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2017年7月26日 (水)

自動車革命

前回までの記事で紹介した「自動運転バス」に続いて自動車の話題です。日本ではあまり注目されていませんが、蒸気自動車に始まって200年以上もの長い歴史がある自動車は近いうちに最大の変革期に差しかかることが明らかになりました。それでは、「自動車の変革」とはいったい何でしょうか。ここでいう変革は先に紹介した自動運転のことではありません。それはガソリンや軽油などの化石燃料を使う内燃機関(エンジン)を搭載する自動車が終焉(しゅうえん)を迎えるかもしれないことです。つまり、1885年にドイツ人技術者のダイムラーが内燃機関付き自動二輪車を、翌1886年年に自動四輪車を開発してから約130年、揺(ゆ)るぎないと思われてきたエンジンを搭載する従来型の自動車が姿を消すかもしれないのです。

 

この動きは昨年からヨーロッパを中心に具体化し始めています。ドイツでは2030年までに内燃機関(エンジン)を動力源とする自動車を電気自動車に置き換える決議を昨年11月に採択しました。オランダとノルウェーも2025年までにガソリン車を廃止すると伝えられました。これに続いてフランスも2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売を停止する目標を7月の始めに発表し、イギリスも同様に2040年までに販売を禁止することを7月下旬に発表しました。また、アメリカでは電気自動車を販売しなければ反則金を課す制度が発足しています。

 

また、アメリカを凌駕(りょうが)して世界第一位の自動車大国になった中国は、大気汚染対策として電気自動車の普及に力を注いでおり、電気自動車・プラグインハイブリッド車・燃料電池車の生産目標をメーカーに義務付けています。2020年には市場全体の7%に相当する200万台超、2030年には同じく40%の1500万台以上に引き上げ目標を掲げています。ちなみに、中国でのエコカーは電気自動車とPHVだけで、ハイブリッド車とガソリン車は対象外です。インドでも2030年までにガソリン車とジーゼル車の国内販売を禁止する方針を明らかにしています。

 

現在、自動車の生産台数が中国とアメリカに次いで世界第3位である日本は、日産と三菱自動車が電気自動車を、トヨタ・ホンダ・三菱自動車がPHVを販売していますが、いずれも年間の販売量は数万台以下に留まっています。これは従来のガソリン車の大半とハイブリッド車がエコカーに認定されて減税の対象になっていることで、電気自動車とPHVが特別に優遇されているわけではないことが一因であると考えられます。ハイブリッド車で優位な状況にあるトヨタ自動車も、従来の燃料電池車(FCV)の開発を優先する方針から転換し、遅ればせながら平成32年(2020年)までに電気自動車を量産する計画を持っているようです。

 

歴史を振り返ると、意外なことに1839年に開発された電気自動車はガソリン自動車よりも50年ほど長い歴史を持っています。ただし、当時は実用化に必要な技術がなかったため、実用化されたのは30年以上後の1873年です。そして、1900年ころには蒸気・ガソリン・電気と3種類の動力源を利用する自動車が普及し、その内電気自動車が40%を占める時期がありました。その理由は、電気自動車は製造と保守が容易で、排気ガスが出ないことでした。しかし、ガソリン自動車の技術(点火装置など)が飛躍的に進歩したことで、性能面でガソリン車が電気自動車を上回り、圧倒的に優位な状況になりました。さらに、1908年に量産型T型フォードの登場でその差は決定的に。

 

1960年代になるとガソリン車の排ガスによる大気汚染が深刻になり、1970年代には石油ショック(原油価格の高騰)で電気自動車に再び注目が集まりました。しかし、ガソリン車の排出ガス浄化技術が進歩し、石油価格が落ち着くと、電気自動車への関心は薄れてしまいました。そして、1990年代に地球温暖化問題と化石燃料の枯渇問題が喫緊(きっきん)の課題となると、各メーカーが電気自動車の開発を始めたのです。その象徴が「フォーミュラE」です。国際自動車連盟(FIA)が開催するフォーミュラー・カーレース「フォーミュラワン(F1)世界選手権」に相当する「電気自動車のカーレース「フォーミュラE選手権」を同じFIAが2014年にスタートさせました。
 
日本では先述したように三菱自動車と日産から実用車が販売されましたが、国の積極的な支援や政策がないため、普及は進んでいません。一方、アメリカではベンチャー企業のテスラモーターズが政府からの援助を受けて事業を拡大し、昨年(2016年)の生産台数は約8万4000台(前年比64%増)となっています。またアメリカを凌駕(りょうが)して世界一の自動車大国となった中国は国策として電気自動車の普及を図っています。増加し過ぎたエンジン付きのバイクを規制して、電動バイクの分野で世界を牽引する実績(バッテリーや充電インフラなど)も中国の強みと言えるでしょう。

 

電気自動車が各国の目標通りに普及するかどうかは予断を許しませんが、多数の自動車メーカーを生き残らせる日本政府の現状政策は皮肉なことに他の自動車先進国との格差を拡大させる恐れがあります。一時はガラケイで世界に存在感を示した日本製の携帯電話端末が、他国のスマホに駆逐(くちく)されて、壊滅状態に陥った悪夢が自動車においても再発しないとは限りません。日本産業の大黒柱である自動車業界を電気自動車で活性化させることは日本において喫緊(きっきん)の最重要課題であることは確かです。

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