつだけあります。景気動向は、一本調子で良くなったり悪くなったりする単調な変化を見せることは極めて少ないという事実です。株の世界では「まだはもう、もうはまだ」の格言があるのはこのことを指しているのです。

 

むしろ、景気はダイナミックに変動するのが常で、しかもある種の波動をともなって変化することが経験則から学び取れます。景気の波動(景気循環)は、長い周期(10-60年)と短い周期(40か月前後)が組み合わさっていることが多いため、一見すると複雑な変化に見えるのです。つまり、「景気循環」あるいは「景気変動」と呼ばれる経済の本質的な性質です。しかし、人は微(かす)かな兆(きざ)しには鈍感(無頓着)で、経済が大幅に悪化あるは改善したことが明らかになってから、やっと行動を起こそうと思うようです。しかし、そのタイミングで行動してももはや遅すぎるのです。

 

サーフィンに例えると分かりやすいかもしれません。大きな波が近づいて来るのを確認したら、早めに波に乗る体勢に入り、波が立ち上がり始めたところで滑走を始め、波のピーク手前にできる傾斜部で体勢を維持し、波とともに前進するのです。欲張りすぎて波のピークに乗ってしまうと、波の後方へと押しやられてしまいます。サーフィンの例えが理解できない人は、ブランコを思い浮かべると良いかもしれません。サーフィンとブランコ、いずれの場合にもやや早めのタイミングをつかむことが運動エネルギーを効率的に利用する秘訣なのです。

 

個人投資家が株式や為替の取引で失敗するケースとして次のシーンが考えられます。「乗り遅れまいと大きく上昇した株や外貨を慌てて購入する」、「株価あるいは為替レートがピークをつけたタイミングで売ろうと考える」、「逆に購入した株式や外貨が期待とは裏腹に下り続けるとそのまま持ち続ける(いわゆる塩漬けにする)」、ことなどが挙げられます。下がった株や外貨を塩漬けにすると傷口を大きくすることが多いので、直ちに売却(いわゆる損切り)して損失を最小限に留めるのが賢明でしょう。

 

売買のタイミングをつかむためには、まず小額の株式あるいは外貨を購入して、十分長い期間に亘(わた)って株価や為替レートの変動を注意深く観察すると良いでしょう。変動には周期性があることが理解できると思います。これを十分理解できるまでは、デイトレーディングのように頻繁(ひんぱん)に売買を繰り返すことは避けるべきです。一般論として、株価の上昇は物価あるいは賃金の上昇率よりも高い傾向にあり、為替レートも中長期的にはインフレへのヘッジ(保険をかけること)になりますから、余剰資金を株あるいは外貨への投資に回すことは理にかなっています。

 

株式投資の場合は、小さな株価変動には注目せず、まず配当金によるリターンを得ることを考えて銘柄を選び、中長期的には株価上昇を期待するのが良いと思います。しかし、そうして選んだ企業の株価が中長期的に上昇するとは限りません。見込みがない場合は見切る(損切りをする)必要が生じることを理解すべきでしょう。100発百中を狙うのではなく、あくまでも損得を確率で考える(投資先全体から得られる収益性で判断する)のが良いと思います。先行きが期待できる株式銘柄は買い増し、見込みのない株式を売却しながら、ポートフォリオ(金融資産の一覧表)の中身を充実させることを考えるのが成功のポイントだと私は考えています。  

 

ちなみに、デイトレーディングは「労多くして益少なし」だと考えています。機関投資家が行う高性能コンピュータを使った100分の1秒単位の超高速自動売買にパソコンやタブレット(あるいはスマホ)を利用する個人投資家は敵(かなう)うわけがありません。

 

一方、為替取引はゼロサムゲーム(損をする人と得をする人が半分ずついる)ですから、株式投資と違って、長期保有しても利益が得られる保証はまったくありません。中期的なタイムスケール(1ヶ月~1年)を考えた投資に徹することです。日々あるいは時々刻々の変動を利用して利益を得るデイトレーディングは株式と同様に専門家に任せるべきです。ましてや、株式の信用取引と同様に、FX(外国為替証拠金取引)に手を出さないことが身のためでしょう。

 

繰り返し述べたように、世界経済の先行きを読むことは困難です。したがって、自らの「生活の質」(Quality of Life)を大きく左右する自己資産を守るには、経済動向を見ながら各人が理解できると範囲で上記した対応を実践する必要があると私は考えます。これを負担と感じる人にも手立てはあります。それは銀行預金あるいは郵便貯金です。現状の利率は限りなく低い(0.02-0.05%/年)のですが、1000万円までは元本が保証(現行のルールでは)されますから、タンス預金をするよりも明らかに安全かつ有利です。ただ、リスクを減らすためにいくつかの金融機関に分散して預けるのが良いでしょう。

 

少しでも有利に(稼ぎたい)とお考えの方は、いざという時に必要な金額を普通預金(普通貯金)に入れ、残金を金融機関のキャンペーン利率を活用した定期預金(定期貯金)に預けるのが良いでしょう。また、国が発行する国債は、これまで元本と利子(10年もので0.4%/年)が保証されることから安全な投資先で、デフレ経済下では有利な投資先とされてきましたが、現在はデフレからの脱却を目指す政策が実行されているため、やや不透明な環境(金利が上昇して利払いが出来なくなって破綻する可能性が懸念される)に移行しつつあります。購入に当たっては慎重な検討が必要であると思われます。

 

思いつくままに世界の経済動向とその変化に備える手立てについて私見を書き連(つら)ねましたが、最近のギリシャにおける経済危機のようなことが日本で起こった場合には、自らの資産を事前に海外へ移転させて保全しない限り、悪影響を回避する妙案はないと考えた方が良いでしょう。たとえ、外貨預金や外国債券・海外株式へ投資したとしてもリスクを軽減することはできません。残念なことですが、個人投資家は『政府が適切な経済政策を的確なタイミング実行してくれること』をひたすら祈るしかないのです。

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