携帯・デジカメ

2020年8月10日 (月)

5G携帯電話の現状と今後の展望

今春、「5G(第5世代)携帯電話」の商用サービスが地域限定で始まりました。ちなみに、NTTドコモは3月25 日、"au"は3月26日、ソフトバンクは3月27日と大手3社はほぼ同時期にスタートしています。

端末については先の関連記事で紹介したソニー製″Xperia 1 Ⅱ SO-51A"に加えて、サムスン電子製”Galaxy S20+ 5G SC-52A"、LG電子製"V60 ThinQ 5G L-51A"シャープ製”AQUOS R5G"、富士通製"Arrows 5G F-51A"、中国のZTE(中興通訊 )製"Axon 10 Pro 5G"、同Xiaomi(小米科技)製"RedMi K30 5G"、同OPPO(オッポ)製"Reno3 5G"が日本の携帯電話会社を通じて5G携帯電話を発売しています。

ただし、5G関連技術で先行する中国のHuawei(華為技術)の製品はアメリカ政府の排除方針(説明:違反した場合はアメリカ政府との取引を禁じる方針)のためか、扱う携帯電話会社はないようで、SIMフリーの5G対応スマホ"P40 Pro 5G"と"P40 lite 5G"を直販で売り出しています。なお、他の中国メーカーについても携帯電話会社の対応は不透明のようです。

新型コロナウィルス禍で携帯電話市場の低迷が続いている8月になって、アメリカのグーグルとアップルが先行メーカーから半年以上遅れる今秋に相次いで5G対応の新型スマートフォンを市場に投入することを発表しました。主要メーカーが出揃(でそろ)う今秋に5G市場が本格的に動き出すことが予想されます。サービス体制も2021年末に全国エリアの90%をカバーされるとのことですから、来年が5Gの普及期になると考えられます。

とは言っても、野村総研研究所の市場予測によれば、『国内スマホ販売台数に占める5G対応端末の割合は2021年度は1割未満に留まるが、サービスエリアの拡大にともない普及率が上昇し、2025年度には6割近くに達すると見込んでいる』 そうです。5G対応端末が一般的になるのはまだ先のことになりそうです。

参考情報として5G対応の携帯端末に関する「技術情報」を紹介します。

・現行の4G(LTE)より高速・大容量(受信:最大3.4Gbps、送信最大131.3Mbps)かつ低遅延および多数接続が特徴である
   例)リアルタイム・遠隔ライブ、自動運転・遠隔医療、スマートシティ・スマートライフ
・そのために広い帯域幅を必要とする 例)受信では1.7GHz/2GHz/3.4GHz/3.5GHzを同時に使用、送信は800MHz/1.7GHzを同時に使用
・効率的にデータの送受信を行うため多数のアンテナ素子を使う"Massive MIMO"技術を用いる

また、5Gサービスを利用するには5G対応の携帯端末と5G回線の契約の両方が必要です。
注)4G回線契約のままで5G対応機種を利用したり、5G回線契約で4G対応機種を利用することはできない◇

2020年7月 9日 (木)

アイフォーンのイヤホンジャックに不具合が発生!?

日々の習慣として散歩に必ず携行するiPhone SEとヘッドホンの間につい最近になって不具合が発生しました。音量が急に下がったり、接続が途絶えたりするようになったのです。話は1年以上前に遡(さかのぼ)りますが、愛用していたオーディオテクニカ製の折りたたみ式ヘッドホンが破損したため、急遽(きゅうきょ)再登場することになったこのヘッドホンは30年ほど前にアメリカで購入したソニー製ラジカセに付属していた年代物です。

この古いヘッドホンを問題なく使用して1年以上が経過した最近のことですが、音量が突然低下したり、ラジコの再生が急に停止したり、など不安定な動作が気になり始めました。ヘッドホンのプラグ周辺で外的なストレスによりケーブルが半断線したことを疑いましたが、外力を緩(ゆる)やかに加えて確認するとまったく問題はありません。ヘッドホンのプラグとiPhone SEのイヤホンジャックとの間で接触不良が発生したようです。

先ず、金メッキされたヘッドホンのプラグを布で拭(ふ)いてみましたが、不具合は一向に改善されません。したがい、iPhone SEのイヤホンジャックに汚れが付着したか、あるいは錆(さび)が発生したことを疑いました。とはいっても、イヤホンジャックの内部を清掃するにはiPhone SEのカバーを外す必要があり、素人である筆者が行うと本体にダメージを与えるリスクがあると考えました。接触不良の対策には「接点復活剤」が有効であることはラジオ少年(電子機器オタク)であった筆者には自明のことです。

さっそく、自宅近くのホームセンターへ出かけました。「百均」では扱っていない「接点復活剤」を購入するためです。広い店内を探し回りましたが、一向に見つかりません。新型コロナウィルス禍のため以前より少人数になったと思われるフロアスタッフに助けを求めて見つけることができました。事前に調べておいた接点復活剤候補の一つである呉工業製「コンタクトスプレー」(180ml798円)だけが販売されていましたので、期待した製品より大きかったのですが、迷わず購入しました。『鶏口(けいこう)を割(さ)くに焉(いずく)んぞ牛刀を用(もち)いん』 でしたが・・。

自宅に戻って直ちに接触不良の改善作業に取り掛かりました。スプレー式の「接点復活剤」を綿棒のようなものに吹き付けて、それでiPhone SEのイヤホンジャック内に塗布することを先ず考えました。しかし、不具合を拡散させる恐れが懸念されます。そこでプラグ側に「接点復活剤」を塗布して、それをイヤホンジャックに挿入することで、その接点を回復させることを試みることにしました。

接点を擦(こす)り合せることを意識しながら、プラグを慎重に挿抜(そうばつ)および回転させました。1-2分後には不具合が少し改善されたようです。想像ですが、iPhone SEのイヤホンジャックは金メッキをされていない(?)ことで接触不良が発生したと考えられました。ちなみに、今年の511日に発売されたiPhone SE(新型)にはイヤホンジャックがありませんから同様の不具合は発生しないでしょう。

しかし、翌日の散歩時に不具合が再発。接触不良は完全に治(なお)っていなかったのです。ヘッドホンのプラグに横方向の力を加えると微妙に緩(ゆる)みがあるようです。つまりガタツキが感じられるのです。イヤホンプラグが摩耗(まもう)したのか、あるいはジャック側のバネ圧が弱くなったことが影響しているようです。

念のため、滅多(めった)に使うことがないアイフォーンの純正イヤホンに差し替えてみると、こちらはスムーズに嵌合(かんごう)し、緩(ゆる)みが一切ないのです。さらに、問題のヘッドホンをiPadに接続すると、似た不具合が発生しました。それではとばかりに、手持ちの3極プラグ付きイヤホンで試すと、これも嵌合やステレオ音声の再生に問題はありませんでした。やはり、古いヘッドホンのプラグそのものに問題があるようです。原因の追及は上記のように二転三転しましたが・・。

                           ☆

ここでイヤホンプラグ(オーディオ用プラグ)について調べてみました。正式には「フォーンプラグ(phone plug)」、つまり手動電話交換機のパッチボードに挿入されるパッチケーブルのプラグが名称の由来のようです。プラグの大きさはさまざま(直径:2.5/ 3.5mm/ 4.4mm/ 6.3mm)ですが、一番よく使われているのは直径が3.5㎜のミニプラグです。また、音楽再生用プラグでは電極の数が、2極(モノラル)、3極(ステレオ)、4極(ステレオ+マイク)、5極(ステレオ+マイク+ノイズキャンセリング)などがあり、この違いはプラグの金属部にあるチップとリングの数(合計)で識別できます。

