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2018年3月

2018年3月31日 (土)

フェイスブックの時価総額が1日で約4兆円も急減、何が起こったのか?

319日、SNSの代表格であるアメリカのフェイスブック(Facebook2004年創業、アクティブユーザー数20億人超、2017年の売上約4.3兆円)社の株価が約9%(184ドルから170ドルへ)急落して、同社の時価総額はわずか1日で370億ドル(約9%、約3.9兆円)も減少した。これにより同社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏の資産額は約51億ドル(約5400億円)減少してしまった。ちなみに、ザッカーバーグ氏はフェイスブック社の発行株式の16%を保有しており、フォーブス氏によればその資産額は695億ドル(約7.3兆円)と試算されている。注、328日には152ドルへと316日の株価から17%下落したことからマーク・ザッカーバーグ氏の資産額は118億ドル(12400億円)減少したとみられる

 

この株価急落の背景は2016年の米大統領選挙で、トランプ陣営が雇った調査企業のケンブリッジ・アナリティカ(CA)社が、5000万名のフェイスブックユーザーの個人情報を不正収集していたとの内部通報者の情報による報道がニューヨーク・タイムズ紙によって流されたことにある。昨年来、同社はフェイクニュースの発信源として批判を浴び、イギリスや欧州諸国の世論の混乱を招いたと避難されていた。

 

また、フェイスブックのセキュリティの脆弱性は度々指摘されている。200912月にはプライバシーポリシーを変更したことにより個人情報が利用者に無断で第三者に提供されたため、プライバシー容疑団体などがフェイスブックを込め連邦取引委員会(FTC)に提訴した。201111月、提訴者とフェイスブックはセキュリティとプライバシーに関して誤解を招く表現を使わないことと利用者が意識して承諾する方法を採用することで和解した。

 

20136月には加入者の個人情報が米国家安全保障局などの情報機関に提供されたことがワシントン・ポストによって報道され、その後も携帯電話番号が無断で送信される機能や利用者の携帯電話から音声を収集・分析しているのではないかとの疑義が出されている。

 

今回のスキャンダルの中心人物とされるのは英ケンブリッジ大学の心理学者アレクサンドル・コーガン氏で、ロシアのサンクトペテルブルク大の研究チームと心理テストの共同研究を行っていた人物である。フェイスブックによると、約27万人がこの心理テストを提供するアプリをダウンロードしたが、このアプリは利用者に通知したり同意を得たりすることなく、すべてのフェイスブック上の友人についてのデータも収集していた。コーガン氏は、フェイスブックの利用規約に違反して、こうして集めたデータを英データ会社ケンブリッジ・アナリティカ(CA)に売り渡したとして批判を浴びている。

 

つまり、5000万人の個人データはハッキングによりフェイスブックから流出したのではないが、フェイスブックの甘い個人データ管理と個人データを使って収益を上げる同社のビジネスモデルがこのスキャンダルの背景となったとして、同社の道義的責任が問われているのである。また、CA社は2016年の米大統領選でトランプ陣営を支援するターゲティング広告に、このデータを活用したことが同社のアレクサンダー・ニックス最高経営責任者(CEO)によって明らかにされた。その資金はトランプ大統領の支援者や側近によって約1500万ドル(約16億円)の資金援助で行われたことをニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

 

321日、マーク・ザッカーバーグCEOCNNの番組に出演して、『不正が起こった時点ですぐに気づかず、正しい対応ができなかったことを申し訳なく思っている。これは信用を裏切る行為で非常に残念だ。私たちには人々のデータを守る基本的な責任があり、それができないならサービスを提供する資格はない』と謝罪した。さらに、4月に開かれる米国議会で、同氏は自ら状況を説明する方針であると伝えられる。しかし、個人データの不正利用にとどまらず、さらに大きな政治的スキャンダルへと発展する可能性があり、今後の動向に注目したい。

2018年3月24日 (土)

