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2022年10月

2022年10月26日 (水)

インフルエンザ用ワクチンおよび5回目の新型コロナウイルス用ワクチンの接種

昨年から今年にかけての冬期はインフルエンザの流行がありませんでしたが、この夏(注釈:北半球における)には南半球でインフルエンザの大流行がありました。このため、この冬は新型コロナウイルスとインフルエンザがダブルで流行する可能性があると伝えられています。筆者は同居者とともに秋の内にインフルエンザ用ワクチンの接種を受けることにしました。先に受診した健康審査の結果を聞くタイミング(10月17日)です。なお、筆者と同居者は昨秋にもインフルエンザ用ワクチンの接種を受けています。 

ここでインフルエンザについての蘊蓄(うんちく)です。人間に感染するインフルエンザウイルスには大きく分けてA型、B型、C型の3つの型がありますが、感染すると重い症状になる可能性が高いのはA型とB型で、C型は通常の風邪程度とされます。つまり、冬に流行するインフルエンザを引き起こすのはA型(香港とソ連の2種、多くの株がある)とB型(1種、多くの株がある)なのです。そのためA型とB型のそれぞれ2種類の株に対応する4種混合ワクチンが今年も使用されます。

インフルエンザは罹患(りかん)してもその多くは自然に回復しますが、重症化するケースもあります。複数のインフルエンザウイルスあるいはインフルエンザと新型コロナウイルスに同時感染(通称:フルロナ)した場合あるいは免疫力が弱い高齢者が感染した場合には重症になりやすいとされますが、ワクチン接種は重症化を防ぐ効果もあるそうです。筆者は数年前から気管支喘息に罹患していますからインフルエンザにも注意しています。 

閑話休題。インフルエンザ用ワクチン接種(説明:筆者は今回も皮下注射でしたが筋肉注射もあるようです)後の副反応は接種部位の痛みが2日間続いただけで、発熱などもありませんでした。同居者も筆者と同様ですが、強い痛みが少し長く続いたようです。

                             ☆ 

新型コロナウイルス用ワクチン(5回目接種)の接種券が今週送られてくることを自治体の関連hpで知りました。そのスケジュール通り、本日 1025日(火)に新型コロナウイルス用ワクチン(5回目)の接種券が自宅に届きました。

筆者は719日に4回目の接種を受けていますから「5か月後」にはまだ早いのです。しかし、今回から接種の間隔が「5か月以上」から「3か月以上に短縮される見通しになったため、自治体が接種券の発送時期を前倒してくれたのです。そして、接種券の到着時には接種間隔の短縮が正式に決まったことが自治体の関連hpに掲載されていました。 

これまで接種を受けてきた医院(説明:筆者は2回、同居者は4回)に電話予約すると、都合の良い111日(火)を予約することができました。今回は初めてであるオミクロン株対応2価ワクチンのBA.5(ファイザー製)とのこと。これまで4回接種を受けたワクチンはいずれもファイザー社製の1価ワクチンでした。

参考情報です。2価ワクチンにはBA.5(注釈:BA.4-5とも呼ばれる)とBA.1がありますが、BA.1は先行して開発されたワクチンで、BA.5は最近開発されたものです。なお、両者の機能には大きな差はないそうです。 

自治体の関連hpによると、今回(2022920日から2023331日まで)のワクチン接種の対象者は以下の通りです。

4回目の接種が完了した人
4回目の対象者で4回目の接種がまだの人
3回目の接種が完了した人で4回目の接種対象者でなかった人
3回目の接種がまだの人 

この説明は分かりにくいのですが、接種を2回受けていない人は従来の1価ワクチンを計2回受けてから(つまりとして)2価ワクチンを受けることになります。 

また、18歳以上はの対象者とし2価ワクチンの接種を受けることができますが、12歳から18歳未満の人はファイザー社製ワクチンだけを接種することができます。なお、自治体によって異なる点があるかも知れませんから、役所の担当部門あるいは医療機関に確認すると良いでしょう。

私見です。新型コロナウイルス用ワクチンの接種を受けるタイミングを流行のピークまたはその直前に合わせると合理的であるとする考えがあるようですが、筆者は接種を受けられるできるだけ早いタイミングが良いと思います。株の売買をする時の最適なタイミングは後になってから分かることが多いように、新型コロナウイルス用ワクチンのベストなタイミングを予見することは難しいと考えるからです。◇

