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2020年8月 8日 (土)

最近の連続テレビドラマに思うこと

新型コロナウイルス禍が拡大し始めた今年の3月から自粛(巣篭り)生活を続けている筆者はそれ以前よりもテレビを観る機会が増え、元々好きな旅行番組や科学番組だけではなく、連続ドラマも定期的(毎週)に観るようになりました。

新型コロナウィルス禍の影響はテレビ局の番組作成にも及んでおり、2020年第2クール(4-6月期)連続ドラマは放送開始が軒並みに遅れています。その中で特に注目されたのが、719日から「シリーズ2」の放送が始まった連続テレビドラマ「半沢直樹」です。視聴者に好評(8月2日第3回までの視聴率:22.0%22.1%、23.2%)のようで、ネットの書き込みやラジオ番組でもこのドラマの話題で持ちきりになっているようです。「シリーズ1」の最後にそれまで活躍していた大手都市銀行の「東京中央銀行」から子会社である「東京セントラル証券」へ出向させられた主人公の半沢直樹(堺雅人)が銀行で体験した困難を上回る厳しい環境が半沢を待ち受けていました。

前シリーズ以上に多い4人の歌舞伎役者(香川照之、市川猿之助、片岡愛之助、尾上松也)が出演していることから、演技(特に顔芸)が大袈裟(おおげさ)で、その他の男優陣(北大路欽也、古田新太、益岡徹、及川光博、角田晃弘など)の個性的な演技で盛り上げることにより、まるで歌舞伎芝居あるいは時代劇を観るようです。女優陣では半沢直樹の妻花(上戸彩)、部下の浜村瞳(今田美桜)、小料理屋の女将・智美(井川遥)などが華(はな)を添えることが、コテコテの男ドラマにおける一服に清涼剤になっています。7月の前半に「シリーズ1」(総集編)を観たばかりですから、それと比較して「シリーズ2」が初回から全速力で飛ばしていることが分かります。

第1話で大和田取締役(元常務)は中野渡頭取に『施されたら施し返す、恩返しです』 と忠誠を誓い、第2話では半沢に向かって『何なら私が何とかしてあげようか』と懐柔(かいじゅう)しますが、半沢がこれを拒否。大和田取締役は『君はもうお終(おしま)いです。お・し・ま・い・death(デス/死を意味)!』と言うなどその健在ぶりを示し、その部下である伊佐山部長(市川猿之助)は半沢に向かって『詫(わ)びろ』 を何度も繰り返しました。

3話から「シリーズ1」において半沢直樹の天敵であった金融庁証券等監視委員会事務局証券検査課統括検査官(注釈:「シリーズ1」では金融庁検査局主任検査官)・黒崎駿一(片岡愛之助)も参戦しましたから、ドラマ展開はさらに迫力が出ることが期待されます。

他に男性が主人公であるドラマとして、6月18日にスタートした木村拓哉さん主演の『BG 身辺警護人』(シーズン2)は視聴率が14.4%17.0%と7月30日の最終回まで高視聴率で推移し、6月26日スタートの『MIU404主演:綾野剛と星野源のダブル主演、7月31日第6話までの視聴率:10.2%〜13.1%)は堅調ですが爆発力がなく伸び悩み気味のようです。注釈:"MIU404"は警視庁第4機動捜査隊芝浦分駐所の404号車を意味する

一方、女性が主演する連続テレビドラマが好調を維持していることに筆者は注目しました。617日にスタートした日本テレビの『ハケンの品格(主演:篠原涼子、8月5日最終回までの視聴率:11.9%14.2%)77日にスタートしたTBSの『私の家政夫ナギサさん(主演:田部未華子、8月4日5話まで12.4%~14.4%)2つです。

前者「ハケンの品格」(原作:講談社コミックプラスの同名作品)は20071月〜3月に放送された前シリーズの続編(第2シリーズ)です。全シリーズの13年後という設定ですが、主人公の大前春子(篠原涼子)を始めとする主な登場人物はほぼ同じ(例外としてS&F社の社長が故松方弘樹さんから伊東四朗さんに変更)ですから、ドラマの続編としてそれほど違和感はありません。ただし、社長を始めとする幹部たちは一昔前と変わらず正社員と派遣社員を区別(差別?)がそのままであることには違和感があります。

しかし、時代の変化(経営環境のさらなる悪化)によりリストラ(人員削減)が正社員に及びそうになり、しかもその候補者の判定を社長が絶対的な存在と考える”AI”(Artificial Intelligence/人工知能)が行うことでしょう。大前春子とその上司(課長、前シリーズは主任)である里中賢介(小泉幸太郎)がそれに挑むことになりました。里中が提案した直営コンビニ店(注釈:リストラを防ぐのが真の目的)に対して社長は"AI"との囲碁対決で大前春子が勝つことを条件に出します。これに応じた大前春子は奇手を繰り出して"AI"を翻弄(ほんろう)するも、定時(午後5時)になったため投了。

里中が企画したパイロット店は主婦や女性客に大好評。その前夜、大前春子が、徹夜で惣菜(そうざい)のアジフライを作っている時に、現れた警備ドローンを叩き落としたため、器物損壊で派遣契約を打ち切られていたのです。社長は里中の企画を認めましたが、里中は辞表を出し、自らの手で企画を実現すると宣言。その直後、"AI"は社長もリストラ対象に選びました。シーンは1年後に転じ、里中が起業した会社の1号店がオープンする日、長年の夢を叶(かな)えた「新人演歌歌手の龍前寺アキ子」こと大前春子が現れて、来店客の前で演歌を披露するシーンで最終回(85日放送)は幕を閉じました。やや慌(あわ)ただしさ(ドタバタ感)がある最終回でした。