リチャード・ロイド・パリー著「黒い迷宮 ルーシー・ブラックマン事件 15年目の真実」を読む

早川書房が20154月に発刊したリチャード・ロイド・パリー著「黒い迷宮」(原題: People Who Eat Darkness/やみを食う人びと、526頁)を読みました。副題は「ルーシー・ブラックマン事件 15年目の真実」で、表紙をめくったカバー(そで)には『あの蒸し暑い夏の夜、彼女は東京の路上から永遠に消えた――――。20007月、六本木でホステスとして働いていた元英国航空の客室乗務員ルーシー・ブラックマン(21)が、突然消息を絶った。失踪当初から事件を追い続けてきた英紙(ザ・タイムズ)の東京支局長が、日英豪関係者への10年越しの取材で真相に迫る。滞在20年、日本を知り尽くした著者にしか書き得なかった底知れぬ闇とは? 複雑に絡み合う背景を丹念にときほぐして「文学」にまで昇華させ、海外で絶賛を浴びた犯罪ノンフィクション。著者が事件現場のその後をたどる日本版あとがき収録。』 
 

プロローグ 死ぬ前の人生 

 

英国人女性ルーシー・ブラックマンと親友(幼馴染)のルイーズ・フィリップスの日常が描かれる。2人はシェアハウス「代々木ハウス」(ルーシーは豚小屋と呼ぶ)で他の4人と同居している。千駄ヶ谷駅の近くだ。ルーシーは彼氏から共同電話にかかってきた電話で外出する。 

 

千駄ヶ谷駅前で待ち合わせたルーシーは2時間後にルィーズの携帯電話煮「海辺に行く」と連絡し、「1-2時間後に、何時に戻れそうか連絡する」という。2時間にルィーズの携帯電話がまた鳴り、「彼、とても優しいの。約束通り、新しい携帯電話をくれたわ。ドンペリのボトルももらったから、あとで一緒に飲もうよ。」と。その後、ルーシーは恋人のスコット・フレーザー(アメリカ海兵隊員)の携帯電話に電話して、留守番電話に翌日会うことを約束する短いメッセージを残す。そこで、ルーシーは消える。ルィーズと約束していたダンス・パーティも、スコットとのデートも中止される。 

 

ルーシーが約束通りに戻ってこないのでルィーズはなぜかパニックに陥ったことが同居人に目撃され、イギリスの母親モーリー・フィリップに電話をかけ、「ルーシーに何か起きたみたい」と告げ、そしてルィーズは六本木の歓楽街にあるカサブランカ(2人が働くホステスクラブ)に出かけて、「ルーシーがいなくなった。お客さんに会いにいったまま、戻ってこない」いう。この日(土曜日)は2人とも休みだという。ルィーズはクラブに夜通し何度も電話をかけている。これらから、ルィーズは疑われることになる。 

 

日曜日にルィーズはカサブランカでウェーターとして働くカズに相談し、月曜日の朝、2人で六本木の麻布警察署へ行き、家出人捜索願を提出するが、警察にはほとんど取り合ってもらえない。その午後、ルィーズは英国大使館を訪れ、副領事に不法滞在(不法就労)していたことなどを洗いざらい打ち明けた。副領事は麻布警察署に電話をかけて、ルーシーの件は誘拐の可能性もあるのではないかとひどく憂慮していることを伝えた。 

 

ルィーズが代々木ハウスへ戻り、夕方になるとルィーズの携帯電話に連絡が入った。相手はタカギアキラと名乗り、「ルーシーはカルトに入って、今は修行中である。」と言うだけで、ルィーズがルーシーと話したいと再三頼んでも聞き入れない。「ルーシーとはもう会えないことを伝えたかった」と言って携帯電話の回線を切った。 

 

それから1週間後、イギリスの新聞の小さな記事がこの事件を報じたことで、世界中で大々的に報道された。ルィーズのことをはじめ来日中であるルーシーの妹ソフィー、東京へ向かう途中の父ティム、ルィーズにかかってきた脅迫電話やカルト集団に誘拐された可能性、ルーシーがナイトクラブ・ホステスであることも報道された。そして、日本のテレビ局もこのニュースに飛びつき、この話を徐々にセンセーショナルなものに変えていった。 

 

ここから著者のリチャード・ロイド・パリーは10年間に及ぶ謎解きがはじまるのである。 

 