2022年10月22日 (土)

IT後進国である日本の現状を実感する(その5) 戸籍・住民票・運転免許証

戸籍の本籍を移動することにしました。両親が長年住んでいた場所に筆者の本籍がありますが、両親が亡くなってすでに20年以上が経ち、パスポートの申請(新規・切り替え)などに必要な戸籍抄本は郵送で取り寄せていました。そして、現在は子供達が皆独立して同居者と二人だけの戸籍になっています。

戸籍謄本や戸籍抄本が必要になる頻度は極めて低いのですが、現在の住所あるいは近い場所に本籍を移した方が手続き上便利であることは確かです。なお、戸籍は本籍(説明:土地の地番)と筆頭者で構成されます。

本籍を移すには戸籍謄本と移動先がある自治体の申請書(紙の用紙)が必要です。戸籍ですから筆者と同居者の両方を一緒に申請する必要がありました。ちなみに、単身者は本籍を移動できないようです。

戸籍謄本(書類)が郵便で届いたところで区役所へ出向きました。係員が戸籍謄本と申請書(紙)に問題が無いかチェックしてくれ、記入漏れを追記した後に申請書を受領してくれました。

住民票に表示される本籍(都道府県名)は翌日に反映され、新しい本籍は1週間ほど後に出来上がると説明されました。戸籍謄本と申請書を提出するだけの簡便な手続きでしたが、完了するまでに1週間ほど掛かるのは元の戸籍がある役所(説明:本籍地)とのやり取りが旧来の方法(例:郵送・FAXなど)で行われるからでしょう。

筆者の場合は緊急ではありませんから何ら問題もありませんが、現在の生活ペースから見て遅いと言わざるを得ません。

数日後、本籍(都道府県名)が変更された住民票(2通)を区役所で貰って警察署へ向かいました。マイナンバーカードの数少ない利点の一つがコンビニで住民票を取得できることですが・・。運転免許証の記載事項(本籍地)を変更するのが目的です。

署内にある申請書に必要事項を記載して同居者の申請書と一緒に2人の運転免許証とともに窓口へ提出しました。提出した住民票は返却されませんが、同居する2人の同時申請であるとして住民票は1通だけで済みました。

10分ほど待つと免許証の裏側にある備考欄に「本籍変更」のゴム印が押された免許証が戻されました。新しい本籍(都道府県名)は署内にある読み取り機で確認することができると説明されました。早速試してみました。免許証を機械に挿入して暗証番号を入力すると免許証の表面にある氏名・住所などとともに「必要な手続き」を選ぶ画面が表示されました。しかし、そこには本籍は含まれていません。

本籍を確認するには第2暗証番号を入力する必要がありました。数年前に2つの暗証番号を選んだ記憶はありますが、2つ目は思い出せません。同居者は2つともメモして免許証と一緒に携行していました。免許証を紛失した時に他者に個人情報を見られるリスクがありますが・・。

それはともかく、第2暗証番号を失念したことを同居者に弄(いぢ)られないうちに警察署を退出しました。なお、暗証番号を忘れた場合は警察署の窓口に申し出れば対応してもらえるようです。(終)

2022年10月21日 (金)

IT後進国である日本の現状を実感する(その4) マイナンバーポイント

マイナンバーカードを受領すればマイナンバーポイント(通称:マイナポイント)を自分の都合の良い時に申請することができます。ただし、マイナポイント(第2弾)を申請するには20221231日までにマイナンバーカードを受領する必要があります。また、マイナンバーポイントの取得期限は2023年2月末です。

マイナポイントを申請するにはマイナンバーカードおよびポイントを申請&受領する手段(キャッシュレスアプリ)が必要です。クレジットカード、電子通貨、QRコード決済などいずれでも構いませんが、通常の銀行口座は使えません。

筆者は常用しているQRコード決済(PayPay)で手続きをしました。スマホ(iPhone SE3)にあるPayPayアプリのホーム画面でマイナポイントを選ぶとマイナポイント・アプリのダウンロードを指示されました。ダウンロードしたマイナポイント・アプリの指示に従えば間違えることは無いはずです。なお、現状ではPayPayを使用して申請する人が一番多いようです。

