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2020年6月17日 (水)

NHK「日台共同制作ドラマ 路(ルウ)」を観る

NHK総合テレビで516日から毎週土曜日の午後9時から3回に亘(わた)って放送された土曜ドラマ「路~台湾エクスプレス~」を観ました。5年半前に台湾を旅行した時に乗車する機会があったことで興味を持ったのです。日本と台湾を舞台に台湾高速鉄路(台湾新幹線)開通までの8年間を巡る日台の人々の絆(きずな)と人生の物語を描いた吉田修一氏の同名小説(2012年刊行)をテレビドラマ化したものです。ただし、ストーリーの細部に変更された点がいくつもあるようです。

ここでプチ蘊蓄(うんちく)です。漢字の「路」(ろ)は中国語でルウと発音し、地上・水上・航空の道(道路・水路・空路)などを意味します。ちなみに、日本の古都である奈良(平城京)や京都(平安京)では中国風に命名された道路名「〜大路(おおじ)」と「〜小路(こうじ)」が今も残っています。なお、現代の日本において道路は「〜道」と呼ばれることが多いのですが、元々「道」は地域(広域行政区画)を指す言葉(例、東山道や山陽道に代表される五畿七道の七道)であり、現在は「北海道」にその呼び方が使われています。

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さて、ドラマを観ながら書いたあらすじです。

1999年の仕事納めの日、東京の大手商社大井物産(注釈:三井物産がモデルと思われる)の社内が大歓声に湧(わ)きました。台湾新幹線(正式名称:台湾高速鉄路)の車両システムについての優先交渉権を日本の新幹線株式会社(注釈:メーカーと商社が設立した会社)が大逆転で獲得したのです。そして、入社4年目の商社社員・多田春香(配役:波瑠)はプロジェクトの一員として商社が台湾の台北に設立した子会社(台北)へ出向することが決まりました。

その春香には、大学2年生であったの夏に初めて台湾を訪れた折、淡(あわ)い思い出があったのです。エリック(配役:アーロン)という名の台湾人青年と偶然出会い、たった一日だけ台北市内を案内してもらったものの、その後は連絡が取れなくなってしまい、自分の思いを封印することにしたのです。

そして6年後の2000年、二度と台湾へ行かないと心に決めていた春香は台湾新幹線建設チームの一員として、再びその地(台北市)を踏むことになりました。赴任(ふにん)する直前、春香は交際中であった名古屋のホテルマン男性から結婚を申し込まれています。

勤務初日に春香は上司の山尾一(配役:寺脇康文)に連れられて台湾高速鉄路の本社を訪れて、技術担当副社長のジャック・バルト(欧米人)や運行担当副社長代理のレスター・王(わん)などの幹部と面談しますが、冒頭から台湾側の考え方(台湾オリジナルを追求)と日本側の認識(新幹線方式に固執)が大きく異なっていることを知ります。

歓迎会の二次会で訪れたバーで不躾(ぶしつけ)な態度をとる同僚男性の安西誠(配役:井浦新)の存在がありました。そして6年前に立ち寄った食堂を春香は久しぶりに訪れます。ここで場面が東京に急展開。建設会社主催の講演会「昭和のインフラ整備」で聞いた葉山勝一郎(配役:高橋長英)の話に感動した大日本設計(業界大手)に勤務する劉人豪(リョウレンハオ、配役:炎亞綸)は講演を終えた葉山に声を掛けました。劉(りゅう)が台湾出身であることを知った葉山は資料が見たいという劉を自宅へ招待します。

次いで舞台は台湾南部の高雄(かおしん)市に移りました。台北市まで90分で行ける台湾新幹線を話題にする八百屋夫婦のシーンに続いて、その息子と幼馴染(おさななじみ)の女性が登場して「高鉄機廠預定地」(和訳:新幹線整備工場の工事現場)を紹介します。

2001年に正式契約が締結されたものの、技術的な詳細についての議論が続いていました。台湾側と日本側がそれぞれ持つ車両のイメージが異なっているのです。春香は台湾人の女友達に、問わず語りに、思い出の台湾男性のことを話しました。出会いから台北市の各地を案内してくれたこと、帰国日にはホテルまで来て電話番号を教えてくれたことも。日本では劉が葉山に気に入られ、入院中であった葉山の妻から葉山夫婦が台湾生まれであることを聞かされます。病院を出た葉山は劉に台湾人の学友に言った酷(ひど)い言葉についての苦い思い出を話すのです。

台湾高鉄側はレールをヨーロッパ規格から日本のJIS規格へ変更することを決断しました。しかし、安西の頑(かたく)な態度に台湾側との間に不穏な雰囲気が漂います。これを心配した王は春香を食事に誘い、台湾独自(オリジナル)の高速鉄道を創りたいという自分の気持ちを春香に語りかけた。

年末に帰国した春香は神戸の実家に戻る途中、名古屋に立ち寄りました。プロポーズしてくれた男性に会うためです。その男性に問われて春香は台湾での古い思い出を正直に話しました。台北市に戻った春香は女友達(現地採用の同僚)からエリックの消息が分かったことを知らされます。そして、エリックからメールが届きました。一方、エリックは葉山から彼の妻が急死したことを知らされます。

春香はエリックと8年振りに台北市で会うことになりました。待ち合わせの場所で待つエリックを遠くから見た瞬間、8年前の自分の思いが恋であったことに春香が気づいたところで「第一回」が終わります。

