ウィン・フィル ニューイヤー・コンサート2025
元日の午後7時からウィーンの楽友協会からの生中継で「ウイン・フィル ニューイヤー・コンサート」がNHKのEテレで放送されました。いつもは居間のソファーに座ってテレビ画面を眺(なが)めながら開始時間を待ち受けているのですが、今年は番組を録画予約して翌日に観る(聴く)ことにしました。年末からわが家には孫たちが5-6人集まってくれて、賑(にぎ)やかな時間を過ごしていたからです。
翌日、録画しておいた番組を観ていると、約1時間が経過したところで再生が終了してしまいました。その理由はレコーダーのハードディスク(HDD)が他の予約番組でほぼ一杯になったため、録画操作が自動的に中断していたのです。バレーのシーンを楽しみにしている同居者からは・・。1月11日午後2時から同じEテレで再放送されることを知っていた筆者は録画予約に再挑戦をしました。
これが関連のブログ記事を投稿するのが10日間ほど遅れた背景説明です。言い訳はここまでにして、ここから先が1月11日にEテレの再放送番組を見ながら書いたブログ記事の本文です。
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「ワルツ王ヨハン・シュトラウスⅡ生誕200年」である今年(2025年)、現地ウィンではウィン・フィルのニューイヤー・コンサートが例年以上の盛り上がりで迎えられていることを紹介して番組が始まりました。今年の指揮者は近年の「ウィン・ フィルニューイヤー・コンサート」で最多の7回目(2021年から4年ぶり)となるリッカルド・ムーティさん(83歳、イタリア)です。私見ですが、ウィン・フィルのニューイヤーコンサートに最も望まれる指揮者でしょう。
番組の司会役であるNHKの林田理沙アナウンサーも順当な人選と言えます。「ブラタモリ」の5代目アシスタントを2018年から2年間務めて高い人気を博しただけではなく、東京芸術大学大学院(音楽研究科修士課程)出身という西洋音楽に造詣(ぞうけい)の深いアナウンサーでもあるのです。ゲストは俳優の夏木マリさん。
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15分後にコンサート会場から「第1部」の中継が始まりました。指揮者のリッカルド・ムーティさんが登場すると、観客は盛大な拍手で迎えました。今回、最初の曲に選ばれたのはヨハン・シュトラウスIの「自由行進曲Op.226」、次いでヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「オーストリアの村のツバメOp.164」まで演奏が進んだところて聴衆に会釈して小休止です。
再開するとヨハン・シュトラウスII「取壊しポルカOp.269」、同「入江のワルツOp.411」。小休止を挟んで、エドゥワルド・シュトラウスの「ポルカ・シュネルOp.206」と筆者には馴染みのない曲目が続いたところで第一部が終了しました。ムーティさんの安定感に溢(あふ)れる指揮ぶりが印象的です。それはウィン・フィルとの一体感であるとも言えるでしょう。
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休憩時間を利用して主な楽団員の活動を紹介。林田アナの質問にゲストの夏木マリさんがそれまでの演奏についての感想を披露。演奏に参加していたウィン・フィル楽団長のダニエル・フロシャウアーさんも会話に参加。これは毎年のことですが・・。学生時代にドイツを少し学んだだけの筆者にはもちろん通訳者の日本語訳が必要でした。対話の最後に林田アナは「ダンケシェーン(Danke schōn)」と卒なく締めくくりました。
残りの時間はVTRを交えて第二部で取り上げられる女性作曲家ガイガーの紹介とウィン・フィルの状況、ワルツ王ヨハン・シュトラウスIIについて紹介。
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第二部が始まりました。ガイガーなどの曲を挟(はさ)んでヨハン・シュトラウスIIの曲目が何曲も続きます。
最初の曲、ヨハン・シュトラウスⅡの歌劇「ジプシー男爵序曲」の演奏が終わったところで楽団員の笑顔が溢(あふ)れました。同「加速度円舞曲Op.234」の演奏が始まると共に宮殿におけるバレーのシーンが登場。モダンなデザインの衣装とその斬新な色のコーディネーションが目を惹(ひ)きました。同居者が楽しみにしているのです。
画面は演奏会場に戻りました。なぜか少し待ち時間があり、ヘルメスベルガーの喜歌劇「すみれ娘」から「愉快な仲間の行進曲」とガイガーの「フェルディナンド・ワルツ」が演奏されたところで小休止。
ヨハン・シュトラウスIIのポルカ・シュネル「あれか、これか」でバレリーナが再登場しました。またもや衣装が奇抜です。
ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「トランスアツィオンOp.184」と小休止の後は、ヨハン・シュトラウスIIの「アンネンポルカOp.117」と同「トリッチトラッチポルカOp.214」、さらにヨハン・シュトラウスIIのワルツ「酒、女、歌Op.333」が続きました。
観客と楽団員の拍手が鳴り止まない中、最後の曲目になりました。ヨハン・シュトラウスIIのポルカ・シュネル「インドの舞姫Op.351」でした。この曲はヨハン・シュトラウスⅡの「エジプト行進曲」とともに異国趣味に溢(あふ)れており、その時代を反映しています。同時代のモーツァルトによる「トルコ行進曲」も同様でしょう。
鳴り止まない拍手の中、『新年おめでとう(Frohes Neues Jahr)』の掛け声で、いよいよアンコール曲です。
ヨハン・シュトラウスIIのワルツ「美しく青きドナウOp.314」は緩(ゆる)やかに、そしてヨハン・シュトラウスIの「ラデッキー行進曲Op.228」は威風堂々と。この二曲は筆者にとって新年の贈り物です。特に、後者は筆者に新しい年をスタートするための活力を与えてくれるようです。
観客が全員スタンディングオベーションで指揮と演奏を讃えました。
[後書]筆者がウィン・フィルのニューイヤー・コンサートで指揮をするリッカルド・ムーティさんを最初に観たのは20年以上前(おそらく2004年)のことです。その溌剌(はつらつ)とした指揮ぶりは今も記憶に残っています。現在は髪に白いものが目立ちますが、指揮者としての存在感は当時以上でしょう。
そして、NHKの林田アナが楽しそうに番組の進行役を務めたことが印象に残りました。◇
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