3種類の選択肢において必須である「マイナポイントの申請」の他にオプションである 『健康保険証とのリンク』 と 『国から現金を支給される時の銀行口座の指定』 を必要に応じて選択します。マイナンバーカードを使ってマイナンバー・センターに接続されてそれらの情報が伝わると手続きの大筋が完了です。筆者はすべての項目を選択しました。銀行口座は毎年行う確定申告で国に通知している銀行口座番号です。

あとは「マイナポイントの申請」による5,000ポイントを受領するために必要な2万円をPayPayにチャージすれはすべて完了です。これで「マイナポイントの申請」によって支給される5,000ポイントが当日、残りのオプション分の7,500ポイントX2は翌日になるとPayPayポイントとして振り込まます。なお、PayPayへのチャージは2万円を分割(例えば5,000円を4回)しても良く、チャージした金額に応じたマイナポイントがその都度支給されます。

筆者のマイナポイント申請は上記の通り順調でした。これに気を良くした筆者は同居者の申請作業を代行することを申し出ました。もちろん、同居者のiPhone SE2とマイナンバーカードを使います。申請作業は順調に進み無事完了しました。そして、残った銀行口座の指定作業だけが上手く行きません。何度やっても途中で弾(はじ)かれてしまいます。画面をよく見ると『プライベイト・ブラウズ・モードになっている可能性があります』 と注意書きが表示されていました。同居者のiPhone SE2における設定を変更する必要があるようです。

聞きなれない『プライベート・ブラウズ・モード』について調べると、『ブラウザーであるSafariで閲覧履歴が保存されなくなるモード』 でした。Safariを開いた画面の右下にある四角形が2つ重なったマークをタップ(長押)して現れた「切り替え画面」で〇〇個のタブをタップしてから完了を押すと『プライベート・ブラウズ・モード』をOFFにする作業が完了です。

この作業のあとに再度トライするとシステムが口座の是非を確認する数秒間の後に銀行口座の指定作業が完了しました。

このようなトラブルで「マイナポイントの申請」に挫折する人が多いかもしれません。そう言えば、マイナンバー・カードを受け取りに区役所へ行った時、『マイナンバーポイント申請』と表示されたコーナーに多くの年配者が集まっていました。「マイナンバーポイント」についての説明を受ける人たちだろうと思って通り過ぎましたが、今思うと『マイナンバポイントの申請方法』 を知りたいと訪れた人達だったようです。

上述したように、PayPayに限らず様々な手段で「マイナンバーポイント」を受け取ることができるということは、申請方法もその手段に従って多様であると考えられます。講習会が必要なレベルでしょう。同居者が『私はまったくお手上げだわ!代行者が居てくれて助かった!!』 と本音を漏らしていました。(続く)

2022年10月20日 (木)

IT後進国である日本の現状を実感する(その3)マイナンバーカード

20161月にスタートしたマイナンバーカード(正式名称:個人番号カード、内閣府主管)の普及率は202210月現在、49%にとどまっているそうです。普及が低調である理由はマイナンバーカードの必要性と魅力が国民に良く伝わっていないからと考えられます。何より、情報流出を懸念する人が多いのが最大の理由のようです。

そして、マイナンバーカードへの加入は自由であると政府が説明したことがマイナンバーカードの位置付けを分かり難くしたと考えられます。政府には住基ネット(総務省主管、平成2712月にカードの発行を終了)での失敗がトラウマになっているのかも知れません。 

普及がスローペースであるため政府はマイナンバーカードの加入に伴うメリット(飴玉)を用意しました。国がマイナンバーカードの普及やキャッシュレス決済の拡大を図りつつ、個人消費を下支えするため、2020年9月1日から20214月末までにマイナンバーカードの交付申請をした人を対象に上限5,000円相当のマイナポイントを付与していた事業(マイナポイント第1弾)です。 

これでも効果が限定的と判断した国は第二弾として2022年1月1日から交付申請に加えて健康保険とのリンクおよび国からの交付金を受け取る口座番号を申請することで各々7,500円相当のマイナポイントを支給するというものです。つまり、マイナポイント第2段では合計20,000円相当のマイナポイントを付与する大盤振る舞いです。 

