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2020年4月 2日 (木)

映画「戦争と平和」を観る

昨日、花散らしの雨が終日降ったことで、桜が散り始め、葉桜になりつつあります。新型コロナウイルスの感染が東京都で拡大し、先に拡大した北海道を超えて最大の感染地になりました。東京オリンピックが1年間延期されることが決まった途端、小池東京都知事は「オーバーシュート」(Overshoot/度を超す・行き過ぎること)と法的根拠のない「ロックダウン」(Lockdown/厳重監禁)という「カタカナ言葉」を使って危機感を表し、「不要不急」の外出を自粛するように都民へ呼びかけました。

今回はそれぞれ「感染者の爆発的増加」および「都市封鎖」(つまり住民の活動制限)を意味して使われたと思われますが、「ロックダウン」発言の直後にスーパーマーケットで食料品などの買い占め行動が多発したため、翌日にはトーンダウンしました。

余談です。理系(技術者)であった私には"Overshoot"は、その反対の状態を指す”Undershoot"とともに、物理学の過渡現象あるいは自動制御理論(フィードバック理論)における不安定な状態を指す一般的な言葉であり、ピンと来ません。日本語の「爆発的増加」の方が分かりやすい言葉であることは論を待ちません。一方、"Lockdown"は外部からの侵入者に対して内部の人間を守るために建物を封鎖することを意味する言葉ですから、規模を拡大した「都市封鎖」として使っても妥当だと思います。ちなみに、"Lock up"は「鍵をかける」「保管する」「ブレーキがロックする」を意味します。

しかし、この都知事の都民への呼びかけは、強い言葉と行動自粛の要請(ナイトクラブ/バー/カラオケ/ライブハウスなど)を並べただけで、具体的な対策やそれに伴う被害への救済処置にはほとんど触れていないことが気になります。ちなみに、フランスなどでは外出禁止に伴い労働者に休業補償(70-80%)を支給しているようです。都知事は7月5日に予定される都知事選を3か月後に控えて、今年11月3日の大統領選を意識した不安定な言動を続けるトランプ大統領にならい、「ヤッテル感」を言葉だけで誇示(こじ)しているように思えてしまいます。

国情が異なるとは言え、新型コロナウイルス感染の拡大で先行したニューヨーク州のクオモ知事が具体的(定量的)な内容を伴う言動(しかも、その結果に責任を取ると明言)を連日行っていることと対照的です。

<2020.4.8追記> 4月7日、非常事態宣言を出した後の記者会見で安倍首相は、新型コロナウィルスの対策に失敗したら責任を取るのかとの外国人記者の質問に対して『これは例えば最悪の事態になった時、私が責任を取ればいいというものではりません!』 と答えたことが報道されました。この堂々たる前代未聞(ぜんだいみもん)の「責任拒否宣言」は海外に報じられたことは間違いないでしょう。彼我(ひが)の違いに愕然(がくぜん)たる思いです。

また、昨日のことですが、安倍首相は唐突に『布製マスクを各住所に2枚ずつ配布する』 と発表しました。有効な対策を打ち出し阿具根(あぐね)ている中から出てきた思い付き(予測できる効果が不明)としか言えないもので、マスクが入手できない国民の人気取りとしか言えないでしょう。海外ではこの愚策(ぐさく)が失笑されているようです。

『3月に入ればマスクが出回る』 と発言した内閣官房長官は3月下旬になり、『4月に入れば供給が1億枚上積みされる』 と内容が大幅に後退しました。上積み分を各家庭に配布することにしたのでしょうか。地方自治体が悲鳴を上げている現状を理解すれば政府としてやるべき重要なことがあるはずですが・・。

この深刻な状況を見ると、私は都民ではありませんが、わが家の「巣篭(すごも)り生活」はもうしばらく続きそうです。さて、今回は自宅で鑑賞した三作目のオードリー・ヘップバーン主演映画を紹介しましょう。

                          ☆

3月4日にWOWOWで放送された「戦争と平和」(1956年公開)を録画で観ました。女優オードリー・ヘプバーンが出演した有名な映画ですが、何故(なぜ)かこれまで観る機会がありませんでした。帝政ロシア末期の小説家レフ・トルストイ(貴族出身)が著した長編小説であることだけを聞き知っていましたが、背景やストーリーなどはまったく知りませんでした。つまり、予備知識なしで観ることになったのです。

モノクローム(白黒)の映画かと思いましたがフルカラーでした。19世期のロシアを舞台に、ナポレオン・ボナパルトのロシア侵攻(ロシア遠征)により翻弄(ほんろう)されるロシア貴族(特に4つの家族)の人間模様を描いています。ヒロインのオードリー・ヘブパーンはロストフ伯爵家の娘ナターシャ・ロストフを演じました。無邪気で天真爛漫(てんしんらんまん)な少女役はオードリーにはまり役で、多くの男性を惹(ひ)き付けるのです。他の女優では鼻について浮いてしまいそうな難しい役柄(やくがら)を演じました。

ヘンリー・フォンダが演じた主役のピエール(ロシア名:ピョートル・キリーロヴィチ・ベズウーホフ)は莫大な財産を持つキーリル・ウラジーミロヴィチ・ベズウーホフ伯爵の私生児であり、父に愛されてその財産と爵位を継ぎます。フランスに憧(あこが)れて留学し、フリーメーソンに加入。フランス軍の捕虜(ほりょ)になり、愛なく結婚した浮気性の妻の自殺など波乱万丈(はらんばんじょう)の人生を経て、最後にナターシャと結ばれます。

一方、ナターシャの恋愛相手は軟弱な青年であるロストフ伯爵家のニコライ・イリーイチ・ロストフ。彼が出征した後、ナターシャを誘惑したのはクラーギン公爵家のアナトーリ・ワシーリエヴィチ・クラーギン。ピエールの親戚であり、享楽的で数多(あまた)の浮名を流す人物。アナトーリの積極さに負けたナターシャは彼を受け入れてしまう。しかし、彼が妻帯者であることを後になって知ります。しかも、この噂(うわさ)は貴族界に広まるだけではなく、戦地にいるニコライにも伝わってしまうのです。ナターシャは死ぬほど後悔しますが「覆水(ふくすい)盆に返らず」。

このナターシャをピエールが何度も慰めました。しかし、ピエールも前線に出征し、フランス軍の捕虜機なってしまいました。ナターシャが最悪状態から立ち直り、前線で捕虜になったピエールとどのように結ばれるのかは映画を観て(あるいは小説を読んで)のお楽しみです。オードリー以外の女優が演じたとすると「ソープドラマ」(日本語ではメロドラマ)になってしまい、ハッピーエンドに至るプロセスを見事に演じ切ることはできなかったでしょう。

蛇足です。アメリカでは石鹸会社が男女間の恋愛模様を描くテレビドラマのスポンサーになることが多かったことから、そのジャンルのドラマは「ソープドラマ」と呼ばれでいます。一方、西洋の「メロドラマ」は感情の起伏を誇張(こちょう)したドラマを指します。しかし、日本の「メロドラマ」は女性の浮気(不倫)をテーマにしていますから、「よろめきドラマ」と言うべきでしょう。ちなみに、「よろめき」とは三島由紀夫の恋愛小説「美徳のよろめき」(1957年出版、同年に映画化)から生まれた当時の流行語です。下らないエンディングになって済みません。

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