第一部 ルーシー 

 

第一章 正しい向きの世界 

 

父と母
 

ルーシーの生い立ちが両親の言動を交えて説明される。両親の出会い、父は靴店の店長、塗装工事の日雇い仕事、土地開発と仕事を変えながら裕福な一家を築いてゆく。ルーシーが病弱な幼児であったが、有名校である私立初等学校に入る。母は「ルーシーはとても繊細で、きれい好きで、几帳面な性格でした」という。19世紀に創設された高い大学進学率を誇るミッション・スクールへ進学したルーシーは学校に馴染むことができない上、珍しい形態の肺炎にかかり、その闘病生活の間に、超自然的な能力を発揮するようになる。学校の勉強が2年間も遅れた。父と母はルーシーが死ぬ前の5年間、関係が悪化した。その原因は父の浮気である。時を同じくして父の会社が倒産し、両親は離婚した。 

 

第二章 ルールズ 

 

母ジェーン/ルーシー/妹ソフィーの関係、ルーシーのシックス・フォーム(日本の高校)卒業とフランス系投資会社への就職、英国航空の客室乗務員への転職(あらすじを省略) 

 

第三章 長距離路線 

 

ヒースロー空港ベースの短距離路線からガトウィック空港ベースの国際線乗務へ昇格したルーシーだが、彼女の借金は増える一方であった。そして重労働による疲労困憊の日々が続いて体調にも影響が出始める。幼馴染で同じ英国航空の客室乗務員であるのルイーズ・フィリップスに誘われて東京へ行くことを決める。目的はルーシーの悩みの種である借金を清算することである。53日の正午、ルーシーとルイーズはヒースロー空港から東京行きの飛行機に乗った。 

 

第二部 東京 

 

第四章 HIGH TOUCH TOWN 

 

異質で好奇心をそそる国(あらすじを省略) 

 

第五章 ゲイシャ・ガールになるかも(笑)! 

 

ホステスという仕事/"水商売"/ノルマ

 

著者は欧米人に馴染みのないホステスと水商売について詳細に考察する 

 

第六章 東京は極端な場所 

 

TOKYO ROCKS(東京最高)/<クラブ・カドー>オーナーの証言/海兵隊員スコット/「まだ生きてるよ!」

 

ルーシーの日記を引用しながらその日常が明らかにされ、ルイーズの新しい彼氏であるフランス人のコームから紹介されたアメリカ軍の海兵隊員スコットにルーシーは夢中になる。史上最高にセクシーなイケメンだという。連絡が途切れていることを心配する母親のジェーンに「まだいきてるよ」を件名とするメールを630日に送る。 

 

第三部 捜索 

 

第七章 大変なことが起きた 

 

消えたルーシー/冷静な父親/警察とマスコミ

 

71日、土曜日の午後、ルーシーは家を出たきり戻らなかった。月曜日の朝、ルイーズは警察に行き、月曜日の午後には例の異様な電話を受けた。しかし、ルイーズがブラックマン一家に初めて連絡を取ったのは、ルーシーが疾走してから2日以上経った月曜日の夜遅くになってからだった。妹ソフィーとルーシーの元彼ジェイミールの3人が東京へゆくことになり、ふたりは大使館と警察署の往復を繰り返したが、何ひとつ生家はなかった。ルーシーが行方不明になってから10日後、父親のティムが来日。翌朝、英国大使館で開かれた最初の記者会見でティムは淀みなく正確な受け答えをする。記者やカメラマンが彼に求める役割ではなかったが。7月末、主要八カ国首脳会議(G8)が沖縄で開催されることをティムは意識していたのだ。ティムの来日すると警察の態度がころりと変わって好印象を与えようとするものになった。 

 

第八章 理解不能な会話 

 

ブレア首相登場/ルーシー・ホットライン開設/霊媒師たち

 

7月のある日、ティムとソフィーはホテルニューオータニ東京でトニー・ブレア首相と面会した。同日の午後、森喜朗首相との首脳会談の場で、ブレアは警視庁の努力に謝意を示し、ルーシーを探し出すために「あらゆる手を尽くしてほしい」と要請した。ティムの勘は見事に的中した。7月中旬、マスコミの大きな報道によって新たな動きが生まれた。リーシー操作の手伝いをしたいと、多くの一般人ボランティが集まり始めたのだ。一方、母親のジェーンのもとには多くの霊媒師たちが協力を申し出た。 