3極は音楽プレーヤー/テレビ/パソコンなどに一般的に使われており、4極はスマホなどに多いプラグですが、ここで厄介(やっかい)なことがあります。それは、2極と3極は世界共通ですが、4極と5極には複数の規格が存在することです。5極は特殊な用途向けであり使用される領域が限られますが、現在スマホなどに使われていてポピュラーな存在である4極プラグ(およびジャック)にはアメリカで制定された”CTIA”EU圏で使用されている”OMTP”の2規格があるのです。いずれも携帯電話向けの規格ですが、プラグの先端にあるステレオ(L+R)用電極(注釈:3極と同じ)以外のマイクとグラウンド(GND)用電極の配置が逆になっています。ちなみに、日本はアメリカと同じ”CTIA”がほとんどです。

4極プラグ(およびジャック)は3極プラグ(およびジャック)のGND電極を後年になって2分割してGNDとマイク用電極を設けたものですから、3極と4極のプラグまたはジャックを混用しても不具合が生じないよう、4極ジャックを取り付けた機器側で対策を講じるのが一般的です。つまり、4極ジャックに3極プラグを挿入してマイク用電極がGNDにショートすることになっても、問題が発生しないようにハードウェア(機器)が設計されていますから、実用上は3極プラグと4極ジャックが何とか接続できるのです。

とは言っても、機器に取り付けられている4極ジャック(CTIA規格)のグラウンド(GND)電極(接点)の位置が、3極プラグとの互換性に影響を与えることがあるようです。(注釈:OMPT規格の4極ジャックは3極プラグとの接続問題がないといわれる) このためか、4極プラグ(ステレオ音声+マイク/リモコン)を3極ジャック(ステレオ音声のみ)に、あるいは3極プラグを4極ジャックに変換するアダプターが販売されています。これらは3極と4極のプラグに互換性を持たせるための商品のようです。

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ミニプラグについて理解することができましたが、問題を抱えた古いヘッドホンをそのまま使い続けると心理的なストレスが溜(た)まりそうですから、この問題を解決するために以前から興味を持っていたワイヤレス(Bluetooth)ヘッドホンを購入することにしました。5年以上前からJBL製"Portable Bluetooth"スピーカー"Flip 2"を愛用していてBluetooth接続には馴染みがあります。もうひとつの理由は2016年に発売されたiPhone 7からiPhone製品のイヤフォンジャックが廃止されたことがあります。

あれこれ調べた候補の中からコスパ(費用対効果)が良さそうなSONY製WH-CH 510ワイヤレス・ヘッドホン(3910円)とJBL製TUNE 500BT ワイヤレス・ヘッドホン4,090円+送料)を比較した上で前者を選定し、Amazonに申し込みました。翌日、Amazonから「WH-CH 510ワイヤレス・ヘッドホン」(オンイヤータイプ/折り畳み/通話可能、ベトナム製)が送られてきました。

価格相応にややチープな(安っぽい)外観ですが、音質はiPhone SEの音を聴くために十分満足できる水準(SBC/AAC対応、30mmドライバー)でした。また、ワイヤレス接続(Bluetooth ver.5.0/ A2DP/ AVRCP/ HFP/ HSP/マルチペアリング機能対応)ですからiPhone SE(Bluetooth ver.4.2)との間を繋(つな)ぐケーブルが無く、散歩時にケーブルが歩行の邪魔をすることがなくて好都合であり、一度の充電で最大35時間も動作しますから電池切れを心配する必要はほとんどありません。

注釈:マルチペアリング機能(最大8)で手持ちのiPhone/iPadなどとすべて接続可能、HFP/HSP機能により着信通話が可能、電源のON/OFF(約2秒間長押し)・ペアリング開始/完了(約7秒長押し→青ランプが2回ずつ点滅)・Bluetooth接続/切断(iPhone側で操作)を英語の音声ガイダンスで確認可能

また、ヘッドホン側で簡単な操作を行うことで、ヘッドホンの電源ON/OFFとペアリングに加えて音量の増減操作ができます。また、ラジコなどの音声アプリの動作中やミュージックに入れた音楽の再生中の一時停止・再開、着信した電話への応答・ハンズフリー通話、さらにはSiriの呼び出しもできて便利です。

もうひとつ気づいたことは、iPhone SEのメイン画面右上にはワイヤレス・ヘッドホンと接続されていることを示すヘッドホン型のステータス・アイコンと並んでヘッドホン内蔵電池の残量が縦長のバー長として(アナログ的に)表示されることは安心です。電池がどれだけ減ったかの目安をリアルタイムで知ることができるからです。したがい、散歩時だけではなく、室内においてもiPhone SEで音楽をリラックスして聴くことができるでしょう。注釈:ヘッドホンの充電状態を詳しく知りたい場合はメイン画面を右スワイプしてバッテリー・ウィジェット(説明:情報を視覚的に表示するアプリ)を出すと電池残量がデジタル的に(10%単位で)表示される、電池残量が20%まで下がると"Low battery, please recharge headset"と音声ガイダンスがあり

筆者の満足そうな様子を見た同居者は『外観がボロボロになった古びたヘッドホンを修繕しながら使わないで、もっと早く買えば良かったのよ! もし、もっと高価なヘッドホンが欲しくなったら、その安いのでいいから私に頂戴ね!!』 と筆者の心を見透かします。ちなみに、価格が一桁異なるBOSE製NOISE CANCELLING HEADPHONES 700を視聴してみると音質に明らかな差がありました。以上の顛末(てんまつ)により、古いヘッドホンには緊急時のバックアップ用として再び引き出し内で待機してもらう、あるいは小物金属として廃棄することになりました。◇

2020年3月11日 (水)

ソリッドステートの歴史を振り返る(後編)

ここでコンピュータに使われた記憶装置(メモリ)の歴史を振り返ってみます。コンピュータの黎明期(れいめいき)である1955年から1975年ころまで、大型コンピュータの主記憶装置には主に磁気コア・メモリ(小さなドーナツ状のフェライト・コア、容量:4K64K)が使われていました。コアを磁化させることで情報を記憶させる素子の集合体です。不揮発性(ふきはつせい、意味は後述)ですが、読み出すと情報が消えるため、データを書き戻す必要がありました。

発明者はワング・ラボラトリーズ(1951年設立)の共同創立者である中国系アメリカ人のアン・ワング(Wang An/王安)博士。その特許をIBM社に売却してコンピュータ会社を立ち上げ、1980年代には従業員3万人、売上高30億ドルの大企業へと発展させました。ワープロ(Wordprocessor)で大成功しましたが、その後の経営戦略が失敗したことにより、1992年に倒産、イタリアのオリベッティ社に買収されて、コンピュータ業界で輝いた40年あまりの同社の歴史を閉じました。

20年後(1970年代)には磁気コア・メモリに代わって半導体メモリの"RAM"が主記憶装置の主流になり、集積度の高い”DRAM"(ダイナミックRAM)と応答速度が速い"SRAM"(スタティックRAM)をキャッシュメモリとして組み合わせる形で"CPU"(中央処理装置)の処理速度とバランスを取る形で現在に至っています。

補助記憶装置には紙媒体の鑽孔(さんこう)テープとパンチカード、オープンリール式の磁気テープが、そして1971年にIBM社が開発した8インチのフロッピー・ディスクが使われました。私の学生時代は機械語(コンピュータのプロセサーがそのまま理解できるプログラミング言語)のプログラムとデータが入ったパンチカードを、開発技術者になってからは"Fortran"(フォートラン、IBM社が開発した高水準言語)のプログラムとデータを入力したパンチカードを使ったバッチ(一括)処理またはTSS(時分割サービス)で設計データを検証していました。注釈:鑽孔テープはテレックス用に開発された記憶媒体、パンチカードは統計機用穿孔(せんこう)カード、フロッピーとは「柔らかい」ことを意味する(ハードディスクに対比した表現)

