パソコン・インターネット

2025年5月22日 (木)

30数年来の夢がもう直ぐ叶いそうです!

筆者とパソコンの出会いは45年ほど前の1980年頃で、古いブログ記事(2005年12月19日付け)に1999年までの顛末(てんまつ)をまとめて書いています。今回はその記事で触れた"MacIntosh Ⅱsi"(1991年購入)とカシオの電子キーボードを使った「音楽の自動演奏」に纏(まつ)わる話とその後日談です。

アメリカに在住している時に購入した"MacIntosh Ⅱ si"(1989年9月から1993年3月まで販売)は”Apple Computer”(現在のApple)によって設計・製造され、1990年10月から1993年3月まで販売された卓上型のパーソナル・コンピューターであり、先に販売された"MacIntosh Ⅱ ci"の後継機です。その洗練された外観は「アップル」らしさを感じさせました。なお、本体価格はUS$2,999(当時約39万円、2023年時点の$6,994/90万円と同等).

CPUは"MC68030@20MHz"、メモリは1MB(17MBまで拡張可能)、ブラウン管型カラー・ディスプレイは最大解像度640x480、そして外部端子の一つとして「MIDI端子」が付属していました。「MIDI端子」があることが大きなポイントで、当時所有していたカシオ製電子キーボードと「MIDIケーブル」で接続することができました。

なお、"MIDI"とは”Musical Instrument Digital Interface"の略で、電子楽器の演奏データを機器間でデジタル転送するための世界共通規格。1983年に日本のMIDI規格協議会(現在の社団法人音楽電子事業協会)と国際団体の"MIDI Manufacturers Association"により誕生しました。

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自動演奏を行うためには、2つの電子機器(パソコンと電子楽器)を「MIDIケーブル」で接続した上、パソコンの"MacIntosh Ⅱ si"に"MIDI"用の自動演奏アプリ(シーケンサー・ソフト)をインストールする必要がありました。このアプリを使い楽譜データを入力すると、その曲を"MacIntosh Ⅱ si"で再生するだけではなく、「MIDIケーブル」で接続した「電子キーボード」を遠隔制御することができたのです。

また、「電子キーボード」の音色を「ピアノ」「オルガン」「フルート」「バイオリン」などから選ぶことで、様々な楽器で様々な曲を自動演奏できるのです。もちろん、曲の速度も自由に調整することができます。

当時のアプリは、同時に一つの音しか演奏できない(ユニゾン)であることは当時の限界だったように思います。しかし、様々な楽器を自由自在に演奏する快感があり、多数の曲(音符)データを「パソコン」に入力して、大いに楽しみました。中島みゆきさんが作詞・作曲した「春なのに」がその一曲です。

なお、時には気分転換として同じ「パソコン」にインストールした「フライトシミュレーター」で飛行機の操縦(離陸・巡行・着陸)を楽しむこともありました。

しかし、パソコンが自動演奏する音楽に段々飽きてきた筆者は、いつの日か自身の手でキーボードを演奏してみたいと思うようになり、いつしかショパンの目が回るような「幻想即興曲」を弾けるようになることが最終目標になっていました。

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5年間のアメリカ赴任を終えて1994年に日本へ帰任してからは、それまでに増して忙しく海外出張をこなす日々に戻りました。そして、上記の夢を封印して60歳で定年退職を迎えることになりました。そして、退職後は同居者と一緒に国内旅行と海外旅行をする日々を10数年送りました。

その様子は当ブログ記事(「温泉大好き、ドライブも!」(2005年10月~2013年11月)と「旅行大好き、飛行機も!」(2013年11月~)に詳しく記録してありますので、興味のある方は参照してみてください。なお、海外旅行は気管支喘息の発作により緊急入院(2029年8月)することになる3か月前に出かけた北欧4か国(2019年5月)が最後になってしまいましたが・・。

旅行三昧の9年間が経過した2015年1月下旬に古希(69歳、注釈:最近は満70歳とする方が多い)を迎えました。それを機に何か新しいことを始めようと考えた時、最初に思い浮かんだのが「ピアノ」を弾くことでした。早速、近くのピアノ教室へ入学を申し込むと、1か月後(3月)からシニア用個人レッスン(月3回・各30分)の空きがあるとのこと。

それから苦節10年、休まずにピアノ教室に通いました。簡単なクラッシック曲が中心のレッスンです。気力と脳力の衰えを遅らせることが一番目の目的でした。担当する先生が平均2年ほどの間隔で変わったことでマンネリにならなかったのが良かったようです。ただし、練習量が少ないため、上達のスピードは遅々たるものでした。

なお、先生が選んでくれた教則本を3冊目まで終了したところで、4冊目の教則本(曲集)は筆者自身が選ぶことになり、クラシック曲・洋楽・日本のヒット曲・童謡など幅広い曲が網羅されたもに落ち着きました。クラシック曲と洋楽の練習が数曲進んだところで先生から訊(き)かれました。『教則本に含まれていない曲で何か弾きたいものはありますか?』 と。

3月であったことから、筆者は思わず、『中島みゆきさんの「春なのに」を練習したいです』 と答えてしまいました。

先生が有料楽譜サイトからダウンロードしてくれた楽譜(注釈:筆者のレベルを考慮して一番易しいアレンジ版)を使った練習が始まりました。そして、2か月後には何とか丸印(説明:合格ではなく、自分だけで練習できるレベルに達したとの確認)を貰えました。

思い返すと音楽の自動演奏を始めてから30数年が経ち、やっと筆者自身の両手(指)と右足を使って「春なのに」を弾けるようになったのです。もちろん、「ユニゾン」ではありません。これからは最終目標(注釈:無謀であることは十分承知している)であるショパンの「幻想即興曲」を目指してピアノ練習を続けたいと思います。◇

2025年5月 9日 (金)

Windows OSをアップデートしました!