 

第九章 小さな希望の光 

 

マイク・ヒルズという男 

 

ティムとソフィーが帰国した翌日、マイク・ヒルズと名乗る男からティムに電話がかかってきた。彼は日本に特別な人脈を持ち、裏社会の人間と繋がりがあり、その人脈を使ってルーシーを見つける手助けができるかもしれないという。3日後、ドーバー海峡に面したベルギーの港町オーステンでふたりは会うことになった。翌日、マイクはティムに嬉しいニュースを伝えた。ルーシーは誘拐されたあと、外国人女性の人身売買に携わるヤクザ関係者に売られたが、ルーシーは無事だというのだ。しかも、マイクの知人の助けと5万ドルがあればルーシーを確実に買い戻せるとも。翌週の火曜日、ティムは指定された港町オーステンへ行き、前払い金として指定された現金12500ドルをマイクに手渡した。翌日、ティムは飛行機で東京に戻り、英国大使館に行き、仲介人が誘拐犯と接触中であり、ルーシーは近いうちに解放されることを説明した。しかし、1週間後後、マイクから悪い知らせが届いた。ルーシーは3人組に売られて、コンテナ船に乗せられて日本を離れたというのだ。そして、8月末には別の船に移され、オーストラリアに向かっているとマイクは言う。ルーシーを救出するにはさらに1万ドルが必要だと言われたティムはマイクのオランダの銀行口座に金を振り込んだが、進展がないまま時間が経過。9月中旬、不審に思ったティムは携帯電話ではなく、オランダのマイクの自宅に電話を掛けて、マイクの話がでたらめであることを知る。マイクは詐欺師だった。 

 

第十章 S&M 

 

蔓延するドラッグ/あるSM愛好家の証言/「地下牢」へ(あらすじを省略) 

 

第十一章 人間の形の穴 

 

22歳の誕生日/ジェーンとスーパー探偵/ふたつの十字架/ある男(あらすじを省略) 

 

第十二章 警察の威信 

 

クリスタの証言/「過去稀に見る不名誉な状態」/ドラッグ 

 

他の外国人ホステス・クリスタの被害証言からある男の存在が明らかになる。ちなみに、クリスタはルーシーとルイーズに<代々木ハウス>を紹介した女性である。 

 

第十三章 海辺のヤシの木 

 

ケイティの証言/<逗子マリーナ>の男/不審な物音/Xデー 

 

クリスタと同様の被害を受けたケイティの証言に続いて、クララとイソベルも逗子マリーナに連れて行かれて、薬物を飲まされて裸にされたことを警察に証言した。六本木交差点から10分ほどの場所にあるワンルーム・マンションを警察は監視し始め、1012日の早朝、容疑者が建物を離れて角のコンビニエンスストアに入る姿を確認し、新聞の束を抱えて店を出てきたところで、警察は彼の身柄を確保し、1996331日のクララに対する拉致および準強制猥褻の容疑で逮捕した。容疑者は48歳の会社社長 織原城二(おばらじょうじ)。 

 

第四部 織原 

 

第十四章 弱者と強者 

 

薄暗い闇/アイデンティティ/弟の苦悩/友人たちの証言 

 

織原城二の生い立ちと本名、慶應義塾高校での生活が歴史的事実の詳しい解説とともに明かされる。 

 

第十五章 「謳わない」容疑者」/父の怪死/謎の隣人/典型的な二世タイプ/声明 

 