商用ハードディスクドライブ(HDD)の始まりは、1956年に出荷されたIBMのディスク記憶装置からとされています。巨大な装置であったため、コンピュータ室やデータセンターで使われました。1980年に"Seagate Technology" 社が5インチの小型 "HDD" を発売し、1981年にはIBM社からパーソナル・コンピュータ”"IBM Personal Computer"が市販されたことで、一気に"HDD"が普及しました。

いつまで訳の分からないことを書いているのかと思われた方が多いと思います。遅ればせながら本稿の主題である「ソリッドステート」の核心に移りましょう。今振り返ると"HDD"は私がアメリカで出会った"MacIntosh SE""MacIntosh  IIsi"でも使われていましたが、最近、パソコンの補助メモリー(パソコン内蔵の大容量メモリー)の代名詞であった“HDD"(ハードディスク・ドライブ)が"SSD"(ソリッドステート・ドライブ)に置き換えられ始めました。ちなみに、”SSD”と同じフラッシュメモリを使った小容量外付けメモリの「USBメモリ」は20年ほど前に製品化され、現在はフロッピー・ディスクに代わって広く使われています。

一方、“iPhone”などのスマホには"RAM""ROM"が搭載されています。前者は読み書き可能な揮発性メモリで、後者は読み出し専用(読み書き機能を持つものも有り)の不揮発性メモリです。 "SSD" よりもさらに消費電力が少ない利点からこれらのメモリが使われているのですが、スマホの利用者はこれらメモリの違いを意識する必要はありません。

"HDD"と互換性があり応答速度が速い"SSD"は、主にコストの理由でパソコンの主記憶装置(キャッシュとレジスターなど)以外の補助記憶装置に広く採用されることはありませんでしたが、比較的小容量(1GB以下)のメモリでは"HDD"との価格差がこの数年で小さくなり、応答速度を重視する機種に搭載されつつあるようです。また、外付け用の”SSD”も市販されるようになりました。つまり、30年の時間を経てやっとパソコン用の大容量メモリ技術が大きく変わりつつあるのです。注釈: "drive" (ドライブ)は「運転する」や「駆動する」を意味するが、この場合は「駆動装置」を指す

"SSD"に使われている技術(NAND型フラッシュメモリ、不揮発性メモリ)に類似する”RAM"、具体的には"SRAM"(不揮発性メモリ)と"DRAM"(揮発性メモリ)は上述したようにかなり前から大型コンピュータのメモリとして使用されていましたが、パソコンにおいては主にコストの理由でメインメモリー(キャッシュとレジスターなど)以外には広く採用されることはありませんでした。

しかし、製造技術の進歩(量産化)によってパソコンのように比較的小容量(1GB以下)のメモリでは"HDD"との価格差がかなり小さくなったことで、最近は応答速度の速さを重視する機種に搭載されつつあるようです。また、外付け"HDD"と置き換え可能な外付け用"SSD"も市販されるようになりました。注釈:不揮発性メモリとは電源を切っても記憶内容を保存できるメモリ、揮発性メモリは電源を切ると記憶内容が失われるメモリ

「何だ!」と言われそうな記事になりましたが、「企業」や「世代」だけではなく、「技術」の分野においても30年前後で大きな変換点を迎えることが多いことを実感した私は、"SSD"がパソコンに採用され始めた背景とその理由を書きたくなったのです。書き忘れていました!! エジソンがおよそ140年前の1879年に実用化した白熱電球(真空管の一種)は、1930年代の後半に実用化された蛍光灯(これも真空管の仲間)を経て、「ソリッドステート」である"LED"(発光ダイオード)に移行しつつあります。これは60年~90年と長い(遅い)ペースで進化した例です。

最後に蛇足です。上記したように"SSD"はまだ容量単価が"HDD"に比べて割高である一方、書き込み・読み出し時間が短く(応答速度が速い)、しかも寿命が長い("HDD"2‐3年に対して"SDD"5年と言われる)特長があります。しかし、万一故障した場合には"HDD"のように記録内容を救出することができませんから、容量の大きな外付け"HDD"でバックアップすると良いでしょう。私が以前から実行していることですが、使用頻度が低いデータ(ファイル)をパソコン内蔵の補助記憶装置("SDD"または "HDD")から一時的に削除(退避)すれば補助記憶装置の容量不足をカバーすることもできます。◇

2019年12月 3日 (火)

携帯電話で利用できる新しい電波(周波数帯)が今年誕生

日本においては携帯電話、特にスマートフォン(略称:スマホ)の加入者数が年々増加し続けて総計で総人口を大幅に上回る1.7億加入を突破しました。また、提供されるサービスは通話・メールなどに加えて、各種のビデオ・サービスが急増したことでスマホなどの携帯端末当たりのデータ量(パケット数)は爆発的に伸びています。その結果、各携帯電話事業者はより大量のデータを利用できるサービス・メニューを提供するようになりました。
 

これにより、携帯電話サービスを利用者に直接提供する携帯基地局で使用する電波が不足し始めたため、新しい周波数帯が携帯電話用に割り当てられました。それが700MHz帯(端末用:718-748MHzと基地局用:773-803MHz)です。この周波数帯は地上波テレビ放送が2003年から2011年にかけて新しい周波数を使う地デジ放送(13-52ch/470MHz-710MHz)に移行し(変更され)た時に暫定的に割り当てられた地デジ放送用53-62ch/710-770MHz)と他の目的に割り当てられた周波数帯(770-806 MHz)です。
 
他の目的とは日本固有のサービスであるFPUField Pick Up、テレビ局の地上中継用無線回線)と特定ラジオマイク(免許を必要とする高品質ワイヤレスマイク)のことですが、これらのサービスは昨年度末(2019331日)をもって他の周波数帯へ移転させることで、世界の標準に合わせて700MHz帯が携帯電話用に再割り当てされたのです。
 
余談になりますが、WiFiには2.4GHz帯/5GHz帯/60GHz帯が割り当てられており、Bluetoothにも前者と同じ
2.4GHz帯が使われています。もし、両者を近くで同時に使用すると、電波出力が低い(強さが1/10以下)Bluetoothでパケットの再送信が頻発して通信速度が低下することがあります。最近はその軽減対策としてWiFiとの衝突が多いBluetoothチャンネルの使用を一時的(自動的)に避けるAFH(Adaptive Frequency Hopping)技術と相互に譲り合うPTA(Packet Traffic Arbitration)技術が採用されています。一方、WiFiの方はいずれにしても影響が軽微。
 

閑話休題。これまでに携帯電話用に割り当てられていた周波数帯は800MHz帯、900MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2.1GHz帯、2.5GHz帯、3.5GHz帯、3.7GHz帯、4.5GHz帯、28GHz帯ですが、各周波数帯には容量(帯域)に限りがあるため、総務省の判断によって携帯電話事業者に振り分ける方法で割り当てが行われています。なお、今回の700MHz帯はNTTドコモ、au、ソフトバンクの大手3社に割り当てられました。ちなみに、電波の国際的な呼称としては300MHzから3GHzまでが極超短波(UHF)、3GHzから30GHzまでがマイクロ波(SHF)と呼ばれます。
 

また、携帯端末についても対応できる周波数帯に制約があり得ますが、幸いなことにLTE対応のアイフォーン(日本国内向け)は日本で割り当てられているすべての周波数帯(700MHz帯を含む)に対応しています。したがって、今年度になって700MHz帯が携帯用に追加されても、アイフォーンは自動的に対応してくれますから、利用者は何も意識する必要はありません。 
 
ちなみに、私が加入する携帯電話事業者のソフトバンクでは4GLTE)用としてBand 1(2.0-2.1GHz)、Band 31.7-1.8GHz)、Band 8800MHz)、Band111.5GHz)、Band 28700MHz)、Band 41 (2.5GHz)、Band 423.5GHz)が利用できますが、主力はBand 12.0-2.1GHz)、次いでBand 31.7-1.8GHz)、そして電波が届きやすく広域で接続できるプラチナバンドのBand 8800MHz)であり、新しいBand 28700MHz)もプラチナバンドになると考えられます。
  

