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2020年7月15日 (水)

NHKスペシャル "タモリx山中教授"「人体vsウイルス」を観る

74日にNHK総合テレビで放送された「NHKスペシャル タモリx山中教授 "人体vsウイルス"」を観ました。新型コロナが持つ驚異的な能力を最新科学で解明・映像化して、重症化する人としない人を分ける免疫力を解説する科学番組です。なお、7月12日の再放送も視聴して原稿に加筆・修正を加えました。

NHKの関連hpには以下のように紹介されています。 

2017年から続く「人体」シリーズで、コンビを組んできたタモリさんと山中伸弥さん。新型コロナウイルスとの闘いが続く今、感染防御やワクチン開発のカギを握る「免疫力」の真実に、最先端の科学で迫ります。』

『生命が誕生して40億年の歴史の中で、幾度となくウイルスと闘ってきた結果、私たちの体内には、驚くほど精緻なウイルス防御ネットワーク、つまり「免疫」が存在しています。ところが、新型コロナウイルスには、その免疫の常識を次々とくつがえす力があることがわかってきました。』

『例えば…そもそも、私たちの体の細胞はウイルスに感染すると、免疫の攻撃部隊を呼び寄せる“警報物質”を大量に放出しますが、新型コロナウイルスは巧みにこれを阻止する、巧妙な仕組みを備えているのです。』

『新型コロナウイルスは、いったい何者なのか? 免疫力を高めるために、本当に必要なことは何なのか? 体内のミクロの世界を最先端の8K顕微鏡などを使って撮影した映像や、精緻なCGで鮮やかに描き、タモリ・山中コンビならではの視点で、パンデミックを生き抜くカギを探ります。』

                            

番組を観ながら書いた概要は次の通りです。 

好奇心が旺盛で博識のタモリさんとノーベル賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授による対談形式で番組が進行しました。山中教授は日本人に重症者・死者が他国に比べて遥かに少ない理由を「ファクターX」と呼んだことが知られます。二人の他に女優の石原さとみさんとラグビーワールドカップに出場したラグビー選手の福岡堅樹さんが出演。 

二人が挨拶を交わした後、山中教授から今回のテーマが"人体vsウイルス"であり、新型コロナウイルスに感染しても重症化するかどうかは各人が持つ免疫力によることを解き明かしたいと番組の趣旨が説明されました。 

次いで山中教授は新型コロナウイルスと免疫を探ると極めて奥が深いといいます。ここでNHKが制作したCGを使って新型コロナウイルスの構造と人体に侵入するプロセスとそれに対抗する防衛隊である免疫細胞の働きが視覚的に説明されました。人が持つ細胞にウイルスが侵入するためには適合する鍵が必要ですが、新型コロナウイルスはその鍵を持っており、容易に体内に入り込み、肺炎を引き起こすというのです。

さらに増殖してウイルスの数が増大します。このウイルスの活動によって発生した警報物質を人体の免疫細胞が検知する人体は免疫細胞検知すると血管内を流れる食細胞を感染した場所に派遣してウイルスを捕食(丸呑みに)します。 

しかし、人が持つこの「自然免疫」をすり抜ける能力を新型コロナウイルスが持っているというのです。新型コロナウイルスは免疫細胞が検知する警報物質の発生量を10分の1(あるいは20分の1)に押さえることが分かったのです。つまり、感染しても発症せず、免疫細胞が活動しないことになります。

それでも、感染後5日ほど経過すると症状が現れて人体は第二の免疫活動を始めるというのです。キラーT細胞は学習したウイルスの情報を使ってウイルスに感染した細胞を丸ごと呑み込んで退治します。しかし、ウイルス側も対抗策を準備していました。ウイルスの情報を持つ手を外に出さないでキラーT細胞に探知されないようにするのです。 

しかし、人体はさらなる飛び道具を持つB細胞を投入します。小さな抗体を新型コロナウイルスに吹き付けて偽(にせ)の鍵にくっ付いて感染と増殖ができなくなったところを食細胞が捕食します。これが「獲得免疫」と呼ばれる第二の免疫でした。ちなみに、人体には40種類ほどの免疫があるそうです。 

人類が進化する過程でウイルスも進化しと違いに戦ってきたのです。新型コロナウイルスの特徴をCGで解説したあとは人体とウイルスがこれまでどう闘ってきたかの歴史を40億年前に遡って振り返りました。そのころ人間の先祖は単細胞生物であり、当時から存在していたウイルスは単細胞生物の中に自由に入ることができたそうです。

20億年前に地球が天球凍結したことで人類の祖先は単細胞生物から多くの細胞を持つ生物に進化したことでウイルスとの闘いが始まりました。その過程で人間の祖先に免疫機能が生まれたのです。そして、現在は人類とウイルスが頂上決戦をしている状況にらあると山中教授は指摘します。 

新型コロナウイルスに感染して死亡した人体に何が起こったのでしょうか。血栓が多く見つかったのらです。食細胞の死骸でした。「サイトカインストーム」(過剰反応/暴走)と呼ばれる現象です。それが血管内で血栓となり、人体に重篤な症状を引き起こします。ドイツの事例では2-3割の死者で確認されたことが報告されました。ウイルスは増えることだけが目的なのです。人間が死んでしまうと、その目的を達成されないのですが・・。 

ウイルスによっては人体に感染した時にウイルスのDNAを写すことがあります。卵子に精子が入りこんで受精することと良く似ています。つまり、ウイルスと人類が交尾することが行われてきたと考えられるというのです。意外にも相互に利用し合っているのかもしれません。山中教授は免疫力を利用してウイルスに対抗できるかもしれないと言います。人の命を救う「スーパー免疫力」です。

新型コロナウイルスの抗体を使った治療が始まった事例が説明されました。一部の人は大量の抗体を作ることができるのです。B細胞が抗体を作り出しますが、人によって手の形が異なるため、人によって差が生まれる理由である可能性があると考えられ始めました。約20万年前、人類の祖先がアフリカから世界各地へ進出する過程で様々な免疫力を獲得した歴史があるといいます。 

最新の医学により免疫力を備えた人の抗体を利用して重症患者の治療に役立たてる治療法が期待されともいいます。山中教授が提唱するファクターXのひとつが遺伝子の特徴、そして日本が取った対策のどれか、マスクの着用、BCG接種などがその候補となる可能性がりますが、獲得した免疫力はストレスや疲労などで下がることがあるので体調を整えることが必要であると山中教授はコメントしました。

「"免疫"の未知なるパワー」の言葉とともに、母乳によって赤ちゃんが初期の免疫を獲得するプロセスや高齢者においても免疫力を衰えさせない力があることが分かってきたこと、そしてワクチンと治療薬開発への大きな期待を伝えて、番組が終わりました。秀逸な科学番組です。

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