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2016年2月25日 (木)

「グルメブーム」を考える

現在の日本は何度目かの「グルメブーム」と呼んでも良い状況にあります。テレビ番組(バラエティ番組や「孤独のグルメ」などの食べ歩き番組)・グルメ漫画の「美味しんぼ」・グルメ雑誌・グルメバスツアーなど、グルメ情報で溢(あふ)れています。そして、ラーメン店スイーツ(甘味)の店、食べ放題ランチ、海外発のファストフード店などにできた行列がニュースの対象になっています。

 

ところで、「グルメ」とはなんでしょうか。まず、その意味から考えてみたいと思います。「グルメ」とは料理に詳しい人(食通)を、時にはワインに詳しい人(ソムリエ)を意味するフランス語です。世界の三大料理(フランス・トルコ・中国)の一つであるフランス料理とフランス産ワインを生んだフランスがその発祥(はっしょう)の地と言っても良いでしょう。さらに同じ欧州のスペインとオランダ、アメリカ(ニューヨーク)、中国(北京・上海など)などもグルメで知られています。ちなみに、食通と似ている美食家は料理の値段や味に価値を見出す人であってグルメとは呼びませんが、ここでは一般的な理解(用法)にしたがって食通と美食家をまとめて「グルメ」と呼ぶことにします。

 

日本における食通あるいは食道楽(美食家)は、江戸期(社会が成熟した元禄時代)から戦後まで存在しましたが、それは庶民の楽しみではなく一部の富裕層(上級武士、大店の店主、一流作家、芸能人など)のものとしてだけ存在しました。珍しい食材を食べる人も多かったようで、河豚(ふぐ)の毒にあたって亡くなった歌舞伎俳優(8代目坂東三津五郎)や寄生虫に感染した芸術家(北大路魯山人、ろさんじん)などがよく知られています。また、現代においてグルメ好きが高じて高カロリーな料理を食べすぎると、メタボだけではなく高尿酸値症、ひいては痛風(つうふう)になるリスクが高くなるでしょう。

 

そんな日本でグルメが庶民層にまで広がったのは、1970年代初頭に大阪万博が開催され、マクドナルドとファミレスなどのファストフード店が相次いでオープンしたことで、外食を楽しむ習慣が広まったことによるそうです。さらに、バブル期の1980年代にはより贅沢(ぜいたく)な料理を求めるグルメブームが始まったといわれます。 そして、権威付けが好きな日本における最近のグルメブームは「ミシュラン・ガイド」や「食べログ」なども一役買っているようです。

 

その対象はと言えば、本格的な日本料理(懐石料理・海鮮魚介料理・寿司・天ぷら・うな丼/うな重・トンカツ・お好み焼き・焼き鳥など)はもちろんのこと、世界各地のさまざまな料理、そして外国から日本に伝えられて日本風に生まれ変わったうどん・そば・ラーメン・カレーライス・豆腐(とうふ)料理・コロッケ・オムレツなどもあります。ただし厳密に言えば、10年前に投稿した「食べ物についての薀蓄」の記事に書きましたように、寿司は南アジアから日本へ伝わったとされますから、3番目のグループ(日本風料理)に入れるべきかもしれませんが・・。

 

これらの日本料理に加えて、日本の食材を洋風あるいは中華風に調理したもの、郷土料理や家庭料理を外食にふさわしい形に洗練させてもの、町興(まちおこ)しで考案された創作料理(B級グルメ)など、多種多様です。

 

最近は、海外発の新しい料理が次々と紹介され、それを提供する店も日本に出店しています。その例を思いつくままに挙(あ)げると、熟成肉(じゅくせいにく)、シュラスコ(ブラジル)、パンケーキ、フレンチトースト、かき氷、高級ポップコーン、タコベル(メキシコ料理)、カメハメハ・ベーカリー(ハワイ)、サムギョプサル(韓国)、シェイクシャックのグルメバーガーなど、枚挙(まいきょ)に暇(いとま)がありません。

 

グルメから少し逸(そ)れますが、2013年にユネスコの世界文化遺産として登録された「和食」とは「日本人の伝統的な食文化」であって、具体的な日本料理のメニューが指定されているわけではありません。「和食」に一歩先んじて2010年に「フランスの美食術」「地中海料理(スペイン・イタリア・ギリシャ・モロッコ)」「メキシコの伝統料理」が登録され、2011年には「ケシケシの伝統(麦で作るトルコの粥)」が追加されました。いずれも「危機に瀕(ひん)している文化」を保護しようというのが選定の条件のようです。ということは、「和食」が「危機に瀕している」とユネスコに認められたのです。

 