今年に入って、"Microsoft"から"Windows OS"についてのお知らせが頻繁に届くようになりました。『"Windows 10"へのサポートを今年10月14日に打ち切る』 と言う主旨です。つまり、『”Windows 11"へアップグレードするように!』 とのお勧めです。注釈:"Windows 10"が2014年7月29日にリリースされて10年(注釈:"Microsoft 10"のメインストリームサポート5年と延長サポート5年)が経過するタイミング

"Windows 11"と言えば、昨秋にリリースされた"version 24H2"に不具合が多く含まれていたことで不興を買っています。その後、不具合は徐々に改善/解消されているようですが、急いでアップデートする気になりませんでした。サポート終了まで半年もあると高(たか)を括(くく)っていたのです。

個人ユーザーには筆者のように考える人が多いようで、"Microsoft"からのお知らせに含まれる内容が徐々に切迫して来ました。今年10月のサポート打ち切り(終了)に先立って、個人ユーザーの"Windows 10"については自動的(半強制的)に"Windows 11"にアップデートが行われると言うのです。それが嫌な人は『アップデートしない』との意思表示が必要になると! なお、"Windows 10"は永遠に不滅のはずでしたが・・。

何やら不穏な雰囲気が感じられます。そこまで言うのであればと、筆者は自発的にアップデートすることにしました。なお、筆者が使用するノートパソコン(”Windows 10 OS”を搭載)は"Windows 11 OS"に対応できることを昨秋の時点で確認しています。注釈:"Windows 10"から"Windows 11"にアップデートした人は2025年5月現在で50%前後とのこと

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ホーム画面に表示された『Windowsをアップデートする』をクリックすると、直ちに"Window 11 OS"(注釈:1年前のversion 23H2)のダウンロードが始まりました。インターネット回線が混んでいるのか20-30分ほど経過したところでやっと『ダウンロード100%』と表示され、「インストール」モードに変わりました。ダウンロードと同様に進捗状況が数字(%)表示されるのですが、遅々として進みません。

思い出した頃に進捗状況を示す数字がアップしますが・・。『不具合が起きたのか?』と思う状況が続いたところで、「インストール」が突然停止しました。『インストールのに必要なメモリー容量が9GBほど不足している』と表示されました。「Cドライブ」のメモリー容量を大量に消費しているファイルなどを消去してメモリーの空き容量を増やす必要があると言うのです。

筆者は20年ほど前に自作パソコンのHDDがクラッシュしたため、長年撮り溜めた写真ファイル(写真フィルムのスキャンを含む画像データ)を一瞬にして失った苦い経験があるため、「Cドライブ」内のデータを外部のHDD(2台)に随時バックアップ(説明:設定したタイミングで定期的にミラーリング)しています。ですから、即断で「Cドライブ」にある写真ファイルを10Gほど削除。もちろん、"Windows 11"へアップデートした後はCドライブへ戻すつもりです。

この対応により「インストール」は再開されましたが、そのペースはそれまでと変わらない遅いものです。それでも3時間余りで「インストール」が完了して、「パソコン」を「シャットダウン」できるとこまで進行しました。「シャットダウン」も大量な処理が行われているようで進捗状況を示す数値がなかなかアップしません。『何度もシャットダウンすることがあります』との表示も出ています!!

30分ほど経過したところで、ノートパソコンの画面が通常の「オープニング・モード」になりました。ただし、一部のアイコン(OS絡み)はこれまでのデザインから変わっています。早速、メール、画像処理、セキュリティ・アプリ、印刷などの動作確認を行いましたが、問題ないようです。また、使い勝手にも変化はありません。

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これで"Windows 10"へのサポートが今秋に終了する問題への対応、つまり"Windows 11"へのアップデート対応は無事に終了しました。

あとは"Windows 11"の"version 23H2"を最新の"versin 24H2"へアップデートするだけとなりました。筆者としてはこのままの状態(version 23H2)でも十分なのですが・・。◇


[追記 2025年6月24日] "Windows 11, version 24H2"にバージョン・アップしました

5月上旬に"Windows 10"から"Windows 11, version 23H2"へとバージョン・アップして40日余りが経過して"Windows 11"の使い勝手にも慣れたところで、最新版の”Windows 11, version 24H2”をダウンロードしようとしました。ところが、PC本体のストレージにかなり大きな空き領域を必要とするようで、「不足している!」とのアラームが出てしまいました。”Windows 10”が残っているためです。

とりあえずの対策として外付けのUSB-HDDを一時的に利用することに。ダウンロードにはかなりの時間を要しましたが、無事にインストールを完了することができました。ヤレヤレ!!◇

2025年3月 2日 (日)

古いノートパソコンを”PCリサイクル"に出しました!

2010年に購入したノートパソコンが無用の長物になったため、"PCリサイクル"に出すことにしました。古いアプリを温存していたため、OSのアップデートは"Windows7"止まりでした。従い、セキュリティを考えて、ネットワークに接続しないスタンドアロンでの利用に限定していました。しかし、昨年末に新しいWindowsに対応するアプリを購入したことで、使用することは無くなってしまいました。

余談です。"Windos7"を"Windows10"にアップグレードすればまだ使えそうですが、残念なことに"Windows10"は今年10月にサポートが終了することが発表されています。つまり、アップグレードしたとしても半年ほどの余命になってしまうのです。ですから、諦(あきら)めるしかなさそうです。

"PCリサイクル"は久しぶりの利用でしたから、その手順をネットで調べて、その通り対応しました。

①「ノートパソコン」のメーカーのホームページにアクセスし、必要事項を入力して"PCリサイクル"を申し込みました。

②4日後にメーカーの担当部門から「ユーパックの伝票」(料金着払い)と注意条項の説明書きが郵送されて来ました。

③伝票に記載されている「日本郵便の集荷受付センター」に電話して回収を依頼すると、住所氏名・電話番号などの確認があり。なお、当日午後の集荷が可能とのことです。2時間の時間帯です。

④「ノートパソコン」とその付属品(充電器・マウス・コード)をゴミ袋に入れてガムテープで固定し、見やすい場所に「ユーパック伝票」を伝票に付いている両面テープで貼り付けました。

⑤予約した時間帯に郵便局の担当者が来訪。梱包した「ノートパソコン」を手渡しすると、伝票の控えを貰いました。これですべて手続きが完了です。なお、手数料やユーパックの料金は無料です。

最後に参考情報です。「ノートパソコン」を"PCリサイクル"に出すに当たっての事前準備で重要なことは「ノートパソコン」内にあるデータ類の処理です。ハードディスであれば、物理的に破壊するのも一方法ですが、素人には難しい作業です。ですから、データ類を丹念に消去するしかありません。筆者はその上で『工場出荷時の状態に戻す』 操作を行いました。万全とは言えませんが、素人にはそれ以上は困難でしょう。

HDDにあるデータを完全に消すには、専用のソフトを利用した消去作業を何回も繰り返して行う必要があります。筆者はメーカーの"PCリサイクル部門"へ送付することでリスクが軽減できると考え、街のリサイクル業者へ渡すことは避けた方が良いと信じています。物理的に破壊する方法は、筆者も一度試したことがありましたが、専用工具がないと困難かつ危険です。◇

2024年8月25日 (日)

Windows 10へのサポートが1年後に終了! 早急に対応する必要があります!!

