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2020年2月11日 (火)

第92回アカデミー賞受賞式

2月10日(月)の午前8時30分から衛星放送の"WOWOW"でロサンゼルスのドルビー・シアターから生中継された番組「アカデミー賞受賞式」を観ました。案内役はジョン・カビラさんと高島彩さん、ゲストはアメリカ在住の映画評論家の町山智浩(ともひろ)さん。私が愛聴しているTBSラジオのトーク番組「たまむすび」で毎週火曜日に最新映画を紹介する「アメリカ流れ者」のコーナーを担当しているとても話上手な人です。

下馬評(前評判)では、第一次世界大戦のフランス北部戦線を描いた「1917 命を掛けた伝令」(作品賞・監督賞・撮影賞など10部門でノミネート)と韓国映画の「パラサイト 半地下の家族」(監督賞・脚本賞など6部門でノミネート)の最有力作品間の争いであり、次いで最多となる11部門でノミネートされたコミック映画の「ジョーカー」、ブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオが演じた落ち目の俳優とその専属スタントマンの2人を主人公とする愉快なドラマ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(10部門でノミネート)、マフィア映画の「アイリッシュマン」(10部門でノミネート)、車好きの私が注目する「ル・マン24時間レース」(注釈:世界3大自動車レースの一つ)をフォード社の立場で描いた「フォード vs フェラーリ」(4部門でノミネート)、ルイザ・メイ・オルコット(Louisa May Alcott)の自伝小説「若草物語」(1868)を新たな視点で映画化した「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」(6部門でノミネート)などが挙(あ)がっていたようです。

昨年に続いて今年も司会者不在の受賞式です。怪我の巧妙により好評であった昨年のスタイルを踏襲して祭典が始まりました。最初に登場したのは歌手で作曲家・音楽プロデューサー・女優・モデルであるシャネール・モネイ、"It's a beautiful day in the neighbourhood"(2019年に公開された映画"A Beautiful Day in the Neighbourhood"のオープニング主題歌)を熱唱して会場を盛り上げました。

次いで登場したプレゼンターはコメディアンで俳優のスティヴ・マーティンと同じくコメディアンで俳優のクリス・ロック。まるで掛け合い漫才のようなやり取りと著名な出席者を弄(いじ)って会場を爆笑の渦に包みます。アメリカン・ジョークの連発はまるで機関銃のような凄(すさ)まじさです。

いつまで経っても受賞発表がないなと思っていると、本物のプレゼンターが現れて助演男優賞を発表しました。今回のアカデミー賞における一大関心事です。トム・ハンクス、アンソニー・ホプキンス、アル・パチーノ、ジョー・ペシなどのオスカー受賞者を相手に俳優として無冠の帝王(注釈:プロデューサーとしては5回受賞)のブラック・ピットが助演男優賞を受賞できるかどうか、もし受賞したらブラピがどんなスピーチをするか、映画ファンの関心が集まっているのです。そして受賞者は期待通りにブラック・ピットでした。しかし、スピーチはなぜか控え目。

ここからは駆け足で受賞者と受賞作品をできるだけ発表順に列挙します。

長編アニメ映画賞は「トイ・ストーリー4」

歌曲賞は「ロケットマン」の“(I’m Gonna) Love Me Again”

脚本賞は「パラサイト 半地下の家族」

脚色賞は「ジョジョ・ラビット」のタイカ・ワイティティ

短編実写映画賞は「向かいの窓(The Neighbors’s Window)」

美術賞は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

衣装デザイン賞は「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」のジャクリーン・デュラン

長編ドキュメンタリー賞は「アメリカン・ファクトリー」

短編ドキュメンタリー賞は“Learning to Skateboard in a Warzone (If You're a Girl)”

助演女優賞は「マリッジ・ストーリー」のローラ・ダーンが受賞しました。初めてのオスカーです。

音響編集賞は「フォード vs フェラーリ」

録音賞は「1917 命をかけた伝令」

撮影賞も「1917 命をかけた伝令」のロジャー・ディーキンス

編集賞は「フォード vs フェラーリ」のマイケル・マカスカーとアンドリュー・バックランド

メイクアップ・ヘアスタイリング賞(特殊メイク部門、旧メイクアップ賞)は日本人の辻一弘氏2019年に米国籍/市民権を取得して"Kazu Hiro"に変名)。2018年の「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」に続いて「スキャンダル」で2度の受賞。快挙です。

視覚効果賞は「1917 命をかけた伝令」

国際長編映画賞(外国語映画賞)は「パラサイト 半地下の家族」

作曲賞は「ジョーカー」のヒドゥル・グドナドッティル

短編アニメ映画賞は「Hair Love

監督賞は脚本賞・国際長編映画賞を受賞した「パラサイト」ポン・ジュノ監督が受賞。前評判の高さを反映した形になりました。

幕間には映画主題歌が何曲か披露され、その1曲として披露された"Into the Unknown"(アナ雪2のエンドソング)を松たか子さんが参加した女性グループ(世界のエルサ役たち)が歌い上げました。

