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2016年8月17日 (水)

今年後半の経済状況を考える

一年の折り返し点を過ぎた7月に参議院選挙と東京都知事選挙がありましたが、その結果と、それらが日本経済に与える影響に注目しました。7月10日に行われた参議院選挙では与党(自公)が過半数を大幅に超える議席を獲得したことを市場は歓迎して、日経平均株価が15,500円の水準から1,000円以上急上昇して16,500円を上回る水準まで回復しました。これと同時に「円」も円高傾向に歯止めがかかり、107円前後まで円安方向へ反転しました。

 

次いで行われた都知事選では「先出しじゃんけん」と「個人対政党の構図」を強烈に押し出した小池百合子氏が、与党(自公)推薦候補者と野党4党が統一して推薦した候補者を圧倒的な票差で破り、予想以上に圧勝しました。市場はこれにも反応して、日経平均株価は約250円急落して16,000円前後まで下落。10年物の国債の入札も低い落札価格(長期金利の急上昇、実際はマイナス金利幅の縮小)となり、それに嫌気をさした外国人投資家の資金は「円」に流れて対米ドルで101円前後まで上昇して円高が進み、8月16日には一時100円を切って99円台に突入。

 

安倍首相は2つの選挙後に、経済政策が最優先課題であるとして、景気にテコ入れするため4.5兆円(事業規模28.1兆円)の補正予算を組むと発表しました。経済専門家によるとGDPを押し上げる効果があるとしていますが、低所得者(2200万人)への現金(1.5万円)の支給と所得の低い年金受給者(1250万人)への臨時給付金(3万円)を除けば公共投資(新規建設国債による港の整備やリニア新幹線の大阪延伸など)がほとんどで、これまでの実績を見れば分かるように継続的な経済成長は期待できません。そして、非正規雇用者の増大(雇用者全体の4割)は低年金者をさらに増やすことにつながることは明らかです。選挙を意識した現金のバラマキや公共投資ではなく、長期的な経済成長戦略と抜本的な低年金者への対策が喫緊(きっきん)の課題になっています。

 

これまで金融緩和策(黒田バズーカ)でアベノミクスを牽引(けんいん)してきた日銀は、今年初めにマイナス金利を導入したにもかかわらず、狙いとは逆に円高と株安に弾みがつき、2014年の消費税アップ以来、消費支出の不振は継続中で、つまり失われた20年に戻ったようであり、日銀が目標とする物価上昇率2%を達成するどころか、消費者物価指数はマイナスの伸び(つまり落ち込む状態)が続いています。今月に入って日銀の黒田総裁は9月に金融政策(マイナス金利付き量的・質的金融緩和)の検証を行うと発言していますが、具体的なコメントはないままマイナス金利は0.1%に据え置かれ、日銀が手詰まり状態であることを海外の投資家に印象付けました。

 

すなわち、黒田総裁の楽観的な(金融緩和の縮小を否定する)発言とは裏腹に、上記したように株価・円・国債はネガティブな状況に陥っているだけではなく、マイナス金利の影響で活況となることが期待された不動産市場(ETFを含む)も雲行きが怪しくなって来ました。マイナス金利の導入時に黒田総裁は住宅購入(または住宅関連投資)に積極的な人が増えると語ったことがあります。確かに住宅ローンの借り換えは目立ちましたが、不動産投資は弱含みのままです。相続税対策としてアパート経営を勧めた金融機関もありましたが、賃貸住宅は供給過剰の状態にあり、この分野に投資した人はいち早くバブル崩壊(借り手不足の状態)に直面しているようです。

 

9月に行われる日銀による政策検証で、政策の過ち(つまり失敗)を認めることはないでしょうから、政策の綻(ほころ)びを手直しするだけに終わる可能性が高いと思われます。また、米国のFRBは史上最高水準に象徴されるように経済と労働市場が堅調であるとの認識は強いようですが、年内(9月あるいは12月)に金利の引き上げに動く可能性は五分五分(あるいはそれ以下)でしょう。それはアメリカにおける消費者物価は安定しており、金利を引き上げる緊急性はないからです。つまり、円高が円安へと転換して日本の株価が上昇する可能性は低いと考えられます。

 

このままの無策が続くようであれば、いよいよ「苦肉(くにく)の策」しか残されていません。それは最悪のシナリオですが、政府が10年を超える50年債(あるいは無期限債)など超長期の無利子国債(ヘリコプターマネー)を大量に発行して、日銀がそれを買い取るというものです。一見すると誰も困らない素晴らしいアイディアのように思われるかもしれませんが、この悪手は国債の格下げや円の暴落による「日本経済崩壊」への道につながっています。いうまでもなく、錬金術(れんじんじゅつ)や無制限に金を引き出せる金庫(ドラえもんのポケット)は存在しないのです。

 

経済成長率は今年前半(1月から6月まで)がマイナス成長で推移し、東証一部に上場する企業の経常利益も4-6月期は前年同期比でマイナス16.2%と急激に減少(特に、鉄鋼・造船・海運・自動車・銀行など)し、3四半期連続しての悪化となりました。このように悲観的な環境条件しか思い浮かばない現状においては、今年の後半の日本経済は残念ながら、昨年後半と比較にならないほど、不安定(不確実)な状況に陥(おちい)ると考えざるをえません。今回記事の結論は、『恣意的(しいてき)あるいは意図的(いとてき)に流される楽観的な意見や強気な意見に振り回されるのではなく、自己判断と自己防衛に徹するべきである』 です。参考になれば幸いです。

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