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2016年1月12日 (火)

南丹のドライブ旅 京丹波町の国重要文化財「渡邉家」

国道27号から大福光寺へ入る時に見かけた案内表示板に「大福光寺」と並んで「渡邉家」と表示されていたことを思い出しました。ネットで検索すると、国の重要文化財に指定された茅葺(かやぶき)の古民家であることが分かり、「大福光寺」の近くのようですから立ち寄ることにしました。

 

探すまでもなく、50mほど国道寄りに戻った場所に「渡邉家」がありました。石垣で嵩上(かさあ)げされた場所です。左手は後年に建てられた住居で、右手の建物は隣家のようです。
 
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昭和50年に国の重要文化財に指定されたことと、昭和52年度に全面解体修理が行われたことが説明されています。
 
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管理人による注意書きが貼られていました。
 
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家人にはどのように声を掛けたら良いかを思案しながら辺りを見回すと、古民家の障子を張り替えている奥さんと思われる方が目に入りました。さっそく、見学したい旨を申し出ると、「今は忙しいから、おじいさんを呼びます」との返事が返ってきました。
 
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南丹市美山町北にある「美山かやぶきの里」(重要伝統的建造物群保存地区)の古民家と同じ入母屋造(いりもやづくり)の茅葺屋根は三層で葺(ふ)かれていることが確認できます。一番上の層が太い萱(かや)で、その下の二層は麦わらと藁(わら)のようです。ちなみに、茅(萱)はススキやヨシの別名です。また、傘つきの裸電球が昭和の時代を感じさせます。
 
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ちなみに、世界遺産の白川郷・合掌造(がっしょうづくり)は切妻造(きりづまづくり、二面だけに屋根面を持つ)に分類され、福島県の大内宿(重要伝統的建造物群保存地区)の茅葺古民家は四方向に傾斜する屋根面を持つ寄棟造(よせむねづくり)です。

 

国重要文化財「渡邉家」の表札には文化教育書道連盟理事長の早川高峰(こうほう)氏の銘(めい)があります。ちなみに、「邉」は「辺」の旧字体である「邊」の俗字。
 
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渡邉家の御主人が古民家の説明をして下さることになりました。私の質問に答える形で、『茅は昔のように茅場で収穫するのではなく、減反で稲作を行わなくなった田圃(たんぼ)で栽培しているため、入手は容易である』と教えて下さいました。茅葺屋根を葺きなおすには多額の費用が掛かることと、国の重要文化財でも所有者が一部を自己負担しなければならないことも。

 

玄関を入った土間(敲き)で見上げると、木を組み合わせて棟(むね)を覆う置千木(おきちぎ)構造で、木材の豊富な山間部に見られるものです。置千木には荒縄で結わえられた細い竹(女子竹、おなごだけ)の上に藁(わら)が積まれています。
 
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左手には牛小屋があります。農耕用に使われた牛が人と同じ屋根の下で暮らした名残(なごり)です。昔の農機具や農耕方法について私のなけなしの知識にも丁寧に頷いて下さいました。私の田舎は京都からそれほど遠く離れている訳ではありませんから、共通することが多かったと思います。
 
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その上は物置用スペースと思われます。薪(たきぎ)などが置かれていたのでしょう。
 
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解体修理が行われた際、造り直されたという土間の奥に竈(かまど)がありました。大小二つの焚口(たきぐち)がついています。左側の小さい方にはご飯を炊く羽釜(はがま)が置かれています。一回り大きい右側は大鍋を載せるために使われるのでしょう。取っ手(把手)がついた木製の蓋(ふた)が置かれています。ご主人に確認しませんでしたが、おそらく土を固めて造られたもののようです。ちなみに、茅葺屋根を煙で燻(いぶ)して長持ちさせるため、煙突は設置されていませんが、国重要文化財に指定されてからは火を焚いていないそうです。
 
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瓶(かめ)と樽(たる)が置かれているのは「流し台」(シンク)と思われます。
 
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その左手は食器などを保管する場所かもしれません。
 
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竈(かまど)の右手には囲炉裏(いろり)がある居間と寝室があります。
 
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居間に上がらせていただくと、家の中が見渡せました。居間の隣(玄関に近い側)は客間で、その奥は座敷になっています。
 
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客間の様子
 
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客間に架けられた欄間額「至宝千載」(しほうせんざい、この上なく大切な宝は長い年月続くの意か?)には「重要文化財指定記念 墨涯」とありますから、書家の西田墨涯氏の先品なのかも知れません。客間の奥は座敷のようです。
 
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「渡邉家」の写真が2枚、茅葺屋根を葺(ふ)き直す前と後を比較しているようです。石垣が積み直されたことも確認できます。
 
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国から重要文化財に認定された証書もあります。下世話な質問でしたが、見学料を徴収しない理由を尋ねると、収入と見做されて面倒だからとの返事が御主人からありました。重要文化財に指定されることは所有者にとっては大きな負担になるようです。
 
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座敷には風情のある板に書かれた書が並んでいます。ちなみに、「一隅(いちぐう)を照らす」は天台宗開祖・最澄の言葉ですが、正しくは「これ則(すなわ)ち国宝なり」が続きます。「それぞれの立場で精一杯努力する人はみんな大事な国の宝だ」という意味です。仁徳(じんとく)は「他をいつくしみ愛する徳」を意味する言葉です。その隣には「感謝の心」と「壽山萬大高」の書が並び、いずれも高峰の銘があります。「壽山」といえば台湾・高雄の景勝地を連想し、萬大は台北の地名にありますが、この書の意味するところは不明です。右手には航空写真と思われるものが置かれています。
 
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「渡邉家」を退出した時、向かい側にも茅葺住宅があることに気づきました。こちらは茅葺の寿命を長くするため、屋根全体がトタンで覆(おお)われています。その利点のために現在はこうする住宅が多いそうです。
 
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(終)
 

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