それでも思わしくないと判断したのか、第二弾の締切日2022930日を同1231日に延期しました。このマイナポイント作戦(第一弾と第二弾)による上積みを図った結果が冒頭の普及率です。 

1013日の記者会見で河野太郎デジタル相は 『2024年秋をめどに現在の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体にした「マイナ保険証」に切り替える』 ことを発表しました。マイナンバーカードを実質的に強制する施策(鞭)です。つまり、マイナンバーカードの普及ありきの方針変更と言えます。 

マイナンバーカードについての世論調査によると、手続きが面倒であるとする意見が圧倒的です。スマホやパソコンを自由に使える世代にはネット上でスムーズに申請することができると思いますが、多くの人にはハードルが高いようです。 

筆者は数か月前に郵送されてきた今年で2回目の「マイナンバーカード交付申請のご案内」にしたがって遅ればせながら申請することにしました。そろそろ潮時と判断したのです。案内書にある申請用紙に記入して郵送することによっても申請することができますが、筆者はオンライン申請を選びました。 

上記の案内書にあるオンライン申請用QRコードをスマホまたはタブレットで読み込むことで申請用サイトに繋(つな)がります。申請書ID、住所・氏名などはQRコードに登録されていますから、電話番号を記入して、顔写真を添付するだけです。ただし、顔写真のサイズと顔の大きさに条件がありますから充分注意する必要があります。

要求条件にしたがった顔写真を添付するとシステムが良否判定をしてくれます。申請が完了すると自分が住む地方自治体で受け取り期日を予約することになります。受け取りまでは2週間前後が目安です。 

予約した920日に区役所の指定窓口に出向きました。予約した時間ですから待つことはありません。運転免許証による本人確認の後、4種類のパスワードを自分で指定する必要がありました。 

署名用電子証明書暗証番号(英大文字と数字の組み合わせで616文字)、利用者証明用電子証明書暗証番号(数字4桁)、住民基本台帳用証明書暗証番号(数字4桁)、券面事項入力補助用証明書暗証番号(数字4桁)です。なお、上記3つの暗証番号(数字4桁)は同じでも構いません。 

申請書にしたがって係員が端末から暗証番号を入力し、その結果を本人が確認するとマイナンバーカードが提供されました。所要時間は全体で10分ほどだったと思います。なお、暗証番号を記入した用紙は控えとして貰えますから大切に保管する必要があります。(続く)

2022年10月19日 (水)

IT後進国である日本の現状を実感する(その2) COCOA

新型コロナウイルス接触確認アプリであるCOCOACovid-19 Contact-confirmation Application)のサービスを終了する方針であることを913日に河野デジタル大臣が明らかにしました。厚生労働省が鳴物入りで導入したスマホアプリでした。そのサービスはスマホのBluetooth機能を使って新型コロナウイルスの感染者と接種した可能性の有無を知ることができる優れたアプリとされています。

なお、その主な機能は、Bluetoothを起動したままで1メートル以内に15分間以上近づいた状態が続いた場合、相手のデータ(識別子)が「接触情報」として互いの端末に記録されるという機能があります。 

ここでいくつかの課題がありました。まず、陽性と判断された人(感染者)が自発的にアプリに陽性登録する必要があることです。

具体的には、PCR検査によって新型コロナウイルスへの感染が確認された場合、感染確認後に保健所から発行される「処理番号」を感染者本人がスマホ内の「COCOAアプリ」に入力することで、当該感染者との接触があった人に対して通知が届く仕組みになっているのです。感染者が喜んで陽性登録をしてくれるのでしょうか? 筆者は疑問だと思います。感染者はそれどころじゃないはずです。 

2020619日に「COCOAアプリ」がダウンロードできるようになり、1か月で769万ダウンロードに達しましたが、それ以降は次第にダウンロード件数が伸び悩み、4か月後には1,861万件(ダウンロード率14.78%)、1年後には2,834万ダウンロード(ダウンロード率22.51%)と低調な普及率でした。

それに加えて様々な不具合(例、Android版では濃厚接触があっても「接触なし」と通知される重大な問題が20209月から20211月までの4か月間に亘って放置された)が発生していました。