4人兄弟の次男である織原城二は16歳の時、事業の多角化で大阪で知られる実業家の父親が急死したことによって駐車場と田園調布の家を含む不動産を受け継いだ。高校を卒業する前後に、日本国籍に帰化して織原城二という新たな名前を獲得した。なぜか慶応義塾大学への推薦を自ら辞退した織原城二は欧米で3年間生活する。1974年頃、帰国した織原城二は慶應義塾大学の通信教育課程に合格。のちに一般通学過程に編入し、法学部の法律学科と政治学科を渡り歩いてふたつの学位を取得する。30代になった織原城二は不動産開発に没頭し、相続した財産を注ぎ込むようになった。時代は、悪名高きバブル景気の真っただ中。日本各地のビルやマンションを次々に購入した。約20件の物件を所有し、その多くを賃貸に出して家賃収入を得た。彼の総資産は40億円にも達したという。日本の地価は1989年にピークを迎え、1990年代初頭までに、バブル崩壊はもはや免れない運命となった。ローンの未払い金の回収を求めて債権者が織原を訴え、1999年には田園調布の家が一時的に差し押さえられる事態にまで発展した。 

 

逮捕から1カ月跡、織原の弁護士のひとりが警視庁記者クラブに対して声明文を発表した。

1)逮捕された事件については、対価を支払って了解をもらった行為であり、強制わいせつや強姦ではないと信じている。

2)被害者については、外人ホステスである彼女たちが行っていたドラッグ使用、不法就労、売春行為について目をつぶり、再逮捕を繰り返して私をさらし者にしている。

3)ルーシー・ブラックマンさんについては、外人クラブで一度だけ接待を受けたが、ルーシー・ブラックマンさん失踪には関与していない。

4)これまで報道されたことは事実と違う。日本がかつて歩んだ警察国家への道を急速に進んでいくことは、止められないかと強く感じている。 

 

第十六章 征服プレイ 

 

アワビの肝/「プレイ」の実態/ルーシーはどこに?(あらすじを省略) 

 

第十七章 カリタ 

 

娘のいないクリスマス/消えたオーストラリア人ホステス/急変/ニシダアキラ/あの男(内容説明を省略) 

 

第十八章 洞窟のなか 

 

ダイヤモンド/発見/遺された者たち(あらすじを省略) 

 

第五部 裁判 (第十九章から第二十三章のあらすじを省略) 

 

第六部 死んだあとの人生(第二十四章と第二十五章のあらすじを省略)

 

 

<読後感> 

 

残忍かつ猟奇的な犯行を150件以上も繰り返した事件をザ・タイムズ紙アジア編集長・東京支局長である知日派のイギリス人・リチャード・ロイド・パリー氏が、ジャーナリストの視点から詳細に分析し、かつ関係者の人となりを一人ひとり、特にルーシー・ブラックマンとその家族について時間をかけて調査・記述したドキュメンタリー(犯罪リポルタージュ)の力作で、他に類を見ない見事な著作である。事件の性格から、内容はオドロオドロシイ描写が多く含まれており、英文で書かれた原書"People Who Eat Darkness"を翻訳したことで文体がやや硬いことも読み進むうえで抵抗感が生まれることは避けられない。あらためて、筆者の調査能力および日本に対する知識と理解にも驚かされる。

2018年3月17日 (土)

プリンタを買い替えました!

9年前に購入したキャノン製インクジェットプリンタ "PIXUS iP4600"が動かなくなりました。数か月前から搬送ローラーギアのかみ合わせが悪くなったようでガリガリという異音を発し始めてはいたのですが、何とか印刷ができていましたので、様子をみていたのです。今週になって突然、電源ランプ(緑色)とエラーランプ(オレンジ色)が交互に点滅しはじめました。パソコン側にはプリンタトラブル”5C00”が表示されて、ヘッドを動かす機能に異常が発生したことを示しています。取扱説明書で確認すると、『プリンタトラブルが発生した。パソコンと接続しているケーブルを外し、プリンタの電源を切ってから、電源プラグをコンセントから抜く。そして、電源を入れ直す。それでも回復しない場合は、修理受付窓口に修理を依頼してほしい。』 と書いてありました。

購入したころはインクジェットプリンタがかなり高価(4万円強)でしたが、Canon PIXUS iP4600の機能と性能に惹かれて選びました。それ以来、使用する上で細かい点で気になること(例、電源を入れてから使用できるようになるまでにかなり時間がかかることなど)はありましたが、今週まで満足していました。4年前、電源が入らなくなる、あるいは印刷中に突然電源が落ちる故障が発生してメーカーに修理を依頼したことがあります。原因はプリントヘッド・制御基板の不具合で、ロジックボードと印字ヘッドを交換することで正常に戻りました。修理料金は10,080円。