2015年にリリースされたマイクロソフト社のOS、"Windows 10"が10年を迎える2025年10月14日をもってサポートが終了されます。無料のセキュリティアップデートと品質改善プログラムの提供がこの日をもって中止されるのです。

これまで何の問題もなく利用してきた"Windows 10"が来秋には使用できなくなるのです。10年に一度の大きな課題と言えます。これまで"Windows 98"、"Windows XP"、"Windows 7"、Windows 8"、そして"Windows 10"へと様々な"Windws OS"を遍歴してきた筆者にも新たな対応を迫られる日が近づいたのです。注釈:"Windows 98"以前は"macOS"を使用

対応策としては"Windows 11"へアップデートする、あるいは他のOS(LinuxあるいはmacOSなど)に変更することが考えられます。

前者はマイクロソフト社から対応手順が示されていますが、後者はより広範な変更作業が必要になると考えられます。したがい、多くのユーザーは"Windows 11"へのアップデートを選ぶことが現実的でしょう。

ここで"Windows 11"へのアップグレードには現有パソコンが"Windows 11"(Version 23H2)のシステム要件を満たしていることを確認する必要があります。なお、その要件はマイクロソフト社の関連ページで説明されています。

Windows 11 の仕様とシステム要件 | Microsoft

また、現有パソコンが"Windows 10"のバージョン2004以降を実行している必要があり、これを確認するには「PC正常性チェックアプリ」を使用することで可能です。

もし満たしていない場合は最新のパソコンへの買替が必要となります。

マイクロソフト社はインターネットに接続しているPCの状況を適宜確認して、"Windows 11"へのアップデートが可能かどうかを判別して、問題がない場合はPC上にその旨を表示してくれます。

したがい、多くの"Windows 10"ユーザーは上記した「システム要件の確認」を行うことなく、スクリーン右下に表示されたアップデート・マーク『”Windows 11(Version 23H2)の準備が完了しました』 をクリックして指示に従うだけで”Windows 11”へのアップデートが行われます。

筆者の場合は『準備が完了しました』 の状態ですから、PCにインストールしたアプリおよびプリンターなどの端末の条件を確認した上で、『"Windows 11"へのアップグレード』 を実行する予定です。「善(ぜん)は急(いそ)げ」あるいは「慌(あわ)てる〇〇は貰(もら)いが少ない」のいずれが良いのでしょうか。どうも、筆者は後者派のようですが・・。◇


〈追記 2024.10.14〉 Windows 11 バージョン24H2のトラブル 

2024101日にリリース(update)されたWindows 11 バージョン24H2は、バージョン23H2からおよそ1年ぶりの大規模アップデートでしたが、様々な不具合があることが確認されたため、アップデート(更新)を中止するよう推奨(107日)されています。なお、報告された主な不具合は以下の通りです。

・特定のデバイスで指紋センサーに問題が発生する
・一部の壁紙カスタマイズアプリケーションが正しく起動もしくは機能しない可能性がある
・Intel@Smart Sound Technology(Intel@SST)用ドライバーの互換性に関する問題
・更新プログラムをインストールできない問題
・パソコンのパフォーマンスが低下する可能性、など

つまり、Windows 10からWindows 11への移行、およびWindows 11 23H2からWindows 11 24H2へのアップデートをする人はもう少し様子を見守る必要がありそうです。◇

2022年11月17日 (木)

無線技術を利用する

わが家の最近のトピックを交えて無線技術と筆者のこれまでの関わりを紹介します。なお、過去に個別に紹介した内容を含み、かつ長文ですから、無線技術にあまり興味がない方は飛ばし読みしてください。

1.アマチュア無線 

筆者にとって無線技術と言えばまずアマチュア無線が挙げられます。ラジオ少年が成長した学生時代に初級と上級の免許を取得してから約60年に亘る最長の趣味です。最初は自宅に設置した無線機器とアンテナを使って国内外のアマチュア無線局との更新を楽しみました。テレビ、レコード、音楽録音、ビデオ録画などアナログ技術が全盛期であった時代です。

社会人になって25歳の時に2代目カローラの新車を購入してからは車載無線機とポータブル無線機を使ってドライブしながら、あるいは休憩地で無線通信を楽しみました。通常の交信(チャット)だけではなく、訪れた先では道案内や観光案内を地元の局にしてもらうことが良くありました。カーナビはもちろんのこと、携帯電話がない時代でしたからアマチュア無線ならではの利便性がありました。 

アメリカに赴任した時には往年の名機である八重洲無線のFT101(説明:1970年発売の短波帯の100W機)を引越し荷物に加えました。アメリカでアマチュア無線局を運用するには、現地の試験を受けても良いのですが、日本における免許証と米国連邦通信委員会(FCCFederal Communication Commission)の運用許可証(説明:日本とアメリカの相互認証/相互運用協定による)を取得する方法がありました。アメリカにおけるアマチュア無線の運用条件内で、かつ日本で許可されている運用範囲に限られます。

なお、使用するコールサイン(呼び出し符号)は日本のコールサインの前に運用するアメリカのエリア符号(州・地域別プリフィックス)を付加したもの(例:テキサス州はW5/JA2〇〇〇)になります。自宅の庭に設置したアンテナは現地で購入した機材(説明:アンテナ・キット、同軸ケーブル、支柱用パイプなど)を自分で組立て、主にアメリカ国内の局との交信を帰宅後や休日の時間帯に楽しみました。 

28年前にアメリカから帰国した後も運用を続けましたが、カーナビそしてスマホ(iPhone 3Gが身近な存在となった10数年前からはアマチュア無線のアクティビティ(運用頻度)が徐々に下がって、現在は運用休止中です。ただし、5年毎の局免許更新は続けています。なお、次の写真は1990年に発売された後継機種で、筆者が1995年に購入して最近まで使用していた今も現役の無線機です。