上記したようにアイフォーンへの影響は実質的にありませんが、実は地デジ放送を受信するテレビに影響が出る可能性があるようです。特に受信ブースター(注釈:弱電界のテレビ信号を増幅する装置)を利用している家庭では受信画面が乱れたり、画面が映らなくなったりすることがあるそうです。この理由は地デジ放送で使われている電波が新たに携帯電話に割り当てられた700MHz帯に隣接している(かつ携帯基地局との距離が近くて電界が強い)ことと、これまでに製造された地デジ用受信ブースターには700MHz帯を使う携帯基地局からの電波の影響を排除する機能が無い(あるいは不十分である)ためです。
 

影響が出た場合は大手携帯電話事業者4社(NTTドコモ、KDDIau沖縄セルラー、ソフトバンク)が設立した「一般社団法人700MHz利用推進協議会」(コールセンター: 0120-700-012900-2200)へ連絡をすれば、必要な対応を無償同協議会の負担)で取ってくれるそうです。多分、上記したブースターへの機能改善策を施してくれるのでしょう。今年度に入って700MHz帯の基地局が全国各地で順次設置され始めていますから、設置予定の地域に啓蒙用のビラ(影響が出る可能性のある日付を明記)が配布されています。
 
しかし、マスコミを通じての周知はほとんど行われていないため、ビラを見た人の中には新しい詐欺(さぎ)行為ではないかと考える人もいるかも知れません。また、本件に便乗する詐欺グループが現れるかも知れませんので、くれぐれも注意するようにしてください。

2019年11月12日 (火)

見逃したテレビ番組を視聴できる便利なサービス”TVer”を活用する

ラジオ放送(中波)に嵌(はま)っていてテレビを余り観ない私ですが、それでも必ず観ることにしている番組があります。経済報道番組のWBS(テレビ東京)、ブラタモリ(NHK総合テレビ)、マツコの知らない世界(TBSテレビ)、ケンミンショー日本テレビ)、孤独のグルメ(テレビ東京)などです。小説とアニメが好きな私はテレビドラマを観ることもありますが、次々と放送されるテレビドラマの中から選んで観るようにしています。つまり、テレビドラマはクール(3か月単位で放送されることが多いのですが、多くある内からつまたは2つを選んで観るようにしているのです。ちなみに、連日放送される「朝ドラ」や一年間の長丁場になる「大河ドラマ」は時間を制約されるため視聴を避けています。
 

最近観たドラマはNHK総合テレビで月から月にかけて週一回(金曜日の午後10時から)放送された「これは経費で落ちません」です。主演した多部未華子さんの演技が好きで、同じNHK総合テレビで2017年4月から6月までの8回にわたって週一回(金曜日の午後10時から)放送された「ツバキ文具店」も観ています。毎週楽しみにして観ていましたが、たまたま旅行に出掛けたり、時として晩酌が進み過ぎたりして、見逃してしまうこともありました。もちろん、録画予約をしておけば後で観ることができますが、その予約すら忘れてしまうことがありました。最近になって気づいたことですが、「見逃しテレビ」というネットサービスがあるのです。それは2015年10月にサービスを開始した”TVer”(ティーバー)。民放だけではなく、NHKの番組(2019年8月26日以降)についても後追いで観ることができる優れもので、ラジオ放送における「ラジコ」の「タイムフリー聴取機能」に相当します。

 

TVer”で網羅されていない番組については民放各局が提供している「見逃しテレビ・サービス」を利用することができます。例えば、「日テレTADA」「TBSフリー」「テレ朝キャチアップ」「FOD見逃し無料」「ネットテレ東」などです。これらを使い分けることでほとんどの番組を後追いで観ることが可能だと思われます。しかも、視聴は無料(注釈:CMあり)なのです。有料サービスは衛星放送の”WOWOW”だけに限定していますから、"TVer"はとても有難いサービスです。見逃したテレビ番組を観るために今人気の”Netflix“や”Hulu”、そして以前加入したことがある「ひかりTV」などにも加入する必要はありません。もちろん、これらのメディアに固有の番組を観たい方は加入する必要がありますが・・。付け足しの理由ですが、何度も見返したい場合でも、BDレコーダーやテレビに外付けした録画用HDDの空き容量を気にする必要もありません。

 

TVer”のサービスは小型のスマ―トフォンであるiPhone SE”(画面サイズ4インチ)を使えば、出先でも自由に視聴することができますが、自宅ではより画面の大きなタブレットiPad Air”(画面サイズ9.7インチ)でストレスなく観ることができます。アメリカの刑事ドラマに嵌(はま)っている同居者に居間のテレビを占有されている時にも、まったく競合することなく、観たい番組を”TVer”を使って自室で楽しむことができ、無用のトラブルを避けることができることも効用といえるでしょう。ただし、“TVer” では番組が放送された当日にはその番組を観ることはできず、提供されるのは翌日以降(約一週間程度)なのです。放送中・放送後を問わず聴取できる「ラジコ」のタイムフリー聴取機能よりやや劣る水準のサービスです。欲を言えば放送中においてでも視聴できる、せめて放送終了後には視聴が可能となる、ようにサービス水準を改善して欲しいものです。□

2019年10月19日 (土)

iPhone 設定トラブルの顛末記 「重要な情報が消えた!」

ある日突然、iPhonee-メール(i-Softbankアカウント)が使えなくなりました。そして、ソフトバンクからショートメッセージで『e-メールのパスワードをキャンセルしました。新しいパスワードはxxxxです。』 との連絡がありました。その理由は「パスワードが短い場合、長期間変更されていない場合、パスワードがランダムな英数字でない場合、第三者からの不正アクセスやその兆候が弊社システムで検知した場合、お客様からのお申し出があった場合」 のいずれかと説明されていました。
 

私の場合がどれに該当するかは明らかにされていませんが、e-メールを使えるようにするためにはパスワードを再設定する他の選択肢はなさそうです。そこで、指示にしたがって一括設定を試みましたが、うまく行きません。購入時に同様な設定をした記憶がありますが・・・。念のため、設定モードのe-メール・.アカウントのパスワードを新しく指定されたパスワードに変更してみましたが、トラブルは一向に解消されません。
 

止むを得ずソフトバンクの代理店に相談することにして翌日の時間帯を予約すると、これはこれまで通りにすんなりできました。そして、予約を受け付けた旨のレスポンスが直ちにありました。翌日、予約した時間に代理店を訪れると、依頼内容はすでに伝わっており、店のスタッフが私の端末を確認した後、e-メールのパスワードを再設定(一括設定)しようとしてくれたのですが、上手く行かなかったようです。そのスタッフからは既存の設定を強制的に上書きすることが不可避と告げられ、地獄で「蜘蛛の糸に」に縋(すが)る状態に陥っていた私はそれを了承する旨の書類にサインすることに。この手続きが完了すると、店のスタッフは上書き操作をあっという間に実行してくれ、その結果としてe-メールが正常に使えるようになりました。これで、本件は一件落着に!
 
