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2020年5月15日 (金)

映画「日々是好日」を観る

「日々是好日」(にちにちこれこうじつ)は中国の唐未から五代にかけて活躍した「雲門禅師」の悟(さとり)りの境地を表した最高の言葉です。『優劣・損得・是非にとらわれた考え方をさっぱり捨て切って、その日一日をただありのままに生きる清々しい境地』 を意味する言葉であることをつい最近になって知りました。注釈:五代または五代十国は唐の滅亡から北宋の成立まで華北を支配した5つの王朝と華中・華南を支配した諸地方政権が興隆した時代を指す

この言葉を知ったのは5月6日にWOWOWで放送された映画「日々是好日」(2018年公開、上映時間:100分)のタイトルになっていたからなのです。

先ず、映画「日々是好日」についての映画.comの解説を以下に転載します。

『エッセイスト森下典子が約25年にわたり通った茶道教室での日々をつづり人気を集めたエッセイ「日日是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」を、黒木華主演、樹木希林、多部未華子の共演で映画化。』

そのあらすじは、『「本当にやりたいこと」を見つけられず大学生活を送っていた20歳の典子は、タダモノではないと噂の「武田のおばさん」が茶道教室の先生であることを聞かされる。母からお茶を習うことを勧められた典子は気のない返事をしていたが、お茶を習うことに乗り気になったいとこの美智子に誘われるがまま、流されるように茶道教室に通い出す。見たことも聞いたこともない「決まりごと」だらけのお茶の世界に触れた典子は、それから20数年にわたり武田先生の下に通うこととなり、就職、失恋、大切な人の死などを経験し、お茶や人生における大事なことに気がついていく。』

『主人公の典子役を黒木、いとこの美智子役を多部がそれぞれ演じ、本作公開前の20189月に他界した樹木が武田先生役を演じた。監督は「さよなら渓谷」「まほろ駅前多田便利軒」などの大森立嗣(たつし)。』(出典:映画.com)

                            ☆

ここからは映画を見ながら書いたあらすじです。ネタバレとは言えませんが、ストーリーをすべて網羅していますからご注意ください。

一生をかけて身につける何かを求めて同い年(20歳の女子大生)である従妹同士の二人(典子と美智子)は茶道教室に通い始めます。大きな家に一人で住む初老の女性、武田先生から茶道の手ほどきを教えてもらうようになった二人は2週目にはお茶の作法と所作を学びます。細かい茶道の作法に戸惑い武田先生に質問する二人ですが、『そういう風に決まっていることだから、とりあえずまず身につけていくように』 と武田先生は諭(さと)します。『お茶はまず形から、そこでできた入れ物に心を後から入れるもの』 と言われた二人は次第に茶道に魅せられて行きます。武田先生の言葉が一つひとつ心に染み入りました。

1か月後にはかなり本格的な稽古(けいこ)が始まりました。そんな折、活発な美智子はお茶の稽古を休んでイギリスとフランスへ旅行に行くと言い出しました。それに影響された典子はお茶の稽古を休むと両親に告げますが、なぜか考え直して一人で稽古に行くことにして、武田先生から個人レッスンを受けます。心静かに稽古して手応えを感じる典子を武田先生は言葉少なく見守ります。

2か月後の立冬(りっとう)、旅行から戻った美智子と二人で稽古を受ける典子はさらに細かい指導を受けるようになりました。すると、少しできるようになったと喜んでいた典子はなぜか振り出しに戻ったように感じるのでした。そして、正月。晴れ着を着た多くの生徒たちが一堂に会して華やかな年始の初稽古の場で武田先生の所作をじっと見つめる典子がいます。

1か月後の大寒(だいかん)には横浜の三渓園(さんけいえん)で大規模な茶会が開かれました。招かれた和室には「日々是好日」の掛け軸が飾られています。緊張する典子でしたが、隣に武田先生がいることで安心できたことで、無事に茶会は終わりました。美智子は商社に就職しますが、典子は希望する出版社への就職は叶(かな)わず、そこでアルバイトとして働くことになりました。

夏至(げし)、そして立秋(りっしゅう)になると典子は生徒たちの先輩格になっていました。立冬、典子は茶席の亭主を務める練習を始めます。大暑(たいしょ)が過ぎて行きました。季節(二十四節季)の移り変わが時間の経過と典子の心の変化を象徴します。

時が過ぎたある日、美智子は会社を辞めて結婚すると突然典子に言うのです。結婚を機に美智子が田舎へ引っ込み一人になった典子は少し落ち込みますが、武田先生宅で達磨禅師(だるまぜんじ)の掛け軸を眺(なが)めて心を沈めます。一人で茶の練習に励む典子。相手の裏切りで結婚に失敗した典子ですが、この辛(つら)い経験が過ぎ去り、また大寒と立春が訪れました。ある日突然、母からの電話で父が倒れたことを告げられます。いつの間にか疎遠(そえん)になっていた父の急死を考えながら武田先生と語り合う典子。時間の経過とともにその悲しみを乗り越えて行きます。そして、典子は父に感謝します。

12年後(2018年)の小寒(しょうかん)、武田先生の言葉を安らかな気持ちで聴く典子がいました。「雨聴」の掛け軸と、「日々是好日」の額を見てそれまでの日々について納得する典子は『何でもない日々においてお茶を楽しむことの幸せ』 を改めて感じます。それが「日々是好日」が意味するところであることを知り、『ここからが本当の始まりなのか?』 という典子の呟(つぶや)きでエンドロールを迎えました。

<視聴後の感想> エッセイストの森下典子さんが著(あらわ)した『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』 を映像化したこのユニークな映画は、何気ない日々の中に存在する「茶の湯」(注釈:16世紀末の安土桃山時代に完成)と「禅の言葉」(注釈:禅宗は14-16世紀の室町時代に普及)を通して、茶道の先生である年配女性と2人の若い女性たちの心の交流を季節の変化を背景に淡々と描いています。日本の静粛な景色と調和する3人の女優さんの抑えた演技が印象に残ります。故小津安二郎監督の古い映画に登場する優しい人物たちの穏(おだ)やかな会話シーン(東京弁ではありませんが)を彷彿(ほうふつ)させ、日本文化と日本人を気負いなく表現した良質な映画だと感じました。◇

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