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余談ですが、同居者もアマチュア無線の初級免許を保持しており、50年近いベテラン(オールドタイマー)のアマチュア無線家(ハム)なのです。 

2.コードレス電話

一般の家庭内に無線技術が持ち込まれたのは受信専用のラジオとテレビ、それに続くのは送受信機能があるコードレス電話(説明:固定電話機のワイヤレス子機)でしょう。これが登場するまで2台目の電話機は有線で接続されていました。掛かってきた電話にどちらの電話機でも応答できましたが、もう1台でも通話の内容を聞くことができました。家族で通話を共聴できて便利であるとともに、聞かれたくない会話を家族にひっそり聞かれる可能性があって不都合でした。

コードレス電話機には様々なバリエーションがありますが、代表的なものは送受話器(ハンドセット)が電話機本体と無線で結ばれるものと、子機と呼ばれる電話機が親機である電話機本体(説明:電話回線に有線で接続されている)とワイヤレスで結ばれているタイプがあります。

前者は送受話器を室内で持ち歩けることが便利であり、自室へ移動して通話をすることもできてプライバシーが守られます。後者は別室に置いた子機へ着信を転送したり、子機で着信することもできますから、部屋数が多いあるいは2階建ての家に住む家族に向いている電話機でしょう。なお、子機の台数には制限がありますので購入する前に確認する必要があります。

技術的な説明です。コードレス電話には様々な周波数の電波が使用されてきましたが、最新の技術は1.9GHz帯の電波を使う「DECT方式」(正しくはDECT準拠方式、従来方式は2.4GHz帯の電波を使用)です。

電子レンジが発する電波や他のワイヤレス通信からの影響を受けることが少ないという優れた点があり、わが家でもこの方式のコードレス電話を使っています。説明:DECT方式は2011年3月に策定された新しいデジタルコードレス電話機の標準規格でTDMA-WB(時分割多元接続方式)により音声とデータの通信ができる

3.Wi-Fi

パソコンでインターネット通信を始めたのはアメリカから帰国した翌年の1995年です。アップル製パソコンのMacintosh IIにパソコン雑誌に付録として添付されていたインターネット通信用フリーソフトを数種類をかき集めてインターネット・アクセス用ソフト作り上げました。なお、インターネットへの接続には音声回線用の通信モデム(1200bps)を介して行いましたが、通信速度の遅さと電話料金の高さに閉口してISDNなどの常時接続へと移行しました。詳しくは別の記事を参照してください。 

ここまでは無線技術との直接的な関係はありませんが、パソコンと他の電子機器を接続する手段としてWi-Fi(ワイファイ)が登場しました。筆者宅では光インターネット回線とパソコンおよびスマホ(iPhone)を接続するために利用しています。Wi-Fiルーターと呼ばれる小型装置をインターネット回線に接続すれは良いのです。複数台のパソコンおよびスマホを接続することができます。ただし、セキュリティを確保するためIDの設定が必要です。 

さほど広くないわが家では1台のWi-Fiルーターですべての部屋をカバーできますが、故障への対策として2台構成にしました。最初のスマホ(iPhone 3G)以来、大した問題もなく利用しています。なお、Wi-Fiの利用範囲は屋内に限定されません。屋外でもインターネット接続環境(有線・無線)が有れば利用できます。例、モバイルWi-Fiルーター

4.Bluetooth

上記のWi-Fiと並んで身近な存在である無線技術がBluetoothです。両者には異なる特徴(説明:通信距離と通信速度など)があり、使い分けるといずれも優れた存在です。すなわち、BluetoothWi-Fiに比べて少ないエネルギー消費量で通信できますから移動機器間の接続手段として適しています。最近はスマホやカメラなどにその機能が搭載されていることが多くなりました。 

筆者が主に利用しているのがワイヤレスヘッドホンワイヤレスイヤホンワイヤレススピーカー自動車のカーステレオをスマホ(iPhone)と接続して利用します。加えて、テレビとワイヤレスヘッドフォンやワイヤレスイヤホンとを接続する手段としても利用しています。筆者の加齢によってパナソニック製サウンドボード(説明:アンプとスピーカー内蔵したテレビ台)の音が聞き取り難くなり、Bluetoothによるワイヤレス接続はその改善策なのです。加えて、夜遅くになってテレビを視聴する時には家族への配慮から必需品なのです。

至極便利ですが、唯一困ることは機器間の接続が混乱することです。スマホなどには複数の相手(機器)とワイアレス接続する機能がありますからややこしいのです。一方、ワイアレスヘッドホンなどの軽量機器は接続する相手を選ぶことができません。スマホやテレビなどの画面で接続している相手を確認してから混乱を解消(回線の切断)しています。

上手い方法をご存知の方がいらっしゃいましたらご教授ください。◇

2021年6月30日 (水)

パソコン用OSの次期バージョン“Windows 11”が発表されました!

6月24日(日本時間の625日)にマイクロソフト社が”Windows 11”を年内にリリースすると発表しました。拙速ですが、その概要を紹介します。

2015年7月にマイクロソフト社が”Windows 10”をリリースしてから6年が経過しようとしています。リリースした際、クロソフト社は『”Windows 10”が最終バージョンであり、そのアップグレード(無償)で機能と安全性の強化を図る』 と説明しましたが、今になって方針を変更したようです。

憶測ですが、これまでの手法(つまり改善策の積み上げ)が限界に近づいたことが”Windows 11”へ移行することにした理由かもしれません。なお、現状ではマイクロソフト社から”Windows 11”の新しい機能の概要だけが発表されているだけですが、公表された情報のポイントをまとめると以下の通りです。

 

1.リリース時期: 2021年後半

https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/windows-11

注釈:"Windows 10"の利用者は"Windows 11"へ無償でアップグレードできる見込みである

 

2.機能のアップグレード

https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/windows-11

①フレッシュな視点(スタート メニューの刷新、連絡先やニュース、ゲーム、コンテンツとつながる新しい方法)

②生産性を上げる(新しくなったデスクトップやスナップ・レイアウトのようなツール、より直感的になった再ドッキング機能)