ちなみに、プリンタの買い替えはノートパソコン(Windows 7を実装)を買い替えるタイミングに合わせようと考えていました。つまり、Windows 7の延長サポートが終了する2020114日を買い替えの期限としていたのです。つまり、予定より1年半以上前にインクジェットプリンタが故障したことになります。わが家に1台しかないインクジェットプリンタが使えなくなると不便ですから、早速修理に出すことにしていつも利用している家電量販店へ持ち込みました。

修理受付窓口で症状を説明すると、駆動部のギアに不具合が発生しており、さらにプリントヘッドにも異常がある可能性があるので、基本的な修理に1万円から1万2000円、プリントヘッドの交換が必要な場合はさらに5000円ほどかかることになると思われるとの説明がありました。9年を経過しているため、修理用部品が無い可能性があり、たとえ修理したとしても寿命が大幅に伸びるとは考えられません。そこでインクジェットプリンタを買い替えることにしました。注、キャノンのhpで確認すると、"PIXUS iP4600"の修理対応期間(製造打ち切り後5年)は2014年9月末日で終了

店員さんはエプソンとキャノンのどちらを買いたいかと尋ねますので、即座にキャノンと答えました。30年近く前にアップルのマッキントッシュコンピュータと同時に購入したアップルのプリンタはキャノンのOEM製品(他者ブランド製品)であったことから、キャノン製だけを使い続けてきた経緯があります。つまり、私はキャノン製のインクジェットプリンタへの「親和性」が高いのです。キャノン製の新型プリンタが展示されているコーナーには、安価(リーズナブル)なPIXUS TS3130(4色ハイブリッド/1.5型モノクロ液晶モニター付)から、中級のPIXUS TS5130(4色ハイブリッド/2.5型液晶モニター付)とPIXUS TS6130(5色ハイブリッド/3型タッチパネル付)、そしてハイスペックのPIXUS TS8130(6色ハイブリッド/4.3型タッチパネル)が並んでいました。注、PIXUS TS3130だけは背面給紙(後トレイ)のみ 


PIXUS iP4600
の後継機種と考えられるPIXUS TS5130で十分だと思いましたが、大型タッチパネル付のPIXUS TS8130にも魅力があります。PIXUS TS8130は、外形寸法がPIXUS iP4600よりすこしだけ小さい(注、奥行きは28mm大)のですが、インク代が高くつきそうですから候補から外しました。ベテランの店員さんはすかさず「キャッシュバック」される”GOING2020! SPRINGキャンペーンを説明してくれました。PIXUS TS61301000円、PIXUS TS8130は2000円がキャノンから払い戻されるというのです。注、インクタンク5/6色マルチパックを購入して一緒に申請すると、さらに1000円追加して払い戻される

インクタンクはグレーが追加されて6色(独立インクタンク)になりますが、PIXUS TS8130を購入することにしました。横幅が59mmも小さい製品で、価格は約19000円です。一方、故障したPIXUS iP4600は家電量販店に無料で引き取ってもらいました。ちなみに、自治体の粗大ごみ回収に出すと200円かかります。Windows7、Windows8.1Windows10に対応していますから、わが家のノートブックパソコン(Windows7搭載)との互換性にも問題はありません。注、Windows8には対応していない、Windows7SP1以降に対応

自宅に持ち帰って早速設置してみました。段ボール箱に収納されたPIXUS TS8130の本体は保護材(強度があるテープとビニールシート)で厳重に固定されており、すべてを外すのはけっこう大変な作業ですが、輸送時の震動などでダメージを受けにくいと考えれば安心です。インクタンクをカラーコードにしたがって指定された場所に挿入。用紙をセットしてプリントヘッド調整用のパターンを印刷して、それを上部の原稿台ガラス上にセットし、“OK”を選ぶと自動的にプリントヘッド位置調整が終了しました。もちろん、ノートブックパソコンとは従来通りUSBコードで接続。