もうひとつの連続テレビドラマ「私の家政夫ナギサさん」は「ハケンの品格」と同様、アニメ(コミックシーモアの電子書籍)「家政婦のナギサさん」が原作で、テレビドラマ化は初めてです。3年前にヒットした「逃げるは恥だが役に立つ」(主演:新垣結衣、星野源)の人物設定とは男女が入れ替わっていますが、同じTBSが二匹目の泥鰌(どじょう)を狙ったのかもしれません。ただし、配役は良く考えられていて、安易さはまったく感じられません。

田部未華子さんは演技力に定評がありますが、その目の表情は女優として出色です。これまでも、NHKの連続テレビドラマ「ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜」(20174月〜6月)と同じく「これは経費で落ちません」(20197月〜9月)、映画「日々是好日」(201810月公開)での演技は好評でした。今回の「私の家政夫ナギサさん」の主人公相原めい(28歳)役も期待通りの好演だと思います。

タイトルにあるもう一人の重要な配役は50歳の「エース家政夫 鴫野(しぎの)ナギサさん」(大森南朋/なお)です。俳優一家に生まれた大森南朋さんは子役出身のベテラン俳優で、映画・舞台・テレビドラマ・CMなどの分野で広く活躍されています。過去が良く分からない「鴫野ナギサ」の家政夫振りとその控え目な発言が「相原めい」をはじめとする登場人物たちに理解されはじめる過程が視聴者には心地よいのです。

急にモテ期に入った恋愛音痴の「相原めい」と22歳も年長でどこか謎めいた家政夫「鴫野ナギサ」を巡る今後のストーリー展開環に興味が湧(わ)きました。ちなみに、6話(8月11日放送予定)の予告編では、それまで時々仕事に行き詰った「めい」に的確なアドバイスをしてくれた家政夫の「ナギサさん」が最大手製薬会社で「めい」と同じMR(Medical Representative/医薬情報担当者)の仕事をしていたことを知った「めい」は「ナギサさん」のことをもっと知りたくなり・・。

以上、紹介したドラマの中で元々ドラマが好きとはいえない筆者が期待して観ているのは、対照的ともいえる2つのドラマ、「半沢直樹」と「私の家政婦ナギサさん」です。時代劇のように過剰演出気味で勧善懲悪(かんぜんちょうあく)ドラマである前者と、現実とはかけ離れた別世界のお伽噺(とぎばなし)のような後者が、視聴者である筆者の心に絶妙のバランスで交互に届くのです。また、両ドラマは出演者がいずれも達者な演技を披露(ひろう)しているため、安心してドラマの展開にのめり込むことができることも大きな魅力です。

なお、本論と無関係ですが、727日からBS日テレで韓国の連続テレビドラマ「チャングムの誓い(大長今)」(韓国での放送:20039月〜20043月)が17年の年月を経て放送されています。ちなみに日本では、NHK BS2200410月〜200510月、NHK総合(アナログ地上波)で20057月~/10月〜、NHK BS2で20071月~20082月に再放送され、その後もTBS・日本テレビ・BS日テレなどでも再放送されました。おそらく、今回は7回目の再放送ですが、総集編ではありませんから、54話がすべて放送されるのでしょう。

放送された第1話で確認すると、画質はアナログ地上波用(注釈:韓国では2001年に地デジ放送が開始されたが2003年時点では100万台程度と少なかった)と思われますから、筆者が13年年前にNHK BS2から録画したDVD と画質はあまり変わりません。わが家のDVDコレクションである2006年のNHK BS2/34話~第54話(物語後半の全21話)および2006年末~20071月のNHK総合総集編・全6話)を時間に余裕がある時に観ることにします。

〈追記2020929日〉 テレビドラマ「半沢直樹」の最終回を観る
期待を持ってテレビドラマ「半沢直樹」の最終回を観ました。TBSがテレビとラジオを総動員して盛り上げた最終回の放送は期待を上回るドラマ展開と終末になりました。白井大臣への説得に成功し、頭取の本心を聞いた半沢は、頭取の代理として箕部幹事長が設定した公開討議の場に登場。債務放棄を改めて拒絶することを証言し、さらに蓑部幹事長の不正については、証拠を次々と示して、明らかにしました。

蓑部幹事長は無言で土下座したあと、力なく会場から退出します。そして、政治資金規制法違反・収賄・脱税の罪で逮捕され、検察の家宅捜査を受けます。白井大臣は辞任して離党、白井議員から告発された悪徳弁護士は除名処分を受けました。事前に辞表を出していた半沢は退任の申し出が役員会で承認された中野頭取から『君はいずれ頭取になる男だ』 と言われます。そして、頭取から半沢の辞表を返すように言われた宿敵の大和田取締役と半沢は互いに本音をぶつけ合います。

大和田は半沢の父親との取り引きについての自分の考えを述べた後、頭取と一緒に自分も退任するが、もし半沢が頭取になれなかったら自分に土下座しろと言い残して大会議室を去るシーンで10回に亘って放送された連続ドラマはエンディングを迎えました。

そのシーンにおける半沢直樹の微(かす)かな微笑は何を意味するのでしょうか。大和田取締役との和解なのか、それとも新たなる野望を自覚したのでしょうか。筆者には半沢の表情がこの連続ドラマで最も印象に残りました。

翌日に発表された視聴率は32.7%と高くて、シリーズ2の最高値を更新し、TBSの大勝利に終わりました。◇

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