③つながる、新しい形(Microsoft Teams) 注釈:スマホやタブレットのTeamsとの連携可能

④コンテンツはユーザーがキュレート(Microsoft Store) 注釈:キュレートは情報の収集と編集のこと

⑤いつでも、プレイタイム(Xbox Game Pass) 注釈:AndroidアプリをWindows上でも動かせる

⑥あなたにぴったりのPC(タッチ ディスプレイ、ペン、ボイス)

 

3.Windows 10 と Windows 11 の違い

上記2項の説明はWindows 11の魅力は伝えていますが、Windows 10の利用者がもっと知りたいことは両者の違いでしょう。関連サイトのFAQから転載します。

Windows 11 Windows 10 と同じパワーとセキュリティを備えている

・デザインを刷新

・新しいツールやサウンド、アプリが加わった

注釈:Windows 11でサポートされないもの(削除されるもの)はInternet ExplorerIE)とSkype

 

4.PCに必要な要件(互換性)

・プロセッサ: 1 ギガヘルツ (GHz) 以上で 2 コア以上の64 ビット互換プロセッサまたは System on a Chip (SoC)

・メモリ: 4 GB RAM

・ストレージ: 64 GB 以上の記憶装置

・グラフィックス カード: DirectX 12 互換のグラフィックス / WDDM 2.x

・ディスプレイ: 9インチ以上、HD解像度 (720p)

・インターネット接続: Windows 11 Home Edition のセットアップには Microsoft のアカウントとインターネット接続が必要

なお、詳細は下記のURLを参照して下さい。

https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/windows-11-specifications

特に、古いOSから"Windows 10"へアップグレードした方や、"Windows 10"がリリースされた当初に"Windows 10"を搭載した新しいPCを購入した方は、プロセッサー、ストレージ、セキュリティモジュール、グラフィックスカードなどのいずれか、あるいは複数項目が適合しない可能性があるようです。なお、マイクロソフト社は4年以内に製造された多くのPCがアップグレード可能としています。

自分で判断できない方は互換性を確認するアプリ『PC正常性チェック(PC Health Check) 』をマイクロソフト社の関連サイトからダウンロードして利用すると、現在使っているPCが互換性の条件を満たしているかどうかを瞬時に判別してくれます。(注釈:満たしていない条件があってもその内容は教えてくれないため、互換性がないと判別された場合は専門家あるいは販売店に相談する必要があるでしょう)

なお、筆者が一昨年末(12月中旬)に購入したLenovoPCIdeaPad L340は『”Windows 11”との互換性がある』 との診断結果が出ました。

 

結言: マイクロソフト社は”Windows 10”のサポートを20251014日まで継続すると発表していますから、現状の"Windows 10"に問題がないPCについては急いでアップグレードする必要性は低いと考えます。これまでのメジャーなバージョンアップと同様、主要アプリケーションの対応状況やプリンターなど周辺機器の互換性を確認しながら”Windows 11”への移行スケジュールを考えるのが良いでしょう。なお、筆者は"Windows 11"の使い勝手がアップル社の"macOS"の水準に近づくことを期待しています。◇

2021年5月 4日 (火)

ノートブック・パソコンの外付けHDDを外付けSSDに置き換える

パソコンに接続してデータのバックアップ用として使用する2台の外付けHDD(Hard Disk Drive)のうち、古い方の動作が緩慢になりました。加えてそれらの劣化状態をモニターするアプリ「みまもり合図」(Buffalo製)の評価が「Cランク」(評価:商品の劣化が始まっている恐れがある)から「Dランク」(下から2番目の評価:商品の劣化が進んでいます)へ下がりました。ちなみに、他の1台(昨年6月購入)は「Aランク」(評価:劣化は見つかっていません)。 

劣化が進んでいる外付けHDDは耐用年数の3年を過ぎていますから、迷わずに買い替えることにしました。最近、価格が下がってきた外付けSSD(Solid State Drive)を選ぶことにして、Amazonで調べると、BuffaloUSB3.1Gen1ポータブルSSD 1TB(タイプ:SSD-PG1.0U3-B/NL)が一番人気です。価格も9,867円と数年前の同じ容量の外付けHDD並みまで下がっていますから、ここでも迷わず一番人気の商品を注文。 

1年余り前に購入したパソコン(Lenovo製IdeaPad L340)は内蔵補助メモリーに容量256GBのSSDが採用されていますが、その立ち上げ時間が大幅に短縮したことに満足しています。SSDの優位点は「振動や衝撃で壊れにくい」「読み書き動作が速く(特に書き込み速度)」「消費電力が低い」「静音性に優れている」「発熱が少ない」「軽量である」と魅力満載ですが、欠点としては「価格が高い(特に大容量の場合)」「故障時にデータを復元しにくい」「利用しない状態での長期保存に弱い」「書き込み回数に制限がある」などを挙げることができます。 

Amazonで購入した製品が2日後に自宅へ配送されました。例によって大きなダンボール箱(31x17x11㎝)の中から緩衝材と小さなボール紙製の箱(15x13x5cm、次の写真)が出てきました。

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その中には風船のような緩衝材に包まれた本体、USBコード、簡単な説明書の3点が入っていました。

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本体(表面)にはUSBケーブルを確実に接続するようにとの注意書きラベルが貼られています。手に持ってみて驚いたのはその軽さです。まるでからのプラスチック・ケースかと思うほどです。カタログに記載された仕様表では約100g(ケーブルを含まず)と説明されています。ちなみに、これまで使用していた同容量の外付けHDDは約165g(ケーブルを含まず)。

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本体(裏面)にはユーザー登録用QRコードのラベルが貼られています。

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説明書とは別に1枚の注意書きを見つけました。それは筆者のパソコン(Lenovo製Idea Pad L340)が該当するものでした。『"AMD Ryzen CPU"搭載のパソコンで使用できない場合があるため、Buffalo"製ソフトウェア「USB転送モード切替ツール」をダウンロードしてインストールする必要がある』 というのです。なお、筆者のパソコンはCPUとして"AMD Ryzen 3 3200U"を搭載しています。

