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2019年5月 1日 (水)

ユヴァル・ノア・ハラリ著「ホモ・デウス ~テクノロジーとサピエンスの未来~」の書評

今年のゴールデンウィークは5月1日(水)に元号が平成から令和へと変わることにともない、4月27日(土)から6月6日(月)まで連続10日間の休日が続くことになりました。これまでになかったこの長い連休をどのように過ごすかを考える人が多かったと思います。かく言う私も一応考えてみましたが、毎日が日曜日である私には、この10連休といえども私の日常とほとんど変わりが無いことに思いが至りました。つまり、改めて過ごし方を考える必然性がないのです。とはいっても、いったん考え始めたからには何らかの結論を導き出さないと気が済まないのが私の悪い癖です。そして、無理やり考えついたのは、暇つぶしとして「これまでWOWOWで撮り溜めた映画(BD)を視ること」に加えて、「読書」と「ウォーキング」でした。「ウォーキング」については2月下旬からほぼ毎日続けていますから、新たなアイディアは体調不良によってこの半年間遠ざかっていた「読書」です。

そこで先ず選んだ本が株式会社河出書房新社から2018年9月に出版された掲題のハードカバー本(上下2巻)です。この本のキャッチ・コピーは 『全国で売れてる本1位! あなたは「神の人(ホモ・デウス)」か「無用者階級」か、全世界1000万部突破『サピエンス全史』の著者が描く衝撃の未来』 とインパクトがあります。このキャッチ・コピーは何度読んでも私にはまったく理解できません。創作語と思われる「ホモ・デウス」とは何なのか? 「無用者階級」とは? 疑問が私の脳内に溢(あふ)れました。

早速、上巻を手にとると、表表紙の裏側である「そで」には、『世界的なベストセラー「サピエンス全史」は、取るに足りない類人猿が、どのように地球の支配者となったのかという、人類の過去についての物語である。本書「ホモ・デウス」でユヴァル・ノア・ハラリは、人類の未来を描く。人類は自らにとって最悪の敵であり続けた、飢饉と疫病、戦争を克服しつつある。この三つの問題を克服した我々は、今後不死と幸福、神性の獲得を目標とするだろう。人類は自らをアップグレードし、ホモ・サピエンスをホモ・デウス「デウス」は「神」の意に変えるのだ。生物工学や情報工学などのテクノロジーを用いて、世界を、そして自分自身をも、思いどおりに作り替え、創造することを目指すのである。それではこの神のような力は、すべての人々が享受するものとなるのだろうか? あるいは富む者と貧しい者の間に、想像を絶する生物学的な格差をもたらすのか? 我々人類がどこへ向かうのかを、かつてないスケールで描く衝撃の書!』 とありました。

また、下巻の「そで」には、『今、生命科学者たちは、生物は遺伝子やホルモン、ニューロンに支配された、ただのアルゴリズムであることを明らかにしている。人間の心や意識は、脳の中でニューロンが信号を発し、あるパターンに則ってデータを処理しているだけなのである。我々は何一つ自由に選択などしておらず、意識や意志を持った「私」でさえも、虚構なのだ。それならば、人工知能が人間の能力を凌駕(りょうが)するようになったとき、そしてコンピュータがあなた自身よりもあなたについて詳しく知るようになったとき、資本主義や民主主義、自由主義は崩壊するのだろうか? そのとき、あなたはこの世界に何を求め、何のために生きればいいのか? 過去の条件から自由になり、人類の新たな運命を想像することを可能にする、すべての現代人必読の世界的ベストセラー!』 とあります。

上巻(272頁)と下巻(288頁)はいずれも難解な内容でしたが、何とか読み切ることができました。著者であるイスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏はその類(たぐ)い稀(まれ)なる人類史の知識と深い思考により、人類が創りだした文明は人類を幸福にしたのだろうかとの問いを考察した前書 『サピエンス全史』に続いて、人類の未来における様々な可能性(シナリオ)を提起しました。

つまり、類人猿から進化して東アフリカで誕生したホモ・サピエンス(知恵のある人の意)が他の動物との生存競争に勝ち抜いて地球上で最も大きな勢力を持つ存在になりましたが、新たな強敵との戦いが待っていたのです。それは飢餓・疾病・戦争の3つでした。いずれも克服することは困難と思われましたが、ホモ・サピエンスの定住化と農業の発達、衛生環境の整備と医療の進展・普及、国家間の紛争を解決するルールの普及によりホモ・サピエンスの環境は思いもよらぬほど改善され、完全に克服することが視野に入ってきたのです。このため、21世紀(3000年紀)では次なる目標がホモ・サピエンスの関心事となったのです。

それらは神(デウス)が差配する領域である不死と幸福の二つです。それではホモ・サピエンスはホモ・デウス(神の人)を目指すのか? そして神(デウス)の存在に近づけるのか? これまで大きな課題を科学と情報処理(プロセスコントロール)を駆使して克服してきたホモ・サピエンスは自身の能力を超えて増大する情報とそれを処理するコンピュータ・ソフト(AI)とバイオテクノロジーによって今後数十年で如何(いか)に自らを作り変えることができるか? 何が待ち受けているのか? についていくつかのシナリオを提示するものの、一方的に未来の人類の姿を予測するのではなく、私たちはどのように身を処すればいいのか? 私たちは、巨大な力を持つに至ったバイオテクノロジーと情報テクノロジーをどう使えばいいのか? について読者に考えさせました。

著者は『生物はただのアルゴリズムであり、コンピュータが人のすべてを把握する。生体工学と情報工学の発達によって、資本主義や民主主義、自由主義は崩壊していく』 との大胆な仮説の元、人類はどこへ向かうのか? について新しい切り口で分析した良書です。

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