次いでパソコンとスマートフォンと接続する作業に移りました。セットアップCD-ROMを使ってもセットアップすることができますが、私はインターネットからダウンロードする方法を選びました。指定されたURLを入力してキャノンのウェブサイトを開いて、「セットアップを行う」を選び、機種名を入力し、「セットアップ」をクリックし、さらに「ダウンロード」をクリックし、「セットアップ開始をクリックしてダウンロードしたファイルを画面の指示に従って実行すればパソコンとの接続が完了しました。

スマートフォン(iPhone)との接続手順は以下の通りです。PIXUS TS8130本体の準備として、ホーム画面の設定アイコンをクリックして、基本設定→本体設定→LAN設定→無線ダイレクトを選択。iPhone”App Store”からアプリケーションソフトの”Canon PRINT Inkjet/SELPHY”をダウンロードしてインストール。iPhoneの設定メニューのWi-Fiで“DIRECT-r965-TS8130“を選択、ダウンロードしたアプリケーションソフトをタップして、画面の指示に従って、使用するプリンタを登録すればiPhone内にある写真やファイルをWi-Fiインターフェースで印刷することができます。注、無線LANを使用する場合は接手方向が異なります

最後に、PIXUS TS8130の魅力的な機能を紹介しましょう。

1) 複写機能(最大A4/レターサイズ、コピー/スキャナー機能)

2) 見やすく使いやすい4.3型タッチパネル(設定・操作用)

3) Wi-Fiインターフェース(スマホ/タブレットからの印刷)

4) 自動電源ON/OFF 注*

5) PIXUSクラウドリンク(各種クラウドで共有する写真・ファイルを印刷する機能)

6) 2WAY給紙(給紙口が前後2か所にある) 注*

7) 原稿取り忘れ検知機能

8) メモリーカード内の写真・ファイルを印刷する機能

9) プリンタブルディスク(BD/DVD/CD)に印刷する機能 注*

     注* PIXUS iP4600にも具備されていた機能

なお、これまでPIXUS iP4600との組み合わせで使用してきたキャノン製カラーイメージスキャナ”CanoScan8000F”2003年購入、修理対象外)はバックアップ用として保管することにしました。

2018年3月 1日 (木)

ハードディスクドライブ(HDD)をリスクから守る

パソコンには不可欠の大容量記憶装置であるハードディスクドライブ(HDD)は可動部品で構成されているため、もっとも寿命が短い部品と言えるでしょう。HDDの主要部品は、小型モーター(スピンドル)に直接駆動(ダイレクトドライブ)されて毎分数千回転(注、4,200/5,400/7,200/10,000/15,000rpmが主な回転数)するディスク(プラッタ)とディスクの特定の場所へ迅速に移動する(シーク/走査)ヘッドアセンブリ(磁気ヘッド/サスペンション/アーム/ロータリー・アクチュエータ/シークモーター)であり、いずれかの劣化(不具合)が発生すると突然寿命が訪れます。したがって、HDDの寿命を予測することは困難であることが多いのです。時には、HDDが異音を発して故障の前兆を知らせることもありますが・・。

 

プラッタ表面の磁性体とヘッドが直接接触すると故障の原因になりますから、ライナーと呼ばれる被膜層が磁性体の上に作られており、ヘッドはその上を滑るように移動します。高速回転するプラッタ表面には薄い空気層が生じるため、ヘッドはライナーに接触することはありません。しかし、経年変化によりライナーが失われるとプラッタとヘッドが直接接触してヘッド・クラッシュという故障を引き起こします。通常、HDDは記憶容量を増やすため複数のプラッタが組み込まれていますから、プラッタ表面の磁性体ごとにヘッドアセンブリが具備されます。注、プラッタの両面に磁性体が造られている場合は2倍のヘッドアセンブリが必要となる