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指定されたアプリをインストールした後は、ノートブック・パソコンに外付けSSDを接続して、Windowsのスタートボタンを右クリックして「ディスクの管理」を選ぶと、しばらくしてパソコン内のディスクおよび外付けディスクの一覧表が表示されました。外付けSSDが認識されていましたので、「クイックフォーマット」を選びました。新品ですから時間がかかる「フルフォーマット」にする必要はありません。

フォーマットが完了した後は良好な外付けHDDからバックアップデータ(約500GB)のコピー転送です。10か月前に新しい外付けHDDに対して同様のことをした時には10時間ほどが必要でしたが、外付けSSDの場合は進捗状況を刻々と確認できるほどの速さです。しかも、外付けSSDはまったく無音。データを読み出している外付けHDDもデフラグされていますからヘッドが動く音もほとんどしません。 

5時間後にデータなコピー転送がすべて完了しました。つまり、外付けHDDよりも半分ほどでコピー転送ができました。ただ一つ残念なことがありました。Buffalo製アプリ「みまもり合図」がこの外付けSSDの状態をチェックしてくれないのです。一部の同社製外付けSSDに対応してくれているのですが、この製品には対応していないようなのです。なお、取り外した外付けHDDは、不具合が発生する可能性が高いことを承知で、サブ・パソコンに接続して使うことにしました。

2021年3月30日 (火)

日本はITとAIの後進国!

3月29日の午後10時から放送されたテレビ東京の経済情報番組"WBS"(World Business Satellite)にソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏が生出演しました。主な論点は『同グループの業績(主に海外新興企業への投資ビジネス)が新型コロナウィルス禍にも関わらずV字回復した理由と見通し』および『AI(人工知能)分野で先行する海外新興企業のビジネスを日本国内へ移転することは可能か?』 の2つです。

先ず、前者について孫氏は、「直近(20204-12月)の最終利益が35,510億円(説明:ファンドの投資損益は直近の4半期で13,557億円の黒字)を超えた理由」、最大の課題であった米シェアオフィス大手の「ウィーワーク社」(説明:創業者の経営スタイルに投資家の懸念が高まったため一昨年来上場を見合わせていた)が、ソフトバンクグループ主導で再建を図ったことが奏功して、326日に特別買収目的会社(SPAC)を通じて米株式市場に上場したことを明かし、ファンド投資についての見通しは投資先131社の企業名を上げて自信を示した。

筆者が注目したのは2つ目の論点です。ソフトバンクグループが投資する韓国のAmazonと呼ばれる“coupang"(クーパン社、時価総額約9兆円)を番組による取材で紹介した上で、そのビジネスを日本市場に展開できないのかを質問。孫氏はソフトバンクグループの関連企業がJV(合弁)または提携などにより海外企業のビジネスを日本へ移転する可能性(現状では約10社)を検討したいと慎重な回答に留めた。

AI(人工知能)分野で出遅れた日本には何が必要かという視聴者からの質問に対して、孫氏は先ず、『現在未上場のAI企業670社(企業価値300億円以上)の半分近くがアメリカ企業であり、さらにその半分を中国、次いでイギリスやインドなどの企業だ。日本企業はわずか3社と圧倒的に遅れている。』 と自身の認識を披露しました 。『日本は何をすべき?』 と畳みかける質問には孫氏らしく、『その状況を認識した上で、政府・企業・学界が「やる」と決めることだ』 と答えました。

これまでと同様、孫氏のこの考えに反発する政府関係者や企業経営者は少なくないと思われます。つまり、40年前に孫氏がソフトバンク(現ソフトバンクグループ)を創業してから何度となく繰り返されて来た対立の構図です。

筆者の懸念が大きくなりました。IT分野ではアメリカのGAFA(説明:Google/Amazon/Facebook/Appleの総称)に日本市場を席捲(せっけん)されたように、AI(人工知能)の分野でも海外企業に国内市場を蹂躙(じゅうりん)されてしまうのでしょうか?

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関連の話題です。菅政権の目玉政策の一つである情報通信技術(IT)を推進する(注釈:実は遅れを取り戻す)ために昨年9月16日に「デジタル改革担当大臣」が任命され、今秋(202191日の予定)「デジタル庁」(仮称、定員500人、一部は民間出身者となる予定)を設置するための準備作業が進められています。菅政権が発足してから約1年後に組織の設置を目標とする緩慢(かんまん)な動きです。これでは新型コロナウィルス禍への対策と同様、政府には危機感が足りないのではないかと筆者は考えてしまいます。

事実、新型コロナウィルスの感染者と濃厚接触した可能性を知らせるスマートフォン向け接触確認アプリ"COCOA“(ココア)は昨年6月に政府(安倍政権)の鳴り物入りで初版の提供が始まりました。新型コロナウィルスの感染が全世界に広まったため、、昨年5月にアップルとGoogleが新型コロナウィルス感染症の暴露通知(Exposure Notification)のAPIApplication Interface)を各国公衆衛生当局に提供開始し、これを受けた「新型コロナウィルス感染症対策テックチーム」がこのAPIを利用した「接触確認アプリおよび関連システムの仕様書」を同月に公開しました。

これに基づいて厚生労働省は約4億円の随意契約で国内IT企業(説明:他領域で同省に実績があった)に委託発注しました。しかし、アプリ開発と保守に強くない同社は専門性を持つ国内3社へ再委託(注釈:内1社は別の2社へ再々委託)することで"COCOA"の開発が行われることになりました。そして、この複雑な開発体制により責任の所在が曖昧になったようです。316日にデジタル改革担当相が説明したところでは、『発生した様々な技術問題への対応に追われたため、昨秋までに更新されたアップルとGoogleOSへの対応が行われなかった。』 とのこと。

この状況を反映して、"COCOA"GoogleOS"Android"を使ったスマートフォンにおいて昨年9月以降、約4か月間にわたって正確な通知が受け取れない不具合が発生しました。そして、OSの最新仕様に未対応であることが今年に入って明らかになりました。批判を浴びた政府が委託先に必要な対応を取ったことで、現在は稼働しているようです。また、厚生労働省はOSの最新仕様へのバージョンアップが契約書に明文化されていなかったことと、OSへの対応よりも通知が適切に送られない不具合への対応の方を優先したことも認めました。

委託されたIT企業は正常に機能するアプリを提供する義務があることは当然ですが、その背景にはアプリの開発と運用についての知識と経験が足りない政府の旧態依然(きゅうたいいぜん)とした「丸投げ式の発注方法」(説明:曖昧な仕様と改修対策)があるようです。つまり、発注者である厚生労働省はアプリ開発にリスクが伴うことを理解していなかったと思われます。

政府の「丸投げ発注」と言えば、アプリソフトの開発ではありませんが、昨年問題になった「GoToトラベル事業」における業務発注です。元受け企業が子・孫請け企業へ発注する点では全く同じ構図でした。記事スペースの制約からここでは触れませんが、IT分野の片隅に長年身を置いていた筆者が指摘したいことは、『政府や各官庁も、民間企業と同様、ビジネスと技術に詳しい人材を養成・確保する必要がある状況にある』 ということです。非常勤職員として民間のIT人材約30人を募集している「デジタル庁」(前述)がその第一歩となるのでしょうか?