何事にも慎重な私が念のためにと主なファイルを確認すると、100件近く保存していた「メモ・ファイル」の中身がすべて消えていました。そのことを店のスタッフに伝えると、『上書きをしましたからメモはすべて消えます!』 と・・。狼狽(うろた)えた私が 『復元できますか?』  と質問すると、『それはできません』 とにべもなく、続けて『"iCloud"に保存しておけば復元できますよ!!』 と親切に教えてくれました。「今、そう言われても(早く言ってよ)・・」、「それなら、上書き操作をする前に"iCloud"に接続してくれれば良かったのに・・」 と内心で思いましたが、そこは人生経験の長い私ですから、『これからはそうしたいと思います。ありがとうございました。』 と社交辞令の言葉を残して店を出ました。
 

iPhone内に残していた重要情報が無くなると出先で何かと困りそうです。そこで、自宅へ戻った私は自分の記憶とパソコンにある断片的な(複数の)情報を元にメモにあった情報を再現し始めましたが、いずれも長期間をかけて整備した情報であり、この作業は思ったよりも大変でした。「窮(きゅう)すれば通ず」の言葉通り、メモの中にはパソコンでも使用するつもりでパソコンへeメールで転送していたものがあることを思い出しました。ビンゴ!!! 送信記録から何件かの情報を復元することができました。
 

その作業を繰り返しているうちに「メモ・ファイル」内に"notes"というファイルが存在していることに気づきました。何気なくそれを開いてみると、何ということか、「メモ・ファイル」に保存していた情報がほとんどそこに存在していたのです。これで作業は一気に捗(はかど)り、メモ・ファイルの情報をすべて復元することができました。余談ですが、昨春中欧旅行の途中ウィーンを訪れた時、それまでの旅行中に書いたメモがすべて消えてしまうトラブルが発生し、記憶が薄れない旅行中にそれを書き直すのにかなりの労力を費やしたという悪夢を思い出しました。書き直すと言っても、私自身の記憶と撮影した写真だけが頼りですから、詳細な情報(時間や店名など)の多くは復活させられませんでしたが・・。
 

閑話休題。「な〜んだ」と思いながら、それまで知らなかった"notes"ファイルについてネット検索で調べてみました。すると、"notes"ファイルは設定次第でメモ・ファイルの内容が自動的に"notes"ファイルにコピーされることを知りました。"iCloud"を使わなくても良かったのです。実はソフトバンク(私の場合)のe-メールサーバにメモ・ファイルの内容が自動的に保存されるのです。その設定はiPhoneの設定モードでメモを選び、"iCloud""i-Softbank" "iPhone"の中からどれか一つを選ぶことができるのです。つまり、私のiPhoneはこれまで"i-Softbank"へ保存するように設定されていたようで、メモの内容がすべて"notes"に保存されていたのです。
 
また、この機能は2015年9月にリリースされたiOS9以降に具備されていますから、昨年においてもこの機能を活用することで誤って消去したメモ・ファイルを復元することが可能だったのです。
ちなみに、iPhone復元ソフトを利用しても復元することができるそうです。
 

上記した一連の作業を完了してからのことですが、粗忽(そこつ)な私は意外な(当たり前の?)事実に気がつきました。実は、自宅にある"iPad"が私の"iPhone"と同期するように元々設定してあったことで、"iPad"のメモ・ファイルに"iPhone"のメモ・ファイルがそのままコピーされていたのです。「お粗末の一席」でした。
 

私の経験(失敗談)が皆さんのお役に立ては幸いです。

2018年12月17日 (月)

第5世代移動通信システムを考察する

2019年に始まるプレサービスに続いて2020年には商用サービスが予定される第5世代移動通信システム、略称「5G」、は大手移動通信会社によってシステム・トライヤルが現在行われています。これに先立って「5G」についてのグローバル標準化作業が3GPP(注、第三世代携帯電話および次世代の無線通信技術に関する国際的な標準化プロジェクト)や5GPP(注、2015年に欧州で設立された団体)などによって行われ、2017年末にPhase 1のシステムアーキテクチャーが発表されています。ちなみに、現在提供されている第三世代「3G」および第4世代「4G」との最大の違いはネットワークのさらなる大容量化が可能になることです。

最近の研究によると、2020年代の情報社会における移動通信のトラフィック量は2010年と比較して千倍以上に増大すると予測されています。そのため、「5G」はこのような増大するトラフィックに応えるネットワークシステムの大容量化(10Gbpsを超える高速化)を低コストかつ低消費電力で実現することが期待されるのです。さらなる低遅延化とIoT(Internet of Things、人に加えて物も繋ぐインターネット)、そして将来のIoE(Internet of Everything、データやシステムなどを含むあらゆるものを繋ぐインターネット)の普及にともなう多数端末との接続への対応も目標になっています。

「5G」を実現するための技術要件は、広帯域の電波を確保できる3.6GHz/4.5GHz/28GHzなどの周波数を利用すること、多元接続方式/多重接続方式、時分割複信(Time Division Duplex)方式、キャリアアグリゲーション(複数の搬送波を同時に用いて一体として行う無線通信)など多くの高度な無線とネットワーク関連技術です。(説明は省略)

もう少し分かりやすい説明として、移動通信システムが発展してきた歴史を世代順に振り返ってみましょう。

第1世代の移動通信システムは、初めて実用化されたアナログ方式の携帯電話システムで、使い勝手が良い800MHz帯の電波が使用されました。アメリカでは1983年に周波数分割多元接続(FDD-FDMA-FM)を採用したAMPS方式が、日本では1988年に同じFDD-FDMA-FM(注、細部は異なる)を採用した通称NTT方式で、ヨーロッパでは1981年に同じくFDD-FDMA-FMを採用したNMT方式のサービスが開始されました。ちなみに、私がアメリカの子会社へ赴任した1989年には市民バンドのトランシーバーあるいは大きめのテレビリモコンほどのハンディ携帯電話が社給され、翌年には現在のスマホに近い手のひらサイズ(ただし厚みは数倍)の携帯電話に変わりました。

第2世代移動通信システム「2G」は1993年に登場したディジタル方式の移動通信システムです。ディジタル化したことで、電子メールやウェブ対応など、通話以外の機能が追加されました。「1G」と同様、周波数分割複信時分割多元接続(FDD-TDMA)と周波数分割複信符号分割多元接続(FDD-CDMA)に大別される多くの方式が採用されました。前者には日本のPDC方式・北米のD-AMPS方式、そして日本と北米を除く各国で広く採用されたGSM方式が、後者にはアメリカのクアルコム社が1995年に発表したcdmaOneがある。PDC方式とD-AMPS方式より音質が良く高速なデータ通信ができたことから「2.5G」とも呼ばれました。

第3世代移動通信システム「3G」は国際電気通信連合(ITU)が1999年に標準化したIMT-2000(International Mobile Telecommunication 2000) です。5種類の地上系通信方式があり、NTTドコモとソフトバンクなどが採用したW-CDMA方式、auなどが採用したCDMA2000(注、後に細部が変更された)方式がある。アメリカはW-CDMA方式とCDMA2000方式を、ヨーロッパではW-CDMAに分類されるUMTS方式が採用されました。

第4世代移動通信システム「4G」はITUが定めるIMT-Advanced規格に準拠する無線通信システムで、Long Term Evolution(LTE、「3G」を高速化した規格)とWorldwide Interoperability for Microwave Access(WiMAX)の後継規格であるLTE-AdvancedWirelessMAN-Advanced(WiMAX2)が該当します。ちなみに、LTEは2009年に3GPPが策定した「3.5G」で、iMAXは2005年に電気通信に関する国際的な標準化団体であるIEEEによって定められた規格ですが、限りなく「4G」に近いことから「3.9G」として位置づけられています。

LTEは2010年にNTTドコモが商用サービスを開始し、2014年にはVoice over LTE(Vo LTE、高速データ通信を利用した音声伝送)による音声通話サービスを追加、2016年には時分割多重LTE(TD-LTE)方式のサービスが開始しました。auとソフトバンクの両社はNTTドコモに追従する形で2012年に商用サービスを開始。機能が高度化されたこの時点で、各社はLTE方式を「4G」と位置づけました。

