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2017年1月23日 (月)

汎アメリカ主義が復活する!?

1月20日、アメリカの第45代大統領にロナルド・トランプ氏が正式に就任しました。大統領選挙期間中に、「アメリカ第一主義」「企業活動(雇用機会)のアメリカ本土回帰」「貿易不均衡を解消する関税障壁の強化」「不法移民・麻薬流入対策としての国境壁建設」など、汎(はん)アメリカ主義(いわゆるモンロー主義)を想起させる発言を繰り返してきた経緯から就任演説の内容が注目されていました。

 

やはり予測通り(あるいは変わるのではないかとのかすかな期待を裏切って)、1月20日(現地時間)に開催された就任式における演説でトランプ氏は選挙期間中と同様のスローガンを繰り返すだけで、政治理念は言うにおよばず、スローガンを実現するための具体的な政策を述べることはありませでした。また、ホワイトハウスのhpで6分野(エネルギー/外交/雇用・経済/国防/治安・移民/貿易)の基本政策を発表して、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの離脱と北米自由貿易協定(NAFTA)について再交渉することを表明しました。

 

そして、目立ったのはオバマ前政権の重要政策からの方針転換を強調するものです。大統領令を出して、医療保険制度改革(いわゆるオバマケア)の撤廃方針を指示しました。ただし、ひとつだけ含まれていなかったことがあります。それはドル高の主要原因として中国を為替操作国に指定することでした。あまりにも現実と乖離した(注、現状の中国は大量のドルを売って自国通貨、元の低落を押さえており、その結果としてドル安に貢献中)ステレオタイプ(思い込み)の考えを自覚し、悪影響(逆効果)を考慮せざるを得なかったからでしょう。

 

閑話休題。200年前に第5代大統領のモンロー氏が孤立主義(アメリカ大陸と欧州の相互不干渉)を提唱しました。その背景は北米大陸にあったスペインの植民の独立運動に対して反ナショナリズムのオーストリアやラテンアメリカに工業製品を売り込もうとするイギリスなどが干渉したことであり、それをアメリカに対する敵対行為とみなすというもので、モンロー主義とも呼ばれました。また、ロシアが当時ロシア領であったアラスカから南下することも警戒していたとされます。注、当時のアメリカは東部の19州からなり、それ以外の地域(深南部のフロリダ/ミシシッピー/アラバマとミシシッピー川以西、ただしフランスから買収したルイジアナを除く)はフランスとスペインなどの領土であった

 

その後も、スペインの植民地から独立したメキシコから分離独立したテキサスの併合に次いで、メキシコとの戦争に勝利したアメリカはメキシコの領土(カリフォルニア、ネバダ、ユタ、アリゾナ、ニューメキシコ、ワイオミング、コロラド)を割譲(かつじょう、所有物の一部を譲ること)させてアメリカ大陸での勢力拡大を図り、1898年にはハワイを併合し、グアムとフィリピン(1946年に独立)を獲得して太平洋全域にも進出しました。

 

このことから明らかなようにアメリカの孤立主義、つまり汎アメリカ主義は相互に干渉しない単純な一国主義(単独行動主義)ではなく、他国からの干渉を排除しながら、自国の利益(特に領土獲得)を周辺地域で最大化するご都合主義であったことが特徴的なのです。

 

このモンロー主義を堅持して国力を蓄えたアメリカは日本との太平洋戦争を機に第二次世界大戦に参戦し、戦後になると台頭していたソ連との冷戦により、孤立主義を放棄して、いわゆる「世界の警察官」として国際社会へ積極的に介入する覇権(はけん)主義へと方針を転換しました。主要な対戦国のひとつであった日本を望ましい体制の国(親米国家)にすることに成功して自信を深めましたが、その後は朝鮮、イラン、ベトナム、ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、東部アフリカ諸国などへの軍事干渉・介入の事例は枚挙に暇(いとま)がありません。しかし、いずれのケースも失敗に終わったことで2013年ころからアメリカ国内と議会に孤立主義の考えが復活し始めたのです。

 

この潮流にうまく乗ったトランプ候補は当初、泡沫(ほうまつ)候補とされましたが尻上がりに支持を集めて、最終的には大統領に選ばれたのです。経済のグローバル化により凋落(ちょうらく)・貧困化した白人労働階級やグローバル化とは無縁であった中西部の地域住民の心を巧みに掌握(しょうあく)することに成功。劇場型の演出により、論理的な矛盾を覆い隠し、具体的な政策と実行可能性の論議よりも、従来とは違うことだけを強調することに終始しました。

 

さきに述べたように、トランプ政権が繰り返し述べたスローガンをどのように実現するのかはまだ不明であり予断を許しません。しかし、200年前のような領土拡大は困難としても、経済分野と軍事分野での覇権(はけん)を目指していることは先の宣誓式における演説とホワイトハウスのhpに掲載された6つの基本政策からみて明らかです。

 

これに半年先行する形で昨年6月にイギリスでおこなわれた国民投票でEUを脱退する意見が過半数を占めて世界を驚かせました。EUとの難しい交渉を行うことになったテリーザ・メイ首相の考え方はトランプ大統領のそれとは異なります(むしろ対極をなす)が、世界経済への影響という点では同等に重要であり、今年はこの二人の政治家の動きから目を離せません。注、トランプ大統領は最初の首脳会談の相手としてメイ首相を選択(1月27日の予定)

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