ちなみに、先週金曜日(2021326日)現在、"COCOA"のダウンロード数は約2,600万件と日本の総人口約12,540万人の2割弱に留まっています。なお、何ごとにも慎重な筆者はまだダウンロードしていない大多数の一人です。 

2021年2月23日 (火)

“IPv6”でインターネットに接続する

箸休めの記事に固い話題を選んで恐縮です。気分転換にと斜め読みをしてください。

筆者が加入しているインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)の"@nifty""IPv6"を利用することができるようになりました。新し物が好きな筆者は利用するための手続きを行いました。今のところ、"IPv6"で提供されるサービスは限られていますから、この変更をしなくても困ることはありませんが・・。

変更した場合はこれまで使っていた"IPv4"PPPoE方式)も"IPv4over IPv6"OCNバーチャルコネクトのIPoE方式によるIPv4接続)の形で仮想的に利用することができますから、上記の手続きを行ったこと以外、インターネットを利用する上で特に留意することは何もありません。

急いで変更しなくても良いと言いましたが、光回線を利用してインターネットに接続しているにもかかわらず通信速度が遅いとお感じの方は、“IPv4”から”IPv4overIPv6”へ切り替えると改善されるかもしれません。加えて、セキュリティ対策(IPsec)が標準装備されており、マルチキャスト方式による情報配信サービスなどが容易になる効用もあります。

なお、事前のチェックポイントとして、『加入しているプロバイダーは”IPv6”に対応しているか?』、『利用料金が高くならないか?』、『使用しているインターネット機器(ルーター)が“IPv6”に対応しているか?』、などを確認してください。

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参考までに関連する技術について簡単に説明しましょう。

まず"IPv4"と"IPv6"です”IP””Internet Protocol”(インターネット通信規約)、つまりインターネットに接続されたコンピュータ同士がデータをやりとりするためのデータ通信の方法を定めた規約です。“v4”は ”version 4”4版)を、”v6”は”version 6”6版)を意味します。なお、"v1" "v2" "v3" "v5"もありそうに思われますが、現存するのは"v4"と"v6"の2つだけです。

両者の大きな違いはコンピューターの住所にあたる固有なIPアドレスにあります。まず、"IPv4"はIPアドレスを32ビットのデータで表しています。その理由は、インターネット・サービスが始まった1995年ころに32ビットのデータは232乗、すなわち約43億のIPアドレスがあれば(つまり約43億台のコンピュータを扱えれば)十分であると考えられたからなのです。

しかし、世界的にインターネットが普及したことに加えて、コンピュータ(含むパソコン)だけではなく、爆発的に増加しているスマホもIPアドレスを必要としますから、IPアドレスが不足する(枯渇する)問題が21世紀に入って喫緊(きっきん)の課題になりました。さらに、家電製品や自動車などもインターネットに接続され始めていますから、IPアドレスの不足が生じかねない状況は深刻な問題になりました。いわゆる、”Internet on Things”(略号:IOT)の時代が到来しているのです。

そこで1998年に国際規格として詳細仕様を定められたのが次世代のプロトコルである”IPv6”です。”IPv6”ではIPアドレスを128ビットのデータとして表現しますから、IPアドレスの総数は2の128乗(約43億x約43億x約43億x約43億)、つまり約340澗(かん)個と膨大になります。現状では「ほぼ無限」と言える数です。2010年代に入るとサービス・プロバイダーは”IPv4”から”IPv6”への移行を徐々に進め始めましたが、インターネット上のサービスはほとんどが"IPv4"向けで、”IPv4”と互換性がない"IPv6"向けに作られたサービスはまだ少数のようです。

規模が大きすぎて分かりにくいかもしれませんので、身近な携帯電話の例になぞらえて説明します。スマホの普及によって携帯電話番号が不足したため、使用されなくなった携帯電話番号を再割り当てするだけではなく、1999年以降”090”が携帯電話番号専用になった後、2002年に”080“2013年に”070”PHS用)で始まる携帯電話番号が新たに加えられたことと少し似ています。

閑話休題。接続する時のプロトコルの違いも説明します。”PPPoE”PPP (Point-to-Point Protocol)という通信方式の機能をネットワーク上で利用できるようにしたものです。”Point -to-Point”と呼ばれるように、従来は電話回線を通じて(モデムを利用して)接続していた技術を通信業者のネットワークで使えるようにしたものです。ちなみに、「トンネル接続方式」とも呼ばれます。

もう一つの”IPoE”NTT東西のNGN網(次世代ネットワーク)など事業者側のネットワークと直接接続してIP通信を行う通信方式です。接続用のユーザー名(ID)とパスワードを必要としないため、IPoEは「ネイティブ接続方式」とも呼ばれます。ちなみに、通信が混雑しやすい”PPPoE”に比べてIPoEは混雑が発生しにくいため、通信速度が速くかつ安定になる可能性があります。なお、インターネットの利用者はPPPoEとIPoEの違いを意識する必要はありません。 

最後です。“IPv4 over IPv6”は、“IPv6”の環境で通信を行いながら、これまでの”IPv4”IPアドレスで通信できる優れた技術です。こうした技術は「カプセル化」と呼ばれます。あえて、似た例を挙げると、2014年にサービスが開始された携帯電話サービスの”VoLTE”(ボルテ)でしょう。2010年にサービスが開始された最新規格の”LTE”(データ専用)網上で音声通話サービスを提供する技術です。なお、”LTE”の導入初期においては音声通話をする時、通信事業者が一世代前の携帯電話規格である”3G”へ自動的に切り替えていました。◇