魅力的な「5G」の商用サービスが間近に迫るなか、その可能性の大きさとともに課題についても触れたいと思います。現行のLTE方式「4G」と比較した場合、「5G」の容量は1000倍、通信速度は100倍、同時接続端末数も100倍に設定されているようです。「5G」を使って提供されるサービスはすべてのモノ、つまりスマホやタブレット、ウェアラブル端末、センサー、さらには自動車・鉄道や家電製品などもワイヤレスで繋(つな)がることで、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、農業ICT(情報通信技術)、自動運転支援、スマートシティーやスマートホームなど、より生活に密着したサービスが登場すると考えられます。

一方、課題も存在します。その多くは技術領域の課題というよりも、経済領域や政治領域の課題です。「4G」が全国的に普及した日本において「5G」を必要とするサービスが存在(出現)するかどうかという需要の問題、つまり投資規模に見合う市場が存在するか否かです。移動体通信トラフィックは1年で約1.4倍に増加しているようですが、今後もこのペースで増加し続けるといえるのでしょうか。”YouTube”に代表されるビデオ(動画)を上回る情報量を持つ(必要とする)コンテンツやデータ(例、8K映像や立体映像など)の需要が顕在化することが鍵と言えます。また、低遅延は自動運転には不可欠な要件ですが、自動運転が普及するのは10年以上先のことと思われます。

喫緊(きっきん)の課題は意外なことでした。その課題の背景にはエスカレートする米中の貿易摩擦があります。巨額な対中貿易赤字とハイテク分野での覇権(はけん)争いから、アメリカは中国からの輸入品に高い関税をかけたことに加えて、中国の大手通信機器メーカーであるハーウェイ(華為技術)とZTE(中興通訊)の両社から製品を購入して使用する企業とアメリカ政府機関およびアメリカ軍は取引をしない旨を発表しました。

さらに、中国側に情報が漏洩する懸念があるとして、「5G」のネットワーク整備において両社の製品を採用しないように各国に働きかけているようです。事実、アメリカに次いで、オーストラリアとニュージーランドは両社の製品を採用しないことを最近になって言明しています。12月10日には日本政府も名指しを避けながらも「5G」関連の調達では問題ある製品を排除すると言及し、大手通信事業社3社は政府方針に従うことを明らかにしました。また、参入予定の楽天は中国メーカーを採用する予定はなく、自社に影響はないとコメントしています。

つまり、「5G」は政治問題化しつつあると言えるのです。この状況において、NTTドコモとソフトバンクは「5G」技術で先行するハーウェイを含む海外企業と共同して「5G」システムのフィールド試験(実証試験)を行っています。もう一つの懸念は今秋にリリースされたiPhoneの新製品は売れ行きが芳(かんば)しくないアップルは「5G」への対応、具体的には「5G」用通信モデムの調達で出遅れており、対応する製品の投入時期は早くても2020年の後半になるとの観測記事がブルムバーグから出されたことです。
 
ちなみに、現行システムではソフトバンクが規模は小さいとしながら中国メーカー2社製の基地局を採用し、KDDI(au)もファーウェイから末端の装置(スマホ?)を導入していることを認めています。一方、最大手のNTTドコモは中国メーカーの製品は使用していないとしています。一方、
現行の「4G」用スマホではファーウェイ製品が安価・ハイスペックであることを武器に世界販売シェアでサムスンに次いで第2位であり、日本市場でもSIMフリー市場で急成長してシェア50%(1位)に達したことに加えて大手3社が公式スマホとして採用したことで、最新の販売台数ではシャープを抜き、アップルに次ぐシェア第2位へと躍進しました。

今後は、米中関係およびiPhoneの売れ行きとともに、第5世代移動通信システム「5G」の導入プロセスを見守って行きたいと思います。

2018年3月31日 (土)

フェイスブックの時価総額が1日で約4兆円も急減、何が起こったのか?

319日、SNSの代表格であるアメリカのフェイスブック(Facebook2004年創業、アクティブユーザー数20億人超、2017年の売上約4.3兆円)社の株価が約9%(184ドルから170ドルへ)急落して、同社の時価総額はわずか1日で370億ドル(約9%、約3.9兆円)も減少した。これにより同社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏の資産額は約51億ドル(約5400億円)減少してしまった。ちなみに、ザッカーバーグ氏はフェイスブック社の発行株式の16%を保有しており、フォーブス氏によればその資産額は695億ドル(約7.3兆円)と試算されている。注、328日には152ドルへと316日の株価から17%下落したことからマーク・ザッカーバーグ氏の資産額は118億ドル(12400億円)減少したとみられる

 

この株価急落の背景は2016年の米大統領選挙で、トランプ陣営が雇った調査企業のケンブリッジ・アナリティカ(CA)社が、5000万名のフェイスブックユーザーの個人情報を不正収集していたとの内部通報者の情報による報道がニューヨーク・タイムズ紙によって流されたことにある。昨年来、同社はフェイクニュースの発信源として批判を浴び、イギリスや欧州諸国の世論の混乱を招いたと避難されていた。

 

また、フェイスブックのセキュリティの脆弱性は度々指摘されている。200912月にはプライバシーポリシーを変更したことにより個人情報が利用者に無断で第三者に提供されたため、プライバシー容疑団体などがフェイスブックを込め連邦取引委員会(FTC)に提訴した。201111月、提訴者とフェイスブックはセキュリティとプライバシーに関して誤解を招く表現を使わないことと利用者が意識して承諾する方法を採用することで和解した。

 

20136月には加入者の個人情報が米国家安全保障局などの情報機関に提供されたことがワシントン・ポストによって報道され、その後も携帯電話番号が無断で送信される機能や利用者の携帯電話から音声を収集・分析しているのではないかとの疑義が出されている。

 

今回のスキャンダルの中心人物とされるのは英ケンブリッジ大学の心理学者アレクサンドル・コーガン氏で、ロシアのサンクトペテルブルク大の研究チームと心理テストの共同研究を行っていた人物である。フェイスブックによると、約27万人がこの心理テストを提供するアプリをダウンロードしたが、このアプリは利用者に通知したり同意を得たりすることなく、すべてのフェイスブック上の友人についてのデータも収集していた。コーガン氏は、フェイスブックの利用規約に違反して、こうして集めたデータを英データ会社ケンブリッジ・アナリティカ(CA)に売り渡したとして批判を浴びている。

 

つまり、5000万人の個人データはハッキングによりフェイスブックから流出したのではないが、フェイスブックの甘い個人データ管理と個人データを使って収益を上げる同社のビジネスモデルがこのスキャンダルの背景となったとして、同社の道義的責任が問われているのである。また、CA社は2016年の米大統領選でトランプ陣営を支援するターゲティング広告に、このデータを活用したことが同社のアレクサンダー・ニックス最高経営責任者(CEO)によって明らかにされた。その資金はトランプ大統領の支援者や側近によって約1500万ドル(約16億円)の資金援助で行われたことをニューヨーク・タイムズ紙が報じている。

 

321日、マーク・ザッカーバーグCEOCNNの番組に出演して、『不正が起こった時点ですぐに気づかず、正しい対応ができなかったことを申し訳なく思っている。これは信用を裏切る行為で非常に残念だ。私たちには人々のデータを守る基本的な責任があり、それができないならサービスを提供する資格はない』と謝罪した。さらに、4月に開かれる米国議会で、同氏は自ら状況を説明する方針であると伝えられる。しかし、個人データの不正利用にとどまらず、さらに大きな政治的スキャンダルへと発展する可能性があり、今後の動向に注目したい。

2016年7月26日 (火)

iPhoneにまつわる近況二題 : 純正充電用コードのトラブルと「ポケモンGO」デビュー

予定外の投稿ですが、昨秋、機種変更で手に入れた”iPhone 6s”が気にいっている同居者からの頼みごとについての顛末(てんまつ)を二題紹介します。

 

                          ☆

 