主演男優賞は「ジョーカー」のホアキン・フェニックス

昨年、「ボヘミアン・ラプソディ」で主演男優賞を獲得したラミー・マレックがプレゼンターとして登場して出演女優賞を発表しました。初受賞となったのは「ジュディ 虹の彼方に原題:"Judy")のレネー・ゼルウィガー(注釈:本人はレネィが正しいという)です。「オズの魔法使」で知られるミュージカル女優のジュディ・ガーランドを熱演・熱唱したことが評価されました。「コールドマウンテン」(2003年)での助演女優賞に続く主演女優賞の受賞となり、2つ目のオスカー獲得です。

最後を飾る最高の栄誉である作品賞(Best Picture)をどの作品が獲得するかがこの授賞式で最も注目されました。「フォードvsフェラーリ」「アイリッシュマン」「ジョーカー」「ストーリー・オブ・マイライフ」「マリッジ・ストーリー」「1917 命を懸けた伝令」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」「パラサイト 半地下の家族」が競った結果、最も勢いがあった「パラサイト 半地下の家族」部門受賞)に決まりました。

ちなみに「1917 命をかけた伝令」が撮影賞・音響編集賞・視覚効果賞の部門を受賞、「ジョーカー」は主演男優賞と作曲賞の冠、これらの2作品と4冠の「パラサイト 半地下の家族」が僅差でオスカーを競ったことが分かります。昨年は注目作品の「ボヘミアン・ラプソディ」「アリー/スター誕生」「グリーンブック」「女王陛下のお気に入り」「ブラックパンサー」「バイス」、そしてメキシコ映画の「ROMA/ローマ」などが目白押し状態でしたが、今年は静かな競争だったと言えます。

しかし、国策で力を付けた韓国映画を象徴する「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞の主役になったことが映画ファンへ強烈なインパクトを与えたと思います。そして、一昨年の第71回カンヌ国際映画祭において最高賞であるパルム・ドールを獲得した是枝裕和(これえだひろかず)監督の「万引き家族」と同様、社会の格差問題を扱った作品であることに今の時代を感じました。□


〈追記 2020.2.17> ミュージカル映画「シカゴ」を観る
レネー・ゼルウィガーが主演したミュージカル映画「シカゴ」(2002年)は、放送映画批評家協会賞(2003年1月)のアンサンブル演技賞を受賞しましたが、75回アカデミー賞(2003年2月)では主演女優賞にノミネートされたものの惜(お)しくも「めぐりあう時間たち」のニコール・キッドマン にオスカーを浚(さら)われました。しかし、助演したキャサリン・ゼタ=ジョーンズが助演女優賞を獲得したほか、作品賞・美術賞・衣装デザイン賞・音響賞・編集賞の6部門でオスカーを獲得し、この年の最高峰作品に選ばれました。

例によって長い前書きに続いて本題です。衛星放送の"WOWOW"で放送されたミュージカル映画「シカゴ」を録画してあったことを思い出した私は早速観ることにしました。その時、同居者が突然、『私、この女優さん、大好き!』 と言います。キャサリン・ゼタ=ジョーンズのことかと思いましたが、レネー・ゼルウィガーの方でした。「ザ・エージェント」「コールドマウンテン」「ブリジット・ジョーンズの日記」など、これまでに主演した映画のタイトルを並べ、『映画「ブリジット・ジョーンズ」のために14㎏も太ったのよ!』というのです。意外でした。しかし、よく考えるまでもなく、同居者の方が圧倒的に熱心な"WOWOW"ファンなのです。

さて、映画「シカゴ」のストーリーです。時代は1924年頃、場所はシカゴ、夫と浮気をした妹を殺した人気絶頂の踊り子ヴェルマが登場。次いで、踊り子になる夢を持つ女性ロキシーはコネがあると偽(いつわ)って自分を弄(もてあそ)んだ男を射殺。こうして二人の殺人容疑者の女性が留置所内で知り合います。

ヴェルマを担当する敏腕弁護士の策略のお陰で「悲劇の主人公」になったロキシーは一夜にしてスターになりました。他に注目される人間が登場すると人気は急落しますが、弁護士の策略で人気が復活。裁判においても陪審員の心を掴(つか)む作戦が成功して無罪を獲得します。

しかし、再び新しいヒロインが出現したことで世間に注目されなくなったロキシーは、ヴォードヴィル(注釈:歌が入る軽演劇)の女優となりますが、なかなか上手く行きません。そんな時、ヴェルマからの誘いが入り、二人は「殺人犯コンビ」としての売り出しに大成功するところでハッピーエンドを迎えます。(上映時間113分)

100年近く前のシカゴ(アル・カポネがのし上がりつつある頃)を舞台にしていますから、ストーリー展開は破天荒(はてんこう)で面白く、二人の女優が見事な歌唱とダンスを披露するシーン(夢と現実の使い分け)が素晴らしい。主演男優のリチャード・ギヤが持ち前のカッコ良さに加えて、海千山千(うみせんやません)の弁護士を好演し、女性主体のこのミュージカル映画を盛り立てました。私が好きなミュージカル映画の「ウエスト・サイド・ストーリー」と「サウンド・オブ・ミュージック」に並ぶ傑作だと思います。

ちなみに、3月13日にも"WOWOW"で放送される予定です。

余談です。女優の米倉涼子さんは初演から20年以上も続いているブロードウェイのミュージカル「シカゴ(2012年・2017年・2019年)で、日本人としては初めて出演して、ロキシー・ハード役を演じました。

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