筆者とパソコンの出会いは45年ほど前の1980年頃で、古いブログ記事(2005年12月19日付け)に1999年までの顛末(てんまつ)をまとめて書いています。今回はその記事で触れた"MacIntosh Ⅱsi"(1991年購入)とカシオの電子キーボードを使った「音楽の自動演奏」に纏(まつ)わる話とその後日談です。
アメリカに在住している時に購入した"MacIntosh Ⅱ si"(1989年9月から1993年3月まで販売)は”Apple Computer”(現在のApple)によって設計・製造され、1990年10月から1993年3月まで販売された卓上型のパーソナル・コンピューターであり、先に販売された"MacIntosh Ⅱ ci"の後継機です。その洗練された外観は「アップル」らしさを感じさせました。なお、本体価格はUS$2,999(当時約39万円、2023年時点の$6,994/90万円と同等).
CPUは"MC68030@20MHz"、メモリは1MB(17MBまで拡張可能)、ブラウン管型カラー・ディスプレイは最大解像度640x480、そして外部端子の一つとして「MIDI端子」が付属していました。「MIDI端子」があることが大きなポイントで、当時所有していたカシオ製電子キーボードと「MIDIケーブル」で接続することができました。
なお、"MIDI"とは”Musical Instrument Digital Interface"の略で、電子楽器の演奏データを機器間でデジタル転送するための世界共通規格。1983年に日本のMIDI規格協議会(現在の社団法人音楽電子事業協会)と国際団体の"MIDI Manufacturers Association"により誕生しました。
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自動演奏を行うためには、2つの電子機器(パソコンと電子楽器)を「MIDIケーブル」で接続した上、パソコンの"MacIntosh Ⅱ si"に"MIDI"用の自動演奏アプリ(シーケンサー・ソフト)をインストールする必要がありました。このアプリを使い楽譜データを入力すると、その曲を"MacIntosh Ⅱ si"で再生するだけではなく、「MIDIケーブル」で接続した「電子キーボード」を遠隔制御することができたのです。
また、「電子キーボード」の音色を「ピアノ」「オルガン」「フルート」「バイオリン」などから選ぶことで、様々な楽器で様々な曲を自動演奏できるのです。もちろん、曲の速度も自由に調整することができます。
当時のアプリは、同時に一つの音しか演奏できない(ユニゾン)であることは当時の限界だったように思います。しかし、様々な楽器を自由自在に演奏する快感があり、多数の曲(音符)データを「パソコン」に入力して、大いに楽しみました。中島みゆきさんが作詞・作曲した「春なのに」がその一曲です。
なお、時には気分転換として同じ「パソコン」にインストールした「フライトシミュレーター」で飛行機の操縦(離陸・巡行・着陸)を楽しむこともありました。
しかし、パソコンが自動演奏する音楽に段々飽きてきた筆者は、いつの日か自身の手でキーボードを演奏してみたいと思うようになり、いつしかショパンの目が回るような「幻想即興曲」を弾けるようになることが最終目標になっていました。
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5年間のアメリカ赴任を終えて1994年に日本へ帰任してからは、それまでに増して忙しく海外出張をこなす日々に戻りました。そして、上記の夢を封印して60歳で定年退職を迎えることになりました。そして、退職後は同居者と一緒に国内旅行と海外旅行をする日々を10数年送りました。
その様子は当ブログ記事(「温泉大好き、ドライブも!」(2005年10月~2013年11月)と「旅行大好き、飛行機も!」(2013年11月~)に詳しく記録してありますので、興味のある方は参照してみてください。なお、海外旅行は気管支喘息の発作により緊急入院(2029年8月)することになる3か月前に出かけた北欧4か国(2019年5月)が最後になってしまいましたが・・。
旅行三昧の9年間が経過した2015年1月下旬に古希(69歳、注釈:最近は満70歳とする方が多い)を迎えました。それを機に何か新しいことを始めようと考えた時、最初に思い浮かんだのが「ピアノ」を弾くことでした。早速、近くのピアノ教室へ入学を申し込むと、1か月後(3月)からシニア用個人レッスン(月3回・各30分)の空きがあるとのこと。
それから苦節10年、休まずにピアノ教室に通いました。簡単なクラッシック曲が中心のレッスンです。気力と脳力の衰えを遅らせることが一番目の目的でした。担当する先生が平均2年ほどの間隔で変わったことでマンネリにならなかったのが良かったようです。ただし、練習量が少ないため、上達のスピードは遅々たるものでした。
なお、先生が選んでくれた教則本を3冊目まで終了したところで、4冊目の教則本(曲集)は筆者自身が選ぶことになり、クラシック曲・洋楽・日本のヒット曲・童謡など幅広い曲が網羅されたもに落ち着きました。クラシック曲と洋楽の練習が数曲進んだところで先生から訊(き)かれました。『教則本に含まれていない曲で何か弾きたいものはありますか?』 と。
3月であったことから、筆者は思わず、『中島みゆきさんの「春なのに」を練習したいです』 と答えてしまいました。
先生が有料楽譜サイトからダウンロードしてくれた楽譜(注釈:筆者のレベルを考慮して一番易しいアレンジ版)を使った練習が始まりました。そして、2か月後には何とか丸印(説明:合格ではなく、自分だけで練習できるレベルに達したとの確認)を貰えました。
思い返すと音楽の自動演奏を始めてから30数年が経ち、やっと筆者自身の両手(指)と右足を使って「春なのに」を弾けるようになったのです。もちろん、「ユニゾン」ではありません。これからは最終目標(注釈:無謀であることは十分承知している)であるショパンの「幻想即興曲」を目指してピアノ練習を続けたいと思います。◇
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