一つ目の課題は充電時間が長くなったというものでした。lightning コネクタの差し込み(接続)が甘いのではないかと思いながら確認すると、同コネクタに接続されているコードが伸びて、コネクタに近い部分で断線に近い状態にあるようです。充電しながらiPhone 6sを使用することが多い同居者はコネクタ付近のコードにダメージを常に与えていたと思われます。
 
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事実、同居者が以前使用していた”iPhone 4s”のコードでも似たトラブルが発生しています。iPhoneの純正充電コードは1年間の保証を受けられますが、無償で交換してもらうためには次の条件を満たす必要があるようです。

 

Phoneが製品保証期間内である ⇒ OK

・ 壊れた純正充電ケーブルが手元にある ⇒ OK

・ その充電ケーブルに外傷がなく、中の配線がちぎれていない ⇒ NG

 

同居者の場合は3つ目の条件を満たしていない可能性が高く、無償で交換してもらうことは難しそうです。

 

前回のトラブル時には断線まで至りませんでした、外皮のビニールの端が見えるほどずれていました。初期のころから、iPhoneの純正充電コードは細くてスマートでしたが、接続したままでiPhoneを使用するとコネクタに近い部分のコードに強いストレスがかかり、ついには断線にいたる脆弱性(ぜいじゃくせい)を有していることは、今回が2回目のトラブルであることからも分かります。

 

そこで、充電用に購入しておいた非純正のコードに取り替えることにしました。こちらは見るからに丈夫にできているようです。コードの外皮径が大きい(太い)ことと、lightning コネクタの挿抜時(そうばつじ)に持つ部分(プラスチック製)のサイズがかなり大きいのです。iPhone用ケースを使用している場合は、その穴が純正用コネクターに合わせて設計されているようですから、製品によってはコネクタの接続が十分ではないこともあるかもしれません。
 
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今後も同じトラブルに遭遇しないとも限りませんから、純正充電コードの補強法を調べてみました。前回のトラブルではiPhone 4s用純正コードに粘着テープを巻きつける方法をとりましたが、継時変化でテープの粘着力が弱まる問題がありました。見栄えと強度を考えると、熱収縮チューブである「スミチューブ」が最適と思われます。それ以外にもネット上に対応策がいくつか紹介されていました。

 

その一つがボールペンの芯(しん)を保持する小さなバネを使う方法です。バネの内径が純正コードとほぼ同じ(わずかに大きい)ことで容易にはめられるはずです。そこで、ものは試しとやってみましたが、意外に難しいのです。バネが思ったよりも硬(かた)いことと、コネクタに近い部分は保護用チューブが被(かぶ)せられていて太くなっていますから、コードに巻きつけるにはコツが必要でした。あれこれ試した結果、なんとか思った通りに仕上げることができました。
 
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機会があれば「スミチューブ」も試してみたいと思います。

 

余談ですが、旅行先にデジカメとiPhone 5を持ち歩く私は車の中でも充電する手段を確保しています。センターコンソールボックス内にあるシガライター用コネクタに自動車用バッテリー(12V)をUSB(5V)に変換するシガライターソケットを装着し、巻き取り型(リール付き)コードを接続しています。コードのもう一方の端にはマイクロUSBコネクタがついています。これはデジカメと接続するためです。
 
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一方、iPhoneについては、専用の充電用コードを別に用意するのではなく、マイクロUSBコネクタをlightning connectorに変換するアダプタで対応しています。すべてがコンパクトであり(かさばらず)、コードの取り回しが運転の邪魔になることはありません。以前、アマチュア無線の機器を車内に設置していた時は車内に引き回した各種コードを配線止め金具を使って固定し、運転の邪魔にならないよう細心の注意を払いました。けっして見栄えは良くなく、あくまでも機能と安全を重視したものでした。

 

                          ☆

 

二つ目の課題は今ブームとなっているスマホ用ゲーム「ポケモンGO 」です。7月22日午前10時ころ、日本でも同アプリがリリースされ、午前中からテレビのワイドショー/ニュースショー番組は「ポケモンGO 」の話題で持ちきりでした。翌23日の夜になって同居者が突然、『「ポケモンGO」をやりたいから”iPhone 6s”にダウンロードしてよ!』 と言い出したのです。古典的なゲーム「ソリテリア」が大好きであることは知っていましたが・・・。

 

アプリをダウンロードして”iPhone 6s”に不都合が生じるといけませんので、私の”iPhone 5”で試してみることにしました。"App store"のランキング(無料)1位にランクされていますから、"App store"内を探す必要はありませんでした。そして、他のアプリと同様、ダウンロードは簡単でした。「ポケモンGO 」を使うためには利用者を登録する必要がありました。グーグルのアカウントまたはポケモンのアカウントのいずれかを選ぶことができます。私はグーグルのG-mailを利用つもりはありませんから、後者を取得することにしました。

 

しかし、ここで問題が発生しました。多くの利用希望者によるアクセスが集中したため、登録を受け付けるサーバーにアクセスできないのです。何度試みても、『待機するように』 とのメッセージが表示される状況は変わりません。翌朝になるのを待って(満を持して)アクセスするとすぐ受け付けてくれました。国籍と生年月日およびメールアドレスなどの情報を入力すると、利用者を認証するために電子メールが送られてきました。

 

認証(メールの所定場所をクリック)が完了すると「ポケモンGO 」アプリへのアクセスが可能になりました。先に入力した情報を再入力すると「ポケモンGO」をスタートすることができました。まず、利用者のニックネーム(英数字のみ)を決めるように求められました。利用者が多いうえ、重複が許されないため、自分の希望する複数の案はいずれも受け付けてくれません。珍しいニックネームを選んだことでなんとか受付けてくれました。
 
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登録手順と操作方法を理解しましたので、次は同行者の”iPhone 6s”にも問題なくダ利用者登録ができました。可愛いニックネームにこだわる同居者の場合は、数種類試しましたが、いずれも拒否されました。私の場合よりもユニークなニックネームを申し込んで受け入れられました。「ポケモンGO」の画面に地図が表示されると、室内でもターゲットのポケモンが見つかりました。導入部で利用者がまごつかないための配慮かもしれません。
   
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自宅近くを出歩いてモンスターをいくつも捕まえ、モンスターボールをゲットしていると、あっという間にトレーナーレベルが「2」にアップ。翌日(25日)にはさらに行動範囲を広げてポケモンを捕まえ、ポケストップにも立ち寄ってフォトディスクを回転させることでポケモンの玉子を入手しているとトレーナーレベルが「5」に達しました。
 
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一方、同居者は、行動範囲が狭いにもかかわらず、トレーニングレベル「4」を獲得してがんばっています。
 
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私は
「ピカチュウ」をまだ捕獲できていませんが、これで「ポケモンジム」でバトルすることができるようになりました。次ぎの2枚の写真はトレーニングレベル「1」の段階で「ポケモンジム」へアクセスして拒絶されたシーンです。ちなみに、「ポケモンGO」は電気を大量に消費しますから、iPhoneの本体があつくなるとともに、バッテリーの消費が甚大ですから、バックアップ(充電)用バッテリーの携行が不可決でしょう。  また、アプリがフリーズした時には、アプリをいったん削除し、再インストールすれば解決できます。もちろん、最新のデータはサーバに保存されていますから、それまでのデータを引き継いでプレイすることができます。
 
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バトルゲームに移行するようですから、私は2日間で「ポケモンGO 」を卒業することにしました。一方、同居者はその日のうちに
トレーニングレベル「5」に達し、さらなる高みを目指してやる気満々のようです。「ポケモンGO」 恐るべし!!
 