この場合の「和食」とは、一般家庭の食事・郷土料理・正月や催事の料理などを指し、それらの基本となるのは主食である「ご飯」と副食である「(味噌)汁」「菜」「漬け物」を合わせた4点です。そして、料理を「箸(はし)」と「椀(わん)」を使って(手に持って)主食と副食を交互に食べることも伝統的な食文化です。さらに、身の周りにある食材(米・野菜・魚介・昆布など)を食べるということも伝統的な食文化なのです。

 

そして、味付けは伝統的な発酵食品である味噌・醤油と昆布あるいは鰹節(かつおぶし)で作られる出汁(だし)の存在が不可欠であり、食べる行為は家族または地縁者との間のコミュニケーションの場でもあったのです。しかし、急速な都市化・過疎化・単身者の増加でその場が失われつつあると懸念されるのです。世界文化遺産に登録されたことで日本は「和食」(伝統的な食文化)を保存する方策と、その成果をユネスコに報告する義務があるのです。ちなみに、世界文化遺産に指定されている「富士山」も同様なのです。

 

世界文化遺産に登録される前から「日本料理」が世界的なブームとなっています。その背景には「日本料理」がヘルシーである(身体に良い)と考えられていることがあります。つまり、青魚・穀類・野菜などを中心とする「日本食/和食」は欧米の料理のように動物性脂質をほとんど含まないことが最大の理由です。それに世界一の長寿国であることも「日本料理」にプラスのイメージを与えていると考えられます。しかし、「日本食/和食ブーム」を手放しで喜ぶだけではなく、日本人は伝統的な食文化である「和食」を再認識して、日々実践(じっせん)する努力を重ねる必要があると思います。

 

ところで、グルメ好きのあなたは食通と美食家のどちらを選びますか?

 

                       ☆ 

 

余談です。2月18日付毎日新聞の国際面に興味深い記事を見つけました。その主旨(しゅし)は、『世界で生産される食料のうち約三分の一が廃棄(はいき)されているが、その現状を変えようとする動きがフランスで高まり、全土にある大型スーパーが売れ残りの食品を廃棄することを禁じ・慈善団体に寄付することを義務付ける法律が成立した。1人当たりの年間食料廃棄量(はいきりょう)は先進国(欧州・北米・豪州・日中韓)で多いが、その主な原因は消費段階での廃棄が多いためであり、生産から小売までの段階では大きな差はない。もちろん、日本も廃棄量が多いグループに含まれており、その総量はフランスとほぼ同じである(筆者注、人口は日本がフランスの約2倍)ですから、一人当たりの廃棄量は約半分)』というものです。

 

                       ☆

2016_02250001今回紹介する花は「ガーデン・シクラメン」です。赤・白・ピンク・紫・ワインレッド・赤目の6色があるそうですが、わが家では赤・白・ピンクの3種類を育てています。
 

シクラメンは冬に咲く花のなかでも人気があるサクラソウ科シクラメン属に属する多年草(開花期は11~4月)です。シクラメンの名前の由来は野生種の茎が螺旋状(らせんじょう)に回ることからギリシャ語で螺旋を意味する「キクロス」(kyklos)と呼ばれ、それが転じてシクラメン(cyclamen、ひと回りする者)になったようです。原産地は地中海沿岸であり、原種(15~20種類存在する)は「シクラメン・ペルシカム」(Cyclamen persicum)と呼ばれます。2年前、クロアチアを旅行した時にプリトヴィッツェ湖群国立公園内でシクラメンの原種を見かけました。これらの原種がヨーロッパ各国で交配され、大きくて美しい色の花を咲かせる園芸品種として世界各国に広がったのだそうです。ちなみに、日本には明治に入ってから伝えられたようです、和名は花の形から「篝火花」(かがりびばな)、あるいは球根の形が丸いことで「豚の饅頭」(まんじゅう)と呼ばれます。 

 

シクラメンには、高温・多湿を嫌い、涼しい場所を好むという性質があり、夏は葉を落として休眠します。以前は高価な花で「冬の女王」と呼ばれましたが、現在は花鉢に植えられたシクラメンを室内で気楽に楽しむことができます。一方、今回紹介する「ガーデン・シクラメン」は耐寒性のある原種のシクラメンを元に育成された小型のシクラメンで、耐寒性が弱い一般的なシクラメンと栽培方法が異なり、名前の通り冬の屋外でも楽しむことができます。 

 

ちなみに、「ガーデン・シクラメン」の花言葉は、赤い花が「はにかみ」、白い花が「嫉妬、思いやり」、と普通のシクラメンとほぼ同じです。 

 

なお、「ガーデン・シクラメン」と見た目が似ている「ミニ・シクラメン」(草丈15~20cm)は普通のシクラメンを小型化したものであり、霜に当たると枯れますから、屋外で育てる目的には向きません。

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