政府内に専門の知識や技術を備えた人材が不足していることから外注業者に丸投げになっている現状に課題があると指摘する意見があります。サービス開始から2年余りで寂しい結果になりました。なお、公式には新型コロナ感染者情報を管理するシステム「HER-SYS」の運用見直しに伴い同システムを基盤としているCOCOAは機能を停止と説明されています。 

ちなみに、外出を控えている筆者は「COCOAアプリ」には無縁でしたが。(続く)

2022年10月18日 (火)

IT後進国である日本の現状を実感する(その1)

最近、日本経済は他の先進国に比べて成長率が極めて低いと報じられることが多くなりました。1990年にバブル経済が崩壊してから魔の30年が続いています。バブル崩壊直後の経済・金融政策がその原因だとも言われています。そして、政府による度重なるデフレ脱却政策がほとんど効果がないまま30年余りが過ぎ去りました。

すなわち、1980年代までは右肩上がりで伸びていた名目GDP(国民総生産)が1990年代に入るとほとんど伸びの無い高原状態(500兆円強)が続いて現在に至っています。なお、最近の経済・金融政策の話題ではアベノミクスがありましたが、政府が喧伝(けんでん)したようなデフレ脱却効果はありませんでした。 

突然、半年前から物価が急に上昇し始めましたが、これは原油価格や穀物価格がウクライナ情勢などの外的な要因により急上昇したことの反映であり、経済が活性化したためではありません。ですから、賃金上昇はありません。つまり、悪いインフレなのです。 

                             ☆

本稿では経済情勢全体についてではなく、重要な分野の一つであるIT(Information Technology、情報技術)の分野においても日本が他の先進国に比べて遅れていることを取り上げたいと思います。日本がIT後進国になりつつあると言うとそんなはずはないと反論する方がいらっしゃるかも知れません。インターネットやスマホが普及しているし、何不自由なく利用しているとおっしゃるでしょう。1995年頃に国内でスタートしたインターネット・サービスはデータ・モデムからADSL、さらには光加入者回線と高速化されて多くの家庭で利用されています。 

最近はテレビでも地上波放送と衛星放送に加えてインターネットによる映像サービスが普及しています。YouTubeNETFLIXPrime Video huluABEMAParaviなどです。既存のテレビ放送サービスを圧迫する存在となっているようです。 

一方、スマホは14年前の2008年にアップル社のiPhone 3Gが日本に登場して人気を集めたことで、日本が得意としていたそれまでのガラケイを押しのけました。数年後には後発のAndroid系スマホを含めてiPhoneが急速に携帯電話市場でのシェアをアップさせて、現在は普及率がほぼ一人一台に達しています。なお、シェアが20%強のガラケイを含めると一人あたり1.3台にまで達しているようです。 

IT先進国に違いないと思われ方はこれらの事象を捉えて判断されたのかも知れません。しかし、IT先進国とは『インターネットのインフラが普及している』とか『スマホが普及している』ということではなく、『どのように有用な公的なサービスが提供されているか』、『それらがどのように使いやすい形で利用出来るか』が問われる時代へと移行しているのです。特に、行政サービスなどのIT化が重要な領域です。

                             ☆

スイスに本拠を置くビジネススクールのIMD202010月に発表した「世界デジタル競争力ランキング2020」によれば日本は前年の23位から27位へと4ランク下がりました。

ちなみに、2020年の1位は前年と同じアメリカ、同2位は前年と同じシンガポール、同3位はデンマーク、同4位はスウェーデン、同5位は香港、以下 スイス、オランダ、韓国、ノルウェー、フィンランド、11位以後は台湾、カナダ、イギリス、アラブ首長国連邦、オーストリア、中国、オーストリア、ドイツ、イスラエル、アイルランドが続きます。

なお、評価指標は①知識(新しい技術を開発し理解するノウハウ)、②技術(開発環境など)、③将来の準備(デジタル変革を活用するための準備度合い)です。 

ランキングが1位のアメリカと2位のシンガポールは教育や研究開発の評価が高く、電子行政への参加が進んでいることが挙げられています。韓国は行政業務のデジタル化と電子通貨の普及が進んでおり、中国はキャッシュレス大国で中央銀行が発行する「デジタル人民元」の事前準備が進んでいます。 