[追記] (2016/7/31) 夏休みを利用して大阪からオチビちゃんとコチビちゃんが遊びに来てくれました。二人もポケモンGOで遊んでいましたが、京浜地区ではポケモンが多いと喜んでいます。二人につられて一時復学した私はレベル「9」に、同居者はレベル「8」へとレベルアップ。レベルはどこまで上げられるのでしょうか? ちなみに、最高レベルは「40」との噂があるようです。
(2016/8/9) コツコツとポケモンを捕獲したことで、レベル「11」になんとか到達しました。

2015年7月29日 (水)

SNSの功罪とリスク対策

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS、コミュニティ型公開・閲覧サービス)が2000年代前半に日本で登場したことにより、個人が情報を発信・受信することがきわめて容易になりました。それまでの経緯とその後の変化を簡単に振り返ってみましょう。20年ほど前に誰もがインターネットを利用できるようになってから、インタラクティブ(相互方向性)に情報のやり取りが可能になりました。ホームページから始まり、電子掲示板で会話するサービスが加わり、ブログ(英名:Weblog)と呼ばれるネットワーク上の日記として情報を次々と投稿・掲載するサービスが誕生しました。それに続いて、相手をある程度限定できるSNSが爆発的に普及し、現在は6割程度の人がブログを、8割以上の人がSNSを利用していると言われます。

 

スマホが急増したことがSNSの普及を加速したことは間違いないでしょう。そして、SNSによって疎遠(そえん)になっていた旧友と連絡が取れたり、自分が企画したブランへの賛同者を募(つの)ったりと、従来はほとんど不可能であった不特定多数へのアクセスが日常的に行えるようになりました。また送る内容も単純なテキストだけでなく、写真や動画、位置情報なども含めて情報発信できるようになり、それに対して不特定の人がリアクションを即座に返すことも可能になりました。

 

国内のSNSとしては、FacebookmixiTwitterLINEなど多彩なサービスがあり、スマホのユーザーでひとつも利用していない人はほとんどいないでしょう。しかし、かく言う私はSNSよりも10年前に始めたブログ・サービスを主に利用しています。実は、TwitterLINEのアカウントは持っていますが、前者はブログとの連携目的だけに留め、後者は休止中です。この理由は後で述べたいと思います。

 

このように便利なSNSには影の部分(リスク)も存在することを理解しておく必要があるでしょう。影とは何でしょうか。その一番目に挙げられることは利用者の匿名性(とくめいせい、身元を明かさないこと)です。この特性により、配慮に欠けた一方的な書き込みや罵倒(ばとう)・侮辱(ぶじょく)する言葉を使って特定の人物やグループを攻撃する事例は後を絶ちません。意図的にデマ流すことはもっての外(ほか)ですが、根拠がはっきりしない情報を拡散させる行為も慎(つつし)むべきです。

 

二つ目は、リアルタイム(即時)性が高く、かつ保存性も高いという性質です。これらは便利な特性ですが、時には悪く働くことがあるのです。一時的な思い込みや感情に基づいた書き込みであっても、一度文字にしてしまうと会話以上に確たる存在(言霊、ことだま)となり、時間が経過してもそのままネットワーク上に残り、取り消すことは事実上不可能なのです。つまり、やり直しはできないということです。その書き込みを不快に思った人はたとえそれが誤解であったとしても過激な反応し、同調者が登場すると波紋が急速に広がるトラブルがしばしば起きています。

 

三つ目はSNS依存症。テレビゲームやスマホゲームと同様、SNSに嵌(はま)ると、片時もSNSから離れられなくなる強迫神経症を罹患(りかん)する恐れがあることです。最初の2つの陰とは違ってSNSだけに固有の問題というわけではありませんから、ここでは詳しく説明しません。

 

これら3つのリスク(負の側面)が存在するため、SNSにおいては他のメディアと同様に(あるいはそれ以上に)メディア・リテラシー(使う上に必要とされる能力)が必要です。SNSでは、例え特定の相手に向けて発信したメッセージであっても、「すべての人に見られている」「自分が言われて嫌なことは発信しない」「自分あるいは他人の個人情報は書かない」、この3つを認識して守ることが最低限の必要条件です。

 

これらに加え、人の感情についても十分留意する必要があるでしょう。人は他人が自分よりも恵まれている、あるいは優れていることを知らされると、妬(ねた)み嫉(そね)み、つまり嫉妬(しっと)の感情が生まれやすいからです。この視点から、ブログやFacebookなどのプロフィールを実際の自分よりよく見せて書くのは「百害あって一利なし」です。そして、記事(または本文)を書く時にも、自慢話は極力控(ひか)えるべきだと私は考えます。

 

次いで、自らリスクを生じさせないようにすることも重要です。例えば、リアルタイム性が高いTwitterでは自分の居場所を特定できる情報や近い将来の行動予定を呟(つぶや)かないことです。他人についても同様に書くことは慎むべきでしょう。意外に気づかないリスクが写真に記録されている位置情報(Exif情報に含まれる)です。これを事前に削除しておかないと、自宅や勤務先などの場所や自らの行動パターンが第三者によって特定されてしまいます。そして、自分自身や家族、友人、あるいは見知らぬ人が写り込んだ写真(顔や特徴がよく分かるもの)も大きなリスク要因になります。

 

さて、ここから本記事のポイントです。SNSは電話による会話や電子メールとは本質的に異なるものであることを理解する必要があります。SNSは一人対一人(あるいは一人対特定の少数)のコミュニケーション(会話)ではなく、NNのプレゼンテーション(情報発信)であり、アバター(自分の分身)が不特定多数の人に向けて情報発信するメディアなのです。ですから、予期しない反応が返ってくることも想定しておかなければなりません。つまり、事前に内容を十分吟味してからネットに上げるべきなのです。

 

Facebook(2014年11月現在で国内に2400万ユーザー)やLINE(2014年7月現在で国内に5400万ユーザー)を使う必要性をまったく感じない私はブログを使った1対N型の情報発信(国内に約2000万のユーザーがいるTwitterを併用)と電子メール、身近な相手とは携帯電話の11型のSMS(ショートメールサービス)を使い分けています。つまり、情報発信と会話(コミュニケーション)を明確に分けているのです。これによって、便利な情報発信ツールであるSNSはあくまでもその手段であると位置づけ、SNSを使うこと自体を目的化させないようにしています。

 

依存症に陥(おちい)る人の多くはSNSを通じて他人と繋(つな)がっている安心感、あるいはフォロアー数や他者からもらう「いいね!」(Like)の件数の多さでもって自己満足しているようです。また、LINEの「既読通知機能」も依存症を誘発するトリガーになる可能性があると思われます。インターネットが普及し始めた頃には電子メールが相手に届かないことがよくあったため、「既読通知」の機能は有用でしたが、現在はその恐れはほぼ無くなりましたから、受信者に返信を催促(さいそく)していると受け取られる「既読通知」は使わないことにすれば人間関係を損なうリスクを減らせるでしょう。

 

最後に、SNSのリスクから自分を守る技術的な手法に触れたいと思います。私はスパムメールに対する受信拒否およびブログの胡散臭(うさんくさ)いビューアーやビジネス関係者からのコメントに対するアクセス拒否も適宜設定して、リスクを生じさせないよう注意しています。そして、SNSの使用は極力控(ひか)えています。すなわち、上述したように、ネットワーク上では自らを不必要に他人の目に晒(さら)さないようにしているのです。あえて詳細を説明しませんが、私はiPadを使って複数のiPhoneによる通信をすべてモニター(一方向の情報共有)できるようにしています。もし、第三者にこれを悪用されると大変危険な機能ですが・・。

 

つまり、各個人が確実に識別されるリアル空間(現実の世界)と情報主体のバーチャル空間(匿名性を持つネットの世界)の間に適度な大きさの結界(けっかい)を設けて両者を混同させないことが、SNSを便利なツールとして使いながらリスクを減らす有効な防衛策である考えています。本記事が少しでも参考になれば幸いです。

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