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「第二回」は春香とエリックの再会シーンで始まりました。8年前と同じ食堂で再会を喜ぶ二人。『これからも連絡をして良い?』 と尋(たず)ねるエリックに、春香は『もちろん。友達でしょ!』 と反射的に心の想いとは違う言葉を発してしまいました。仕事においても台湾高鉄とは運転士の訓練についても意見が対立していました。日本(JR)の協力を得て訓練を日本で行いたいと言う日本側の提案に台湾高鉄幹部のバルトが難色を示したのです。しかし、王が進言したことでバルトは日本での訓練を受け入れました。

誘われた食事の席で王から彼の真意を聞きながら春香は王が自分に好意を持っていることを感じます。運転士の訓練開始に合わせて帰国した春香はエリックとともに葉山宅を訪れました。エリックと春香は何か蟠(わだかま)りを持っている葉山を、彼の妻の願いにしたがって、台湾へ誘いました。神戸の実家へ行く途中、春香が名古屋に立ち寄ると、交際中の男性は婚約指輪を準備していました。心の準備ができていなかった春香はそれを受け取る時になぜかエリックのことを考えていました。

葉山がエリックと一緒に台北の空港に到着。春香以外にも出迎えた人がいました。葉山の同級生だった中野赳夫こと呂燿宗(配役:楊烈)です。二人は葉山が昔(戦前に)住んでいた思い出の場所を一緒に歩きました。そして、葉山は60年前に発した差別的な言葉について中野に深く詫(わ)びます。一方、美香とエリックは互いの生まれ故郷(神戸と台中)がそれぞれ大地震に襲われた時、二人はそれぞれ相手の街を訪ねて安否を確認しようとしたことを知ります。そして、エリックは付き合いたいと美香に言いますが、婚約者がいる春香はエリックの申し出を受け入れることができません。

そんな折、春香は台湾の東海岸にある花蓮(ファーリェン/かれん)を訪れました。エリックの所在を探し出してくれた女友達の故郷です。そこで少数民族(高山族)のお祭りを楽しんだ美香はエリックと分かれたことをその女友達に伝えます。私的にも慌(あわ)ただしい美香でしたが、新幹線の車両が高雄市に運び込まれる日がやってきました。高雄港に陸揚げされた車両はブラスバンドに先導されたトレーラーで市内へと運ばれる様子を大勢の市民たちが歓喜して見つめるシーンで第二回が終わりました。

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「第三回」(最終回)の冒頭、王からの電話で王が台湾高鉄を辞職したことを聞かされた春香は台湾高鉄の本社へ向かいました。副社長との対立が原因であることを察した春香の感情的な発言を王は途中で遮(さえぎ)ります。春香まで副社長と対立させたくなかったのです。その後、春香は王から『台湾の誇りになる新幹線を作ってほしい』 と言われます。

開業を1年後に控えた2005年、高雄(カオシン)県燕巣(エンチャオ)から台中駅の北までの約60km区間で走行試験が始まりました。最初は時速30kmでの低速走行試験です。橋梁などにおける設計変更個所の安全性確認がその目的でした。予定より遥(はる)かに遅い進捗状況です。これに焦(あせ)る安西。そして開通の遅れが日本の新聞で報道されたことに激怒する台湾高鉄副社長のバルト。

春香は台北市を突然訪れた婚約者と思い出の食堂にいました。台湾新幹線の開業が遅れたことは二人の関係にも影を落としていました。気持ちが噛(か)み合わない二人は互いに相手を咎(とが)める言葉が出てしまうのです。さらには、台北を訪問中の葉山が末期癌(がん)であることが旧友で医師の中野赳夫の診断で判明しました。

台湾鉄路の運転士とフランス人指導員(フランスのTGV方式の訓練)とのコミュニケーションが上手く行かないこともあり、開業までの工程はさらに遅れてしまいます。その状況を深刻にとらえたバルト副社長は王を台湾鉄路に呼び戻しました。王のリーダーシップによって工程を前進させたことで、やっと最終工程である1か月間の試運転が始まりました。

関係者が固唾(かたず)を呑(の)んでその進捗を見守る中、ついに試運転は最終日を迎え、バルト副社長と山尾が最終試験列車に試乗しました。始発駅の台北駅から終点駅の左営(ズォイン)駅(注釈:高雄市左営区)までの約350㎞を順調に走行。左営駅のホームではいつも激論を交わした安西がバルト副社長を出迎えて握手を交わしました。

帰国して名古屋駅に降り立った春香は婚約者に指輪を返します。謝罪の言葉とともに。これまでの言動を振り返って謝る元婚約者。言い訳をしないことが春香の誠意でした。台北市に戻った春香は上司の山尾から東京本社勤務の辞令を示されますが、台湾に残りたいと辞令を固辞します。高雄市の左営駅を出発した台湾新幹線の車両には幼馴染みの男女が乗っていました。男性はそれまでの思いを告白した勢いで思わず女性にプロポーズ。一方、台北駅発の台湾新幹線車両に同乗することになった春香とエリックは二人の出会いが運命であったことを確認し合うシーンでこのテレビドラマは終わりました。


〈筆者コメント〉 自動車列車飛行機など乗り物が大好きな筆者は台湾新幹線の走行シーンを楽しく観ました。そして、ドラマに登場した多彩な人たちの人間模様も。しかし、原作にしたがって詳しく描かれた何組もの恋愛関係はもう少し控(ひか)え目に扱った方が良かったと思いました。中でも主人公春香に思いを寄せる三人の男性と春香の複雑な関係はNHKのドラマとしてはリスキーだった思います。しかし、女優・波留さんの好感が持てる演技とNHKらしい巧みな演出によってその懸念は無用だったようです。また、主人公以外では同僚男性の安西誠役を好演した井浦新さんと葉山勝一役を渋く演じた高橋長英さんの二人が印象に残りました。

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