使用方法にもよりますが、HDDの寿命は通常3~4年とされます。したが20180225hdd0001って、3~4年以上使用したHDDは新しいものと交換するのが記録したデータを保護する観点から望ましいといえます。最近はHDDを診断するソフトウェアが利用できますから、HDDの状態(健康度)を適宜計測することができます。私の場合はフリーソフトの”CrystalDiskInfo”を使用しています。HDDのファームウェアによって実現される自己診断機能のSMARTSelf-Monitoring Analysis and Reporting Technology)情報を読み取ることができるソフトウェアです。”CrystalDiskInfo”の優れている点はUSB接続ハードディスクのSMART情報も確認できるということです。詳細は省略しますが、計測された「現在値」(不良セクター数など)がメーカーの定める「しきい値」に達した時に健康状態が「異常」と判断されます。また、現在値の変化傾向で劣化度合いを判断することもできます。

 

20180225hdd0005外付けHDDUSB接続)として使ってきたI-Oデータ製RHD-UX500は気がつけば10年を過ぎました。もともとはNASとして使用するI-Oデータ製LANDISK HDL-GX500ReSATAExternal Serial ATA)接続してミラーリングする目的購入したものでした。しかし、親機のミラーリング機能に不具合が生じた際に、子機はWindowsフォーマットでない(別のOSでフォーマットされている)ため中身を読み取ることができず、バックアップの意味がありませんでした。そのため、Windowsフォーマットにし直して、USBインターフェースでパソコンに直接接続してデータのバックアップ目的で使ってきました。RHD-UX500はセルフパワー方式のHDDですが、パソコンの状態に応じて自動的に動作を停止するモード(自動電源ON/OFF)に設定してありましたから、実質的な動作時間は数分の一程度でしょう。とはいえ、最近はモーター音が目立つようになったこともあって廃却することにしました。

 

20180225hdd0003前回、HDDを廃棄する時には物理的に破壊する方法を取りましたが、HDDのケースは頑丈であり、手こずった記憶があります。そこで、今回は無意味なデータを重ね書きしてデータを完全に消去する方法を選びました。使用したのはフリーソフトの”WipeDisk”です。特殊な文字列でデータを一回上書きする低秘匿から、データを2回上書きする通常秘匿、データを35回上書きするグーㇳマン方式まで10種類から選択することができる優れものです。ただし、上書きの回数を多くすると所要時間が比例して長くなりますから、現実には適当な回数で妥協する必要があります。私はデータを2回上書きする通常秘匿を選びました。それでも500GBHDDを秘匿するのに10数時間もかかってしまいました。
注、ファイル単位で完全に消去(上書き)することは「ウイルスバスタークラウド」などのセキュリティソフト(データ消去ツール)を使って行うことができる

 

20180225hdd0006[参考情報] HDDの内容(ファイル/フォルダ)を右クリックして削除するとファイル/フォルダはデスクトップのゴミ箱内に移動します。右クリックあるいは「ゴミ箱を空にする」をクリックすることでそれを削除すると、当該HDDのファイル/フォルダ・リスト上では見ることはできなくなりますが、HDDからファイル/フォルダが消去されたわけではありませんから、ツールを使えばファイル/フォルダのリストを容易に復元することができます。また、再フォーマットすると、確かにファイルが消えますが、特殊なツール(データリカバリーソフト)を使用することで復元ができます。したがい、いずれの方法もHDDを廃棄する場合には不十分な安全対策でといえます。

 

このHDDはまだ使えそうですが、役目を十分果たしてくれたことに感謝して、近い将来、小物金属として自治体の廃品回収に出すことしました。ただし、当面は緊急時のスペアとして保管することにします。

最後に蛇足ですが、HDDを快適に使用するためにWindows OSに具備されたツールを紹介しましょう。それは、ローカルディスクのプロパティの全般にある「ディスクのクリーンアップ」、ツールの「エラーチェック」と「最適化(ディフラグ)」の3つです。「ディスクのクリーンアップ」は不要なファイルを削除して、利用できる容量を増やす機能で、「エラーチェック」はファイルシステムエラーおよび不良セクターをチェックする機能、「最適化」はドライブ上の断片化されたファイルを最適化する機能で、HDDのレスポンス(読み書きの速度)を改善することができます。なかでも「最適化」はHDDに負担を与え(寿命を縮める恐れがあり)ますから、1か月に1度以下の頻度に留めるのがよいでしょう。

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