27位と低い評価を受けた日本は主管庁間のデータ連携が遅れていることがその背景にあるようです。つまり、国民と企業のデータが適正に収集・管理されていないことが理由のようです。新型コロナウイルス禍において特別定額給付金や雇用調整助成金のオンライン申請で不具合が多発したことが分かり易い例でしょう。 

                             ☆

行政組織におけるIT化の遅れをやっと理解した日本政府は昨年9月にデジタル庁を創設し、行政サービスのデジタル化を重要施策として取り組むと表明しました。

このデジタル庁は、『これまでの縦割り行政を調整する機能を持ち、基本的な方針を策定し、国の情報システムを統括・管理する方針』が明らかにされています。後者の重要な事例としては「マイナンバー」が挙げられます。なお、デジタル庁の発足にともない政府官庁に不足しているIT関連の技術者を非常勤の国家公務員として民間から採用しました。 

経糸に例えられる「方針の策定」と横糸とも言える「情報システムの統括・管理」を円滑に調整することが最大の課題と思われます。従来の官庁は「方針を策定(法制化)」することが主な役割で、「情報システムの構築」は民間企業に委託・発注する形でした。発注書(契約書)に合致することが最大の重要事項ですから、このため出来上がる「情報システム」はお役所的な使い難いものが大半でした。 

デジタル庁は利用者が使いやすい「情報システム」を提供する責務があるのです。使いにくくてトラブルが多く発生した新型コロナウイルス禍関連の情報システム“COCOA”の例を後述します。(続く)

〈追記 2022年11月4日〉 北朝鮮の長距離ミサイルとJアラートについて

2022年11月3日午前7時50分すぎに「Jアラート(全国瞬時警報システム)」が発令されてテレビ放送のすべてのチャンネルで臨時速報として画面に赤いベルトが表示されました。『北朝鮮が発射した長距離ミサイルが日本の上空を通過することが予測される』として新潟県、山形県、宮城県を対象に住民は安全を確保するよう警告が出されたのです。すべてのテレビチャンネルに徹底されたのは見事でした。

しかし、いくつかの疑問が生じました。

①日本上空を通過予想時間を約2分過ぎてからJアラートが発令されたこと:
 事後説明では何の役にも立たないでしょう。Jアラートの警報がテレビ放送や携帯電話を通じて伝達されたことは火災訓練においてベルが鳴る
 かどうかを確認するだけの点検作業といえるでしょう。肝心なのは火災が発生したことをいち早く探知することの方でしょう。
②高速で飛翔するロケットについての最新情報の更新がなかったこと:
 『太平洋側に墜落したとみられる』との曖昧な情報が20-30分後に出されましたが、いかにも「竹やり」的な印象がありました。
 台風の進路予想のようにロケットの進路図を表示できないのでしょうか。
 政府の発表は『当該のロケットは日本の排他的経済水域(EEZ)に入る前に探知不能になった』と修正されました。
③「安全を守る」と言って視聴者はどう行動すれば良いのが分からなかったこと:
 太平洋戦争時の空襲警報には近くの防空壕へ避難することは常識だったようですが、空襲警報が発令されてから爆撃機が来襲するまで20-30
 分はあったと想像します。一方、ロケットは北朝鮮で発射されてから10分ほどで日本へ飛来します。自衛隊のミサイル防衛(MD)は人工衛
 星・航空機・艦艇による探知は発射時から行われますが、本土のレーダー捕捉できるのはロケットが水平線上に現れてからの数10秒間でしょ
 う。すなわち、避難する時間はいずれにしても限られているのです。『屋外にいる人は最寄りの建物脇に避難する、屋内にいる人は窓側を離
 れることがせいぜいでしょう。

①と②については11月4日に松野官房長官がシステム改修などを検討する考えを明らかにしました。しかし、Jアラートの問題と言うよりも、北朝鮮の長距離ミサイルを探知した防衛省からの情報連絡方法(つまり省庁間を結ぶ情報伝達システム)が旧態然としていることによるのではないでしょうか。防衛省の探知能力を明らかにするような情報は公開できないのでしょうが・・。ここでもデジタル庁の出番のようです。◇

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