2020年4月19日 (日)

NHKスぺシャル"DIGITAL vs REAL"(第1回&第2回)を観る

4月5日午後9時からNHKテレビで放送さるたNHKのドキュメンタリー番組「NHKスペシャル デジタルVSリアル 第1回 フェイクに奪われる"私"」を観ました。

デジタル時代は"REAL"(現実・本物)と"FAKE"(偽物・虚報)が混在して急速に拡散されていることを、世界で起きているジョッギングな事件を紹介しながら解説する番組です。

新型コロナウイルスの感染拡大による買い占め、偽造ポルノ、嘘の書き込みがエスカレートしたメキシコの殺人事件、台湾の選挙戦における誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)などを取り上げてその背景を分析しました。

フェイク情報(SNSによる書き込みと動画投稿)を拡散する原動力は怒りと嫌悪感の2つです。情報が溢(あふ)れると善悪あるいは真偽の判断ができなくなる人間の特徴が悪い方へと暴走し、「聞きたい情報」だけを聞くようになるのです。つまり、大衆が生み出す「狂気」が拡大しているのです。

さらに、コンピュータプログラムの"ボット(BOT)"(注釈:ロボット/ROBOTから作られた言葉でインターネット上で何らかのタスク/仕事を自動的に繰り返すプログラムを指す)や他人のアカウントを悪用して、フェイク情報を意図的に拡散操作する人たちの存在があります。

裏世界でこの情報操作をビジネスとする人達が存在するというのです。ちなみに、当ブログ記事ではフェイク映像(ディープフェイク)による犯罪はテレビドラマ「相棒Season18」の最終回スペシャル )「ディープフェイク・エクスペリメント」でも取り上げられたことを紹介しています。

この対策として「ディープフェイク」を検出する技術が開発されていますが、それを上回る高度な作成技術も同時に開発されていて「イタチごっこ」状態になっており、「ディープフェイク」の拡散速度が検出速度を上回っいることも大きな問題であることを番組は指摘します。

新型コロナウイルスの出所について様々な情報をAIで分析する取り組みや、逆にAIが製造するフェイク情報の氾濫(はんらん)を紹介するとともに、様々な意見や考え方を尊重して冷静に判断する活動も番組は紹介しました。

『拡散するFAKEREALを凌駕(りょうが)するのだろうか?」との問いを視聴者に投げかけて「デジタルVSリアル(1)」は終わりました。

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「同 第2さよならプライバシー

次いで4月12日に放送された「デジタルVSリアル」の第2回を紹介します。

NHKの関連hpから番組の案内文を引用します。『日々、生み出される膨大なデータがリアルな世界を揺るがす現実を見つめるシリーズ「デジタルVSリアル」の第2回はあなたの行動パターンや心の中までを映し出す「デジタル・ツイン」の物語。今や生活に欠かせないSNS、買い物や地図アプリ、ネット検索…。あなたが入力しているデータから、デジタル世界に“もう一人のあなた”を生み出せるってホント!?』

『番組では、IT企業の協力を得て、実在のXさんのデジタル・ツイン(注釈:デジタル・データを使って生み出された双生児/双子)をつくり出す実験を行った。Xさんが提供したデータだけで、経済状況や女性関係といったプライバシーまで明らかにしていく実験チーム。さらには将来の行動まで予測してしまう。しかし、もし権力の側が市民のデジタル・ツインをつくり出していたら、そこにはどんな未来が待っているのか…。』

『世界では、そのきざしが既にあらわれ、データ分析から「不審人物」とされ、拘束される人まで出ている。それでも膨張しつづけるデジタル世界。便利なサービスに魅了される人々は、デジタル世界にプライバシーは不要と考え始めている。番組の最後に、自分のデジタル・ツインに会いに行くXさん。そこで放った驚がくのひと言とは…!?』(出典:NHKhp

以下は番組を視聴しながら書いたネタバレです。

グーグルに残る個人の移動履歴(位置情報・移動情報)、画像情報(顔認識技術)、検索情報を解析・分析することで、その個人の住所・職場(職業)・検索内容とその時間帯(最近の生活状況と生活スタイル)をリアルに描写・再現していきます。スマホの便利なサービスを利用することで様々なデジタル・データが蓄積されて行くのです。

国が市民の行動を監視する仕組みを香港の例で具体的に紹介。携帯電話の使用を控え、IDカードの遠隔読み取り防止などの防衛策を採るデモ支援組織と警察の攻防はスリリングです。

また、膨大なデジタル・データを分析するグーグルの巨大なデータセンターの存在とプライバシーに関するデータを利用する広告ビジネスの急成長を紹介。つまり、プライバシーはもはや個人自身のモノでななくなっていると指摘します。注釈:データーセンターとは様々なサービスを提供するサーバーなどのIT機器を大量に設置・収容する施設。膨大な電力を消費するため電力供給地と冷却用水源の近くに置かれることが多い

「デジタル・ツイン」は現在のあなたを再現できるだけではなく、あなたの将来を予測することも可能になるとして、昨年リクナビが求職者のデータを販売した例と、中国の自治区などで不審(反政府的な)人物の検挙にもこの技術が使われていると言うのです。

リスクを伴いながら普及するスマホにより個人のプライバシーを自ら放棄する状況が拡大しているのです。アメリカでは警察が市民から入手した映像を犯罪捜索に活用している事例を紹介。また、プライバシーは市民(個人)が守るべきものであるとして、EUは一般データ保護規則を制定しました。旧東ドイツの秘密警察の活動(市民の監視と弾圧)がまだ強く記憶に残っているのです。

『データは誰のものなのか?』 の問いに、『 テクノロジーの急速な進歩により鏡の中のもう一人の自分がリアルな世界を動かし始めている』 と米イェール大学のデイビッド・ガランダー名誉教授は指摘しました。彼は30年前に「デジタル・ツイン」を予測した学者です。

最後に「デジタル・ツイン」の再現実験に協力したXさん(本人)が自分の「デジタル・ツイン」と対面。『恥ずかしい』、『怖い』、『びっくりした』 と驚きながら、『ある程度のリスクを承知でこれからもスマホを使い続ける』 との言葉が印象に残りました。◇

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