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2016年6月21日 (火)

「Windows 10へのアップグレード」を考える

マイクロソフト社の最新OSである"Windows 10"は昨年7月にリリースされてから間もなく1年になろうとしています。リリース直後でもない現在、その"Windows 10"が話題になっているようです。その理由は良い評価ばかりではなく、むしろ"Windows OS"の利用者から不興(ふきょう)を買っているというのです。ちなみに、半年前に「"Windows 10"について今思うこと」の記事を投稿していますから、そちらも参照してください。

 

本題に入る前に"Windows 10"が生まれた背景を振り返ります。2001年に発表されて以来人気が高かった"Windows XP"の基本構成を継承した"Windows 7"が2009年にリリースされた3年後の2012年に"Windows 8"がリリースされました。"Windows7"は"Windows XP"に次いで好評でしたが、急速に普及しはじめたiPadなどのタブレット端末に危機感を覚えたマイクロソフト社は、パソコンをタブレットのように使えるOSを市場に投入することで低落するパソコン人気を挽回する戦略へと舵(かじ)を切りました。その戦略商品と位置付けられたのが"Windows 8"だったのです

 

しかし、鳴り物入りで市場に投入した"Windows 8"が不人気であったため、マイクロソフト社はその改良版として"Windows 8.1"をリリースしましたが、"Windows 8"と同様、ユーザーエクスペリエンス(利用者にとっての使い勝手)を軽視したタブレット志向のユーザーインターフェイス(入力画面のデザインとタッチパネル機能)は利用者に受け入れられず、大失敗に終わりました。"Windows Me"(2000年リリース)と"Windows Vista"(2006年リリース)に続く3度目の失敗によってやっと戦略の誤りに気付いたマイクロソフト社は、"Windows XP"と"Windows 7"の良さを生かしながら、究極のOSと位置付ける"Windows 10"をリリースしたのです。

 

究極という意味は、数年ごとに新しいOSをリリースすることで買い替え需要を喚起して収益を得るというマイクロソフト社のビジネスモデルを止めて、アプリケーションやサービスで収益を得るビジネスモデルへ転換したのです。この戦略を推進するため、マイクロソフト社は"Windows 10"のリリースと同時に、旧OSである"Windows 7"と"Windows 8/8.1"の利用者が無償で"Windows 10"へアップグレードできるサービス(1年間の期間限定)を始めました。注、"Windows 8"は一旦"Windows 8.1"へアップグレードしてから"Windows 10"へアップグレードす必要がある

 

本題に入ります。"Windows 10"への無償アップグレードは"Windows 7"と"Windows 8/8.1"の利用者にとって朗報(ろうほう)であるはずです。購入すれば1万5千円ないし2万円を支払う必要があります。なのに、"Wondows 10"へ無償アップグレードをしない(応じない)利用者が多いのです。ちなみに、新規購入と無償アップグレード版を含めた"Windows 10"のシェアは、リリースして3か月後の昨年10月時点で、約8%と低調な伸びに留まっていました。

 

これに業を煮やしたのか、今年に入ってからマイクロソフト社はあの手この手で半強制的にアップグレードさせる手段を講じたのです。従来は、アップグレードの意思を確認(合意)しないとそのままの状態が維持されたのですが、最近になって「知らない間に」あるいは「アップグレードを承認していない」のにいつの間にか"Windows 10"がインストールされてしまう事例が多発しているようです。私の知人もその一人で、元へ戻す(ダウングレード)するために大変苦労したと不満を述べていました。

 

なぜ、マイクロソフト社は「親切の押し売り」をするのでしょうか。"Windows 10"への強制的とも思われるアップグレードは「親切心」からではなく、マイクロソフト社の事情(秘めた狙い)があるからなのです。最大の狙いは古いOSをサポートするコストです。2015年1月に"Windows 7"のメインストリームサポートが終了し、新機能の追加やセキュリティ以外の修正は終了しました。ちなみに、セキュリティが中心の延長サポートは2020年1月まで。一方、"Windows 8.1"は2018年1月にメインストリームサポートが中止、2023年1月に延長サポートも中止となる予定です。

 

2016年3月時点でのOSのシェアは、"Windows 7"が51.9%、"Windows XP"が10.9%、"Windows 10"が14.1%、"Windows 8/8.1"が12%、"Mac OS X" が4%、その他が約7%で、"Windows OS"における"Windows 10"の割合はリリースされて8ヶ月後でもまだ15%程度なのです。マイクロソフト社が危機感を強めたことは想像に難(かた)くありません.延長サポート期間が数年残っている85%の旧OS利用者を何がなんでも減らしたいのでしょう。

 

一方、利用者が"Windows 10"へアップグレードしない(したくない)理由はなんでしょうか。「面倒だ」「やり方が分からない」などパソコンに詳しくない人たちの理由にはマイクロソフト社が「親切心」で上記の対応をしてくれています。パソコンに少し詳しい人の場合は「必要性を感じない」や「不都合が生じるのではないか」が理由でしょう。現状に満足している人にアップグレードをさせようとするのは、「馬を水辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」というイギリスの諺(ことわざ)通りに困難です。注、英語では、"You can take a horse to the water, but you cant make him drink."と表記

 

一番の心理的な障壁は「不都合が生じるのではないかという心配」だと思います。具体的には、「現用パソコンでも十分性能を発揮するか」「手持ちのアプリケーションと互換性があるか」、あるいは「プリンターなどの周辺機器が使えるか」が思いつきます。

 

「パソコンの能力」については、マイクロソフト社がおおよその目安をオンラインで与えてくれますから、それを参考にすることができます。パソコンのタスクバーから「"Windows 10"を入手する」アプリを起動し、メニューから「PCのチェック」をクリックすることで確認できます。また、パソコンに詳しい人は、CPUの能力、メモリー容量、ビデオカードの能力、HDDの容量をチェックしても良いでしょう。そして、一番確実な方法はパソコンのメーカーに問い合わせることです。

 

「アプリケーション」については、一つひとつについて"Windows 10"に対応しているか、あるいは"Windows 10"対応へアップグレードできるかを確認する必要があります。もし、それが不可の場合は使用を諦(あきら)めるか、"Windows 10"に対応する新しいアプリケーションを購入する必要があります。

 

「周辺機器」についても同様で、"Windows 10"対応のドライバーを入手して、それをインストールする必要があります。数年を経た周辺機器の場合はメーカーが"Windows 10"対応のドライバーを提供していないことがあります。そのとき場合は残念ながら、新しい周辺機器を購入し直すしかありません。

 

その場合、マイクロソフト社はこの費用を負担してくれませんから、すべて自己負担になりです。というのも、パソコンは耐久消費財として分類されますが、自動車などとは違い現実には衣類・靴・鞄などと同じ半耐久消費財として扱われていますから、不十分な互換性を理由にパソコン・メーカーや周辺機器メーカーを責めることはできません。

 

結論です。マイクロソフト社は"Windows 10"を最終版のOSと位置付けているようですから、"Windows 10"において上記の互換性問題は改善されることが期待できます。ただし、"Windows 10"自身のバージョンアップはこれからも行われますから、マイナーな互換性問題がなくなることを保証しているわけではありません。残念ながら、「永遠の未完成商品」であるパソコンについての悩みはこれからも